わが国の山岳林で,いままで牛馬車とか木馬あるいは作業軌道により搬出されていた場所で,最近1部の識者に注目された中古ジープと小型トレーラによる運材の笑際性能について,測定された2, 3の結果をとりまとめたものである。
1. トレーラ道の作設は, トラック道の作設にくらべると,ずつと安くできて, 20%近くまでの順勾配での運材もできる点に特色があるが,ジープやトレーラのタイヤが土中にひどくめりこんでスリップしない程度の硬さに路面をたもたねばならないから, ぬかるみのあるトレーラ道では枝条や小丸太,あるいは古枕木をしきならべる必要がおこつてくる。これは砂利をしくよりも木質材料の方が入手しやすいから,路面をかためる方法としては安上りになることが多いからである。
2. こういう勾配のちがつたいろんな路表面をもつ凸凹悪路上を,ジープ・トレーラで実際運材したときの実際運行速度はTable 1のとおりであつた。
3. トレーラは2輪と4輪 (Fig. 2参照)のものを比較試験したが,空車上山,積車下山時の同一条件での牽引抵抗と燃費はTable 2のとおりであつた。牽引抵抗は4輪トレーラの方が接地圧が小さいためか,荷重がふえるほど下山ではその係数が小さくなる傾向をしめし,荷重が1.5 tonちかくから2 tonちかくになると, 4輪トレーラの方が10kg/ton余りすくなくなつた (Fig. 3-a, b参照)。上山では,空車でも4輪トレーラの方の牽引抵抗係数が10~20kg/ton程度2輪トレーラのそれよりも小さかつたのに対し,積車のときはトラクタ(自重に3 ton) でジープを補助的に牽引して測定したところ,荷重がふえると両車とも抵航係数がへつてくる傾向がみられたが, 4輪と2輪トレーラの間に差はみられなかつた (Fig. 3-c参照)。
4. ひどくすりへつたタイヤをもつた中古ジープの粘着係数は,土砂道・古枕木しき道を通じて全輪駆動のときで400~500kg/tonあまり,後輪駆動のときで250~350kg/ton程度をしめした (Table 3参照)。
5. 運材作業に従事しているときの中古ジープの運転台の振動は,上下成分の方が左右成分よりも振動がはげしく,左右成分に0.5g以上の加速度があらわれなかつたのに対して,上下成分には最大0.87gの加速度を記録した。これは普通の林道上を運材中のトラックの振動
1)よりもかなり大きなものであることが認められた (Table 4参照)。
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