群馬県勢多郡東村にある東京農工大学演習林でスギ・ヒノキ壮齢林の小流域における養分楯環と養分収支について調査した。林内雨量および樹幹流量はそれぞれ林外雨量の84%,4%であった。蒸発散量は林外雨量の63%であった。林床へ供給される1年間の養分量はスギ林でN: 76kg/ha, K: 30kg/ha, Ca: 151kg/ha, Mg: 11kg/ha, 尾根部を占めているヒノキ林でN: 62kg/ha, K: 17kg/ha, Ca:75kg/ha, Mg: 9kg/haであった。スギおよびヒノキ林ともに林床へ供給される養分量のうち樹幹流の占める割合は10%以下で,林内雨の占める割合はN, Ca: 20~30%, K: 60~70%, Mg: 40%であった。これらのスギ林とヒノキ林からなる壮齢林分の1年間の養分収支(林外雨一渓流への流出量)は N: +4.2kg/ha, K: +3.4kg/ha, Ca: -4.6kg/ha, Mg: -1.4kg/ha であった。1年間の養分還元量(林内雨+樹幹流+落葉・落枝類一林外雨)は N: 63kg/ha, K: 18kg/ha, Ca: 107kg/ha, Mg: 8kg/ha であった。
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