これは北海道苫小牧地方において発見されたムネRイネゾウモrキ
Eteophilus notaroides (KÔNO) の形態と生態についての報告である。本種の幼虫は,最初1966年4月に北海道粟山の温室で,Fドロノキの未開雄花から発見された。これらの幼虫は食物として未成熟の花粉を食する。
著者らは4月22日ドロノキの雄花から多数の幼虫を採集し,栗山の 房のない昆虫実験室で飼育を行なった。幼虫は黄白色~黄色である。老熱幼虫は5月上旬雄花を脱出して地面に落下する。
通常,幼虫が地面に下降してから7~8日で蛹化する。昆虫実験室で最初の成虫が出現したのは,1966年5月14日である。
花粉を食するこの幼虫はドロノキの花穂(雄性尾状花序)に寄生し,花粉の飛散にあたり,その密度を低下させる。それゆえ,この幼虫は,しはしば大害を与えるので,花粉採集にあたり,じん大な損失をこうむることがある。
結果を要約すると次のようである。
1) ムネビロイネゾウモドキの従来の知見ならびに成虫(雌・雄)の詳細な記載を行なった。
2) 今回はじめて幼虫の詳細な記載を行なった。
3) 本虫の被害関係を記し,特に幼虫がドロノキの花粉を食害することを実験証明した。
4) 生態のうち,成虫期,産卵,ふ化期、幼虫期,蛹期,羽化期を明らかにした。
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