日本林学会誌

アカマツ根の山火枯死・腐朽に伴う引張強度の低下

中根周歩, 中川勝範, 高橋史樹

1983 年 65 巻 5 号 p. 155-165
発行日: 1983/05/25
公開日: 2008/12/18

DOIhttps://doi.org/10.11519/jjfs1953.65.5_155

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広島県において山火後の経過年数と太さの異なるアカマツ根の引張強度を測定した。生きたアカマツ根では,根の断面積当りの引張強度は細根ほど強かった。しかし,枯死後の引張強度は経過年数に伴って,どの直径階の根も低下し,とくに細い根ほどその傾向は著しかった。一本の根の中心部と周辺部の引張強度を比較すると,枯死前,直後では中心部より周辺部のほうが強いが, 3～4年後では周辺部の引張強度の低下が進み,やがてその関係は逆転した。以上の実験結果にもとづき,断面積～引張強度関係の数学的モデルを構成し,このモデルと根の直径分布密度関数から根系の総引張強度の時間的推移をシミュレートした。その結果,土壌緊縛力に直接貢献していると思われる直径1cm以下のアカマツ細根は,山火後7～8年でほとんどその引張強度を喪失することが予測された。従来報魯されている伐採後の他樹種と比較して,焼死アカマツ根の土壌緊縛力の低下が比較的速いことが示された。

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エゾマツオオアブラの寄生によるアカエゾマツの生長低下

古田公人, 高井正利, 舟津忠雄

1983 年 65 巻 5 号 p. 166-171
発行日: 1983/05/25
公開日: 2008/12/18

DOIhttps://doi.org/10.11519/jjfs1953.65.5_166

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エゾマツオオアブラはアカエゾマツ造林地で多発する害虫である。植栽後1～2年目,あるいは3～4年目の造林地におけるエゾマツオオアブラの密度変化,アカエゾマツの上長生長量などを調査し,殺虫剤散布によって密度を低下させた場合と比較することにより,寄生の影響を解析した。それによれば,エゾマツオオアブラの高密度の寄生は上長生長を低下させ,低下の割合は寄生の程度が高いほど大きく,最も強度の寄生は60～70% も上長生長を減退させた。しかし,その後はエゾマツオオアブラの密度が低下したため,大幅な上長生長の減退はほぼ1年間だけであった。高密度の寄生は,造林地の平均生長量のうえからは,ほぼ1年の生長の遅れをひき起こしたと結論される。

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線型モデルによる収穫予定法の研究 (II)

東京大学千葉演習林における林道開設順序の決定

南雲秀次郎, 北岡篤

1983 年 65 巻 5 号 p. 172-178
発行日: 1983/05/25
公開日: 2008/12/18

DOIhttps://doi.org/10.11519/jjfs1953.65.5_172

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0-1計画法により林道開設順序を決定する方法を考え,これを実際問題に適用した。まず,林道の予定路線を10区間に分割した。この区間は,建設が開始されると途中で中断されることなく開設される単位として定めるものである。各区間の開設順序は, 10年の計画期間中にこれらの林道を利用することによって生じうる作業経費の節減額が最大となるように定めるものとした。今後,林業経営にとって林道網はますます不可欠な施設となりつつある。こうした状況のもとでこの方法は施業計画をたてるうえで有効なものであることがわかった。

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気象要素の変動に対する樹木の反応の解析手法について

武市伸幸

1983 年 65 巻 5 号 p. 179-182
発行日: 1983/05/25
公開日: 2008/12/18

DOIhttps://doi.org/10.11519/jjfs1953.65.5_179

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割裂法における繊維傾斜度と樹心軸との関係

宮木雅美, 畠山末吉, 江州克弘

1983 年 65 巻 5 号 p. 183-186
発行日: 1983/05/25
公開日: 2008/12/18

DOIhttps://doi.org/10.11519/jjfs1953.65.5_183

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The cause of the variation of grain inclina tion with respect to cardinal points was examined when using a splitting method in which the axis of the pith is used as a reference. In a disk whose axis of the pith slants, the reference-line does not agree with the projective line of the strik ing-line. The degree of the gap between these lines in the disk of Larix leptolepis was almost equal to half the value of the defference of the grain inclinations between two opposite radii. It is recommended that the average value of the grain inclinations for two opposite radii be used as the representative value in the tree or the disk. Each grain inclination shoud be marked by plus or minus i sign corresponding to its spiral direction.

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走査型電子顕微鏡によるアカマツ,クロマツ,ハイマツ花粉の発芽につもいての観察

斎藤幹夫

1983 年 65 巻 5 号 p. 187-191
発行日: 1983/05/25
公開日: 2008/12/18

DOIhttps://doi.org/10.11519/jjfs1953.65.5_187

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Pollen germination and pollen tube elongation in Pinus densiflora SIEB. et ZUCC., P. thunbergii PARL., and P. pumila REGEL on agar gel were observed with a scanning electron-microscope. Pollen tubes protruded from the boundary line between the germinal furrow and the marginal ridge of the cap, but not from the center of the germinal furrow. Pollen tubes elongated at a right angle with the polar axis immediately after germination. The frequency rate of pollen grains having two pollen tubes was about 78 percent, both in Pinus densiflora and P. thunbergii.

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