植物根系によって発生したと推定されるパイプの水理特性を,透水試験などによって明らかにした。試験方法は以下のとおりである。 1) 山腹斜面土層中より,パイプを含めた断面9.5×9.5cm,長さ30cmの土壌サンプルを採取する, 2) サンプルに種々の水頭差をかけて透水試験を行う, 3) パイプ内の土を耳かき状のさじで採取し分析する, 4) サンプルのパイプ部分に石膏を流し込み固める, 5) もう一度,透水試験を行い非パイプ部分の透水係数を求め, 2) との差からパイプフローの流量を算出する, 6) サンプルを分解し,石膏で固められたパイプ部分を取り出す, 7) このパイプ部分の体積,直径など形状を測定する。以上の試験を10サンプルについて行った結果,パイプの形状は断面が離心率039~0.84の楕円形であること,パイプ内の団粒化した土の占める体積は10%以下であること,パイプ内の水の動きにはDARCY-WEISBACHの式が適用でき,MANNINGの粗度係数は0.036~1.364という大きな値を示すことなどが判明した。
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