背景:慢性腎臓病 (CKD) は世界的な公衆衛生的問題であり,CKD は脳卒中発症の危険因子であることが明らかとなっているが,脳卒中患者の腎機能を評価することは一般に困難である.
目的:本研究は,脳卒中患者の腎機能評価に推定糸球体濾過率 (eGFR) を用いることの妥当性を明らかにすることを目的とした.
対象と方法:対象は脳卒中で 545例である.分析は, eGFR と生化学的データ,高血圧症,糖尿病,高コレステロール血症,心房細動の有病率との関連を評価した.
結果:178名 (32.8%) は CKD の診断基準の一つである eGFR が 60 mL/min/1.73m²) 以下であった. eGFR は,年齢と血清尿酸値との間に負の相関,血清ヘモグロビン値とは正の相関を示した.eGFR は,高血圧と心房細動の有病率との相関はあったが,糖尿病や高コレステロール血症の有病率とは相関はみられなかった.
結論:脳卒中患者では CKD の有病率が高い.また,eGFR の測定は,脳卒中患者の腎機能評価に有用である.
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