日本林学会誌
Online ISSN : 2185-8195
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54 巻, 6 号
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  • 森本 桂, 岩崎 厚
    1972 年54 巻6 号 p. 177-183
    発行日: 1972/06/25
    公開日: 2008/12/18
    ジャーナル フリー
    1) マツノザイセンチェウの最も有力な伝播者は,マツノマダラカミキリである。
    2)大矢野町の枯損本から羽化したマツノマダラカミキリは, 71%がこの線虫を持っており,また1頭当りの持っている線虫数は平均3,146頭,最高8,783頭であった。
    3)マツノザイセンチュウは,耐久型幼虫の形で,マツノマダラカミキリの体表面や上翅裏面に付着しており,また気門(特に腹部第1気門)の中には塊状になってはいっている。
    4)この耐久型幼虫は,マツノマダラカミキリを高湿度に保つか,水に浸すと虫体から容易に離脱する。試験管による個体飼育では, 2~3週目に線虫落下の山がある (20°C, 93%RH)。
    5) 野外では,耐久型幼虫はマッノマダラカミキリの羽化脱出から産卵を始めるまでの間に, 80%以上が虫体から落ちるものと思われる。
    6) マツノマダラカミキリの後食部で,耐久型幼虫は脱皮を行ない,マツ樹体内へ侵入することができる。
    7) 枝の一部を,羽化脱出直後のマツノマダラカミキリに後食させると,健全なマツでも枯れてしまい,その枯死木から多数のマツノザイセンチュウが検出できる。
    8) 1939~'41年にまっくいむしの激害地から採集されたマツノマダラカミキリの標本から,マツノザイセンチュウの耐久型幼虫を検出できたので,当時のマツ枯損にもこの線虫が関係していたものと思われる。
  • シラカンバ模型林における葉の比面積と季節・庇陰の関係
    荒木 真之
    1972 年54 巻6 号 p. 184-191
    発行日: 1972/06/25
    公開日: 2008/12/18
    ジャーナル フリー
    前報に続き照度肢と比面積の関係を調べた。シラカンバの模型林から細かい間隔でサンプルをとり照度と比面積を下記の式
    log SLA (cm2/g)=-b log RLI(%)+log a
    に回帰させて季節変化等を調べ,庇陰格子下個体群も解析し以下の知見を得た。
    1) 回帰線は高い有意性をもって成立し,係数の季節変化は中凹の曲線となる。比面積にも季節変化はあり,春の値は秋の値の2倍程凌である。また庇陰個体最上層の比面積と照度の回帰線も高い水準で成立し,値も季節変化の傾向も裸地林の場合と矛盾しない。
    2) 林分生長に伴ないある一定の地上高をもつ層の位置は相対的に下がるが,その層の照度と比面積を時期方向に追跡して式にあてはめてもきれいな関係になることから,比面積の照度に対する反応は早く,かつ厳格なものといえる。
    3) 庇陰下個体群の回帰線の傾きは庇陰程度によらず同じ頃向をもつが,庇陰程度が強いほど上方に平行移動した線群となり,移動量と個体群に与えた庇陰の程度は両対数直線のきれいな関係を示す。またこの関係には季節差があり,秋には移動量は殆どなくなる。
    4) 庇陰個体群では低照度下で比面積の値の収束が認められる。
    5) 高照度下では比面積が回帰線より離れて急に落ち込む現象が認められ,これをオチコミ現象と名づけた。それはこの現象には多くの特徴があるからであるが,特にこの現象の開始点の照度は驚くほど値がそろっており, 70%照度からである。
  • 荒木 真之
    1972 年54 巻6 号 p. 192-198
    発行日: 1972/06/25
    公開日: 2008/12/18
    ジャーナル フリー
    森林葉群内にみられる諸変化には各種のものがあるが,葉の傾き,大きさ,厚さ,光透過率等についての実測データは今のところ殆ど明らかにされていない。 1971年10月にシラカンバ高密度模型林およびシラカンバ高密度庇陰林について上記の諸要因が測定された。その結果,葉群にみられる諸変化を起こす要因群の殆どのものは相対照度の函数になることがわかった。
  • 柴草 良悦
    1972 年54 巻6 号 p. 199-206
    発行日: 1972/06/25
    公開日: 2008/12/18
    ジャーナル フリー
    生長休止期の22-23年生トドマツの葉を1970年I月19日と1971年3月5日の2回採取し,その中にある生長抑制物質を調べた。
    1. 1970年1月19日のトドマツの葉においては,酸性区分と中性区分にサリチル酸と推定される物質が存在する。また,不確実ではあるが,酸性区分に, p-オキシ安息香酸,バニリン酸,中性区分にp-オキシ安息香酸と推定される物質が存在する。
    2. アベナ伸長試験において,合成のサリチル酸は,濃度1~500 ppmで抑制作用を示すが,合成のp-オキシ安息香酸とバニリン酸は,約1~100 ppmで促進作用を示す。生長抑制物質の種類によっては,低濃度で生長促進作用を有することは注目される。
    3. 1971年3月5日の葉においては,酸性区分,中性区分に多量の生長抑制物質が認められるが,前実験で見られたフェノール化合物はなかった。生長休止期の生長抑制物質は,質的にも変化していることが予想される。本実験の酸性区分の生長抑制物質について幾つかの実験を行ない,以下のことがわかった。
    1) Rf O.50~1.00の生長抑制物質 (inhibitor-β) は,アベナ伸長試験において,濃度を増すにつれて直線的に抑制作用が強くなる。しかし, Rf O.10~50の生長抑制物質は,低濃度では生長促進作用を示し,高濃度では生長抑制作用を示す。
    2) inhibitor-βは,トドマツ苗木の秋伸びを抑制する作用がある。また, Rf0.10~1.00の生長抑制物質も,エゾマツ種子の発芽を抑制する作用を有している。
    3) inhibitor-βと合成IAAの相互作用をアベナ伸長試験で調べた。 IAAがinhibitor-βの強い抑制作用を弱めることはあまりできない。この事実から,植物の休眠を破ったり生長を開始することは, 1AAの増加より生長抑制物質の減少が関係するように考えられる。
  • 門田 正也, 井上 敞雄
    1972 年54 巻6 号 p. 207-208
    発行日: 1972/06/25
    公開日: 2008/12/18
    ジャーナル フリー
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