Rosellinia herpotrichioidesの子のう胞子は,実験の範囲内では, 20°C付近でもつともよく発芽し,温度の上昇にし.たがにてしだいに低下し,30°Cではまつたく発芽しない。菌そうの発育は,
Rhizoctonia sp.では0°Cでかなりよく発育し,適温は15~20°C付近にあり, 30°Cでわずかに発育する。ところが
Roselliniaでは, 0°Cではまつたく発育せず, 25°C付近が適温で, 30°Cではごくわずか成長する。
水素イオン濃度と菌そうの発育にいては,
RhizoctoniaではpH 4.2~8.0ではいちじ.るしい差をみとめないが,
Roselliniaでは酸性の強いほど発育がよい。
春から秋に行つた接種試験では,
Rhizoctoniaはスギ,ヒノキ,アカマツ,クロマツ,ドイツトウヒ,トドマツおよびアオモリトドマツのいずれにも病原性を現わしたが,
RoselZiniaではこれらのうち,スギとヒノキには陰性であつた。積雪下においては
Rhizoctoniaはスギ,ヒノキ,ドイツトウヒ,アカマツなどにかなりよい病原性をしめしたが,
Rosellzniaでは,スギ,ヒノキ,アカマツ,ドイツトウヒおよびトドマツのいずれもまつたく発病しなかつた。
以上の結果から,エゾマツ雪腐病と
R. herpotrichtiazdesはまつたく関係がない。そしてこの菌による病害は夏から秋に発生するもので,雪腐病とよぶのは妥当でないので,新たに黒色か(顆)粒病なる病名を提案する。
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