日本水文科学会誌
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論文
  • 簗場 大将, 石井 吉之
    2019 年 49 巻 1 号 p. 1-17
    発行日: 2019/04/26
    公開日: 2019/05/07
    ジャーナル フリー

    融雪期は,積雪底面流出(SBO)が1日中供給され続けるため,1年でも特に土壌が湿潤であるとされているが,実際に土壌乾湿状態の評価を行った研究はあまり多くない。本論文では,多雪山地流域である北海道母子里を対象に,土壌雨量指数(SWI)で融雪期の土壌乾湿状態を評価し,融雪流出との関係を明らかにした。その結果,土壌乾湿状態は融雪期を通じて大きく変動し,河川流出量(Q)と正の相関を示した。この傾向は,土壌乾湿状態が地中水流出と正の相関を示すことが原因とわかったが,無雪期の一般的な傾向とは異なり,土壌が湿潤になってもSBOの流出率は変化しなかった。同様の傾向は,別の多雪山地流域である新潟県長岡でも見られたため,母子里での解析結果は多雪山地流域において一般的であることが示唆された。また,両地域の地中水流出は,Qに対して平均的に60~70%以上を占め,定量的にも重要であった。以上の結果より,土壌が融雪期の中でも特に湿潤な状態となっているならば,たとえSBOが小さくても,洪水発生のリスクは高くなるということが示唆された。

研究ノート
  • 一柳 錦平, 泉 太郎, 上杉 崇之, 鈴木 彌生子
    2019 年 49 巻 1 号 p. 19-35
    発行日: 2019/04/26
    公開日: 2019/05/07
    ジャーナル フリー

    本研究では,農薬や化学肥料・有機肥料も一切使用しない自然栽培法による水田の窒素収支を明らかにするため,熊本県菊池市の中山間地の約1,000 m2の水田で自然栽培を行い,水収支と窒素収支の観測を行った。その結果,灌漑期(2017年6月11日から9月6日)における土壌浸透量は560 m3と推定できた。深度60 cmの土壌水の硝酸イオン濃度はほとんどが1.0 mg/Lより低く,自然栽培水田による地下水への窒素負荷は小さいことが明らかとなった。水田全体の窒素収支より,持ち出し窒素量は約5.2 kgと推定できた。水田土壌とイネの窒素安定同位体比は,どちらも+10‰程度と有機物に近い値であり,土壌中に存在する窒素量は持ち出し窒素量よりも大きいことから,イネの窒素起源は土壌中の有機物と推定できた。精米の酸素および炭素安定同位体比は23.7~24.4‰と-29.0~-28.5‰となり,自然栽培水田における貴重な観測データを取得した。

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