この報告はさし木がむずかしいといわれているリョウワスギの発根をよくするため,発根阻害物質の見地から,さし穂の処理法について試験した結果をとりまとめたもので,その概要は次の通りである。
1) 過マンガン酸カリ処理は発根率を高め,発根量を多くする効果の大きいことが認められた。
2) 過マンガン酸カリ処理液の効果が大ぎい濃度は0.1%-0.5%の範囲内であつた。
3) 温湯処理は発根量を多くする効果があるが,あとからαナフタリン酢酸ソーダ処理をしなければ,石灰処理と同じように,発根率をよくすることには役立たなかつた。
4) 硝酸銀処理はαナフタリン酢酸ソーダ処理と併用しないと,効果があらわれないだけでなく,発根率はかえつて悪くなる傾向を示した。
5) αナフタリン酢酸ソーダ処理は処理するまえに温湯,石灰,硝酸銀などの処理をしなければ,過マンガン酸カリの単独処理以上の効果は認められなかつた。
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