栄養障害型表皮水疱症,Dystrophic epidermolysis bullosa (DEB) は,機械的刺激により水疱を生じる遺伝性皮膚疾患で,VII型コラーゲン遺伝子
(COL7A1) の変異が原因となる.栄養障害型表皮水疱症は,優性栄養障害型 dominant dystrophic EB (DDEB) と劣性栄養障害型 recessive dystrophic EB (RDEB) とに分けられる.ほとんどの DDEB は,グリシン置換変異 (GS) の dominant negative effect によって生じる.しかし,GS の中には,silent といって,
COL7A1 他の変異と組み合わせられないと,病的意義をもたないものもある.
COL7A1 における臨床症状と遺伝子型の関係を明らかにするため,DEB の優性変異型,単発型2家系について,
COL7A1 gene の変異検索を行った.症例1に 8068del17ins2 を,症例2には G2395D と152delG の新規変異を同定した.症例1は DDEB であるが,GS ではなく insertion/deletion 変異によって発症し,症例2の GS は,DDEB ではなく,非コラーゲンアミノ酸領域 (NC-1) の早期終止コドン変異との組み合わせで RDEB を生じていた.本研究は DEB の新規変異を明らかにするとともに ,本症のおける臨床と遺伝子変異の理解をさらに深めた.
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