ボーリング孔ケーシング区間の温度検層により得られた地下温度プロファイルについて,鉛直方向の地下水流動評価への適用を試みた。断続的に4回測定した地下温度プロファイルのうち,掘削工事翌日に測定したデータには作業の影響が大きく残留していることを確認した。一方,地下温度モニタリング結果から,掘削工事休止後の経過日数が12日以上のデータには,作業の影響が十分に低減されていることを確認した。これらデータの地温勾配変化の特徴に基づく深度区分は地質区分と整合的であり,深度により地下水流動の影響が異なると推定された。タイプカーブ比較から深度40~128 mの帯水層において上向きの地下水流動の影響が検出され,掘削地点は地下水流出域に相当すると評価した。ボーリング孔温度検層データの地下水流動評価への適用には,掘削工事の影響の低減過程の評価が重要であると考えられた。