弘前医学
Online ISSN : 2434-4656
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65 巻 , 1 号
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原著
  • 千葉 義信, 梅田 孝, 高橋 一平, 岩根 かほり, 大久保 礼由, 小枝 周平, 平川 祐一, 甲斐 知彦, 佐藤 弘道, 中路 重之
    2014 年 65 巻 1 号 p. 1-11
    発行日: 2014年
    公開日: 2021/06/22
    ジャーナル フリー
     東洋大学駅伝男子選手17名 (2009年箱根駅伝で優勝) を対象に,トレーニング期毎に筋疲労,免疫機能を調査し,彼らが行っているピリオダイゼーションの良否を評価した.調査は通常トレーニング期,強化期,調整期に実施した. 調査項目は,筋逸脱酵素,免疫関連項目 (免疫グロブリン,補体,血清オプソニン化活性) であった.筋逸脱酵素,免疫グロブリンおよび補体はシーズン中有意に変化しなかった.血清オプソニン活性は通常トレーニング期に比して強化期に有意に低下したが,試合期に向け上昇した.また,キャンプ直後からシーズン後半にかけて,血清スーパーオキシドディスムターゼ (SOD) 活性の上昇がみられ,酸化ストレスの亢進と対応した抗酸化機能の亢進が示唆された.以上より,本対象者は,大略良好なシーズン中のピリオダイゼーションを行ったと結論された.また本調査項目が長期のシーズンの身体コンディションの評価に有用と考えられた.
  • 渡邉 清誉, 高橋 一平, 沢田 かほり, 大久保 礼由, 松坂 方士, 秋元 直樹, 梅田 孝, 中路 重之, 久田 貴由, 辨野 義己
    2014 年 65 巻 1 号 p. 12-20
    発行日: 2014年
    公開日: 2021/06/22
    ジャーナル フリー
     近年,腸内の乳酸菌が肥満に関与する可能性が指摘されている.本研究の目的は,腸内細菌中の乳酸菌割合と体脂肪率および血中コレステロールの関係を明らかにすることである.
     2007年に岩木健康増進プロジェクトに参加した一般住民613名 (男249名,女364名) について調査を行った.対象を65歳以上と未満に分け,それぞれの群における腸内細菌中の乳酸菌割合と体脂肪率および血中コレステロールを比較検討した.腸内細菌叢の解析には Terminal restriction fragment length polymorphism法を用い,構成細菌を28のOperational Taxonomic Units (OTUs) に分類した.
     65歳以上の女性において体脂肪率25%未満群はそれ以上の群よりOTU332(乳酸菌優勢群)の割合が高かった.またLDLコレステロール 100 mg/dL 未満の群はそれ以上の群より OTU332 の割合が高かった.
     腸内の乳酸菌割合の増加は脂質代謝に影響を与え,これにより体脂肪率が減少する可能性が示唆された.
  • 金城 千尋, 中野 創, 是川 あゆ美, 豊巻 由香, 松﨑 康司, 澤村 大輔
    2014 年 65 巻 1 号 p. 21-26
    発行日: 2014年
    公開日: 2021/06/22
    ジャーナル フリー
     Buschke-Ollendorff 症候群 (以下BOS) はLEMD3 遺伝子の変異により発症する常染色体優性遺伝性疾患である.皮膚におけるⅠ型コラーゲンの過剰蓄積による結合織母斑が主たる病変であるが,その発症機序は不明である.今回我々は,実際の患者で同定された遺伝子変異によって生じた変異型リコンビナントLEMD3 タンパク質が,TGF-β で刺激されたⅠ型コラーゲン遺伝子の発現上昇にどう影響するかをレポーターアッセイにより調べるとともに,変異型LEMD3タンパク質の細胞内局在についても検討した.野生型LEMD3 はTGF-β によるⅠ型コラーゲン遺伝子のプロモーター活性の上昇を抑制したが,変異型LEMD3 は抑制できなかった.また,野生型と変異型LEMD3はいずれも培養細胞内で核膜に局在していた.BOS の皮膚病変はTGF-β 刺激によるコラーゲンの過剰産生を変異型LEMD3 が抑制できないことによって生じると考えられた.変異型LEMD3 は核膜においてその病的役割を発揮することが示唆された.
  • 室谷 隆裕, 工藤 大輔, 袴田 健一
    2014 年 65 巻 1 号 p. 27-34
    発行日: 2014年
    公開日: 2021/06/22
    ジャーナル フリー
    【目的】膵頭十二指腸切除術 (PD) 後膵液瘻形成と内臓脂肪に関する検討は少ない.近年 CT画像から内臓脂肪量を計測することが可能なソフトウェア VINCENT が開発された.そこで,VINCENT を用いて内臓脂肪量を計測し,PD術後膵液瘻との関連性を検討した.
    【対象と方法】2005年1月から2010年12月までの期間に当科において施行された PD症例 153例を対象とし,内臓脂肪量と膵液瘻の関係を検討した.
    【結果】単変量解析では年齢,男性,残膵性状 (soft pancreas),細膵管径,上腹部内臓脂肪量において有意差を認め,多変量解析により soft pancreas (p=0.001) および上腹部内臓脂肪量 (p=0.007) が独立危険因子となった.
    【結語】上腹部内臓脂肪はPD 術後膵液瘻の危険因子であり,その計測は膵液瘻の予測に有用である.
  • 木村 裕輝, 松井 淳, 松村 功貴, 村上 洋, 山下 真紀, 田辺 壽太郎, 村上 宏, 玉澤 直樹, 大門 眞
    2014 年 65 巻 1 号 p. 35-42
    発行日: 2014年
    公開日: 2021/06/22
    ジャーナル フリー
     2型糖尿病 (DM) 患者におけるレニン-アンジオテンシン-アルドステロン系と高インスリン血症の関係ついて検討した. 2型DM患者において,血漿アルドステロン濃度 (PAC) は body mass index (BMI),空腹時インスリン濃度 (F-IRI),HOMA指数,尿中Cペプチド排泄量 (U-CPR),中性脂肪 (TG) 値,高比重リポ蛋白-コレステロール (HDL-C) 値との間に有意な相関関係が認められた.血漿レニン活性 (PRA) については,F-IRI,HOMA指数との間にのみ有意な相関関係が認められた.さらに,目的変数を PAC,説明変数を年齢,BMI,F-IRI,U-CPR,TG,HDL-C,PRA として多変量解析を行うと,U-CPR は PAC の独立した説明変数であることが示された.以上から, 2型DM患者において,高インスリン血症は肥満,脂質異常症,インスリン抵抗性とは独立して PAC 上昇に関与していると考えられた.
  • 黒澤 繭子, 佐藤 純子, 水木 暢子, 西沢 義子
    2014 年 65 巻 1 号 p. 43-54
    発行日: 2014年
    公開日: 2021/06/22
    ジャーナル フリー
     看護師の時間外勤務の時間は月平均23.4時間 (日本看護協会,2009) であり,これは一般労働者の月平均より13.2時間長い (厚生労働省,2013).本調査の目的は臨床における看護職者の勤務環境と慢性疲労の現状を明らかにすることである.属性,勤務状況,慢性疲労に関する無記名自記式質問紙調査を行った.対象は回答が得られた 300床以上の総合病院117施設に勤務する女性看護職者 1,676名とした.20代である,勤務環境として月平均 20時間以上の残業時間 (帰宅時刻が不規則) がある,および3 交代勤務であるという条件にあてはまる看護職者は,慢性疲労が蓄積されやすいことが分かった.個々の疲労の特徴に配慮した上で,勤務体制をはじめとする組織や社会の環境調整が必要であると考える.
  • 中江 秀幸, 對馬 均
    2014 年 65 巻 1 号 p. 55-64
    発行日: 2014年
    公開日: 2021/06/22
    ジャーナル フリー
    背景・目的: 在宅パーキンソン病患者 (PD) の生活場面における転倒などの問題と,効果的で持続可能な家庭での運動療法の実施状況について調査を行った.
    方法:全国 PD友の会宮城県支部会員 159名に対し,症状や日常動作における主訴,転倒歴,介護保険の利用状況,運動療法の実施状況などの無記名式アンケート調査を郵送法で行った.
    結果:アンケート回収率は 62.3%であった.転倒状況は,調査時点から過去 1ヶ月間で 38名 (44.2%) が転倒を経験しており,過去半年間では 52名 (60.5%) が経験していた.医療機関における運動療法の実施状況では,半数以上の52.3%が医療機関で運動療法を実施した経験が無く,現在も継続・実施しているのは全回答者の僅か 12.1%であった.また,医療機関以外でも定期的に運動療法を実施していない者が 33名 (38.4%) であった.
    結語:活動量の現象による廃用による筋力低下を防止するため,定期的に遂行でき,効果的な在宅 PD に対するホームエクササイズを確立することが重要である.
  • 北嶋 結, 山辺 英彰, 保嶋 実
    2014 年 65 巻 1 号 p. 65-73
    発行日: 2014年
    公開日: 2021/06/22
    ジャーナル フリー
    背景:慢性腎臓病 (CKD) は世界的な公衆衛生的問題であり,CKD は脳卒中発症の危険因子であることが明らかとなっているが,脳卒中患者の腎機能を評価することは一般に困難である.
    目的:本研究は,脳卒中患者の腎機能評価に推定糸球体濾過率 (eGFR) を用いることの妥当性を明らかにすることを目的とした.
    対象と方法:対象は脳卒中で 545例である.分析は, eGFR と生化学的データ,高血圧症,糖尿病,高コレステロール血症,心房細動の有病率との関連を評価した.
    結果:178名 (32.8%) は CKD の診断基準の一つである eGFR が 60 mL/min/1.73m²) 以下であった. eGFR は,年齢と血清尿酸値との間に負の相関,血清ヘモグロビン値とは正の相関を示した.eGFR は,高血圧と心房細動の有病率との相関はあったが,糖尿病や高コレステロール血症の有病率とは相関はみられなかった.
    結論:脳卒中患者では CKD の有病率が高い.また,eGFR の測定は,脳卒中患者の腎機能評価に有用である.
  • 小林 完, 須貝 道博, 森 文秋, 若林 孝一, 袴田 健一
    2014 年 65 巻 1 号 p. 74-81
    発行日: 2014年
    公開日: 2021/06/22
    ジャーナル フリー
     先天性横隔膜ヘルニア (CDH) において肺低形成は予後に大きく影響を与える.しかし,肺の神経支配異常に関しては不明な点が多い.我々は CDHモデルラットを作成し,肺の交感神経について定量的に検討した.妊娠9日目のラットにオリーブオイルに溶解した nitrofen を投与し妊娠22日目に胎仔を取り出した.対照群にはオリーブオイルのみを投与した.胎仔の肺を摘出し重量を測定した.主気管支レベルの全肺の組織切片を作成し,交感神経のマーカーである tyrosine hydroxylase (TH) に対する抗体を用い免疫染色を行った.全肺面積に対する TH陽性神経線維の面積比率を測定した.CDH患側肺の平均重量は対照群の同側肺に比べ有意に減少していた.CDH患側肺の TH陽性面積の比率は健側肺に比べ有意に低下していた.肺の交感神経支配の減少は CDH における呼吸機能障害に重要な役割を果たす可能性が示唆された.
  • 吉岡 治彦, 星合 桂太, 中村 敏也, 佐藤 達資, 鷲谷 清忠, 渡邉 純
    2014 年 65 巻 1 号 p. 82-94
    発行日: 2014年
    公開日: 2021/06/22
    ジャーナル フリー
     非がん細胞とがん細胞の客観的な鑑別指標を得るため,無染色の液状処理細胞診 (Liquid-based Cytology; LBC法) を材料とした紫外顕微分光法 (Ultraviolet-Microscopic Spectroscopy; UV-MS法) の有用性を検証した.材料は非がん細胞100個,がん細胞200個の合計300個の培養細胞である.UV-MS法において測定領域は核内領域の 166.4 μm² (12.9 μm×12.9 μm),解析データは紫外線波長 260~350 nm の透過率スペクトルから 260 nm, 280 nm, 300 nm, 320 nm, 340 nm のデータを抽出した.その結果,紫外線波長 300 nm において非がん細胞の透過率は79.7 ± 5.0%,がん細胞は 64.1 ± 5.0% であり,がん細胞は有意 (P<0.01) に低くなった.さらに判別分析の結果,判別関数 Z=0.61×transimittance (300 nm) - 44.02 判別的中率: 96.3%,係数の p値: < 0.01以下で有意に強く判別に関わることが分かった.
     無染色の LBC法を用いた UV-MS法は,非がん細胞とがん細胞の鑑別に客観的な価値を与えることが分かった.LBC法は世界的に需要の高い処理となっており,本研究を基盤に臨床材料に応用できるか更に検討を進めたい.
  • 金澤 佐知子, 細井 一広, 照井 一史, 下山 律子, 中川 潤一, 板垣 史郎, 早狩 誠
    2014 年 65 巻 1 号 p. 95-103
    発行日: 2014年
    公開日: 2021/06/22
    ジャーナル フリー
     本研究は,中枢移行性ACE 阻害剤 (ACEI) による記憶保持亢進の機序を解明することである.中枢移行性 ACEI (captopril),非中枢移行性ACEI (imidapril) および ARB(losartan)投与ラットでの脳内ペプチドの発現変化を HPLC法および TOF-MS法を用いて検索した.その結果,TOF-MS法では,captopril投与群で特異的に発現が亢進するペプチドを多数検出できたが, その多くは質量数3,000以下であった.なお,これらの質量数はすべて一価イオンとして検出されたことから,すべて物質固有の質量数を反映していた.検出した質量数は,ACE が分解する脳内ペプチド (LH-RH, substance P, β-neoendorphin, neuromedin B, LVV-hemorphin-7, amyloid β-protein)や insulin-regulated aminopeptidase (IRAP) の基質と考えられている vasopressin とは異なる値を示した.脳内には ACE や IRAP 以外にも活性中心にZn²⁺ を有するメタロプロテアーゼが存在することから,今回得られた多くの質量数は,キレート形成能を有する captopril により阻害されたメタロプロテアーゼの内在性基質の可能性がある.
概要
平成25年度(第18回)弘前大学医学部学術賞
特別賞受賞研究課題
奨励賞受賞論文
弘前医学会抄録
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