閉鎖したヒノキ人工林における放射量測定に基づいて,放射量の季節変化と放射収支の実態を解析した。その結果,林分の年間放射収支を全短波放射に対する割合で表わすと,反射および吸収短波放射がそれぞれ10.7, 89.3%, 純放射,有効長波放射がそれぞれ58.4, -30.9% となった。そして,純放射の割合は大きな季節変化を示し,それは有効長波放射の変化が主因であると考えられた。また,日量単位の純放射と全短波放射の回帰式は,夏季に高く,冬季に低い相関を示した。その回帰係数はアルベドと有効長波放射により影響されるが,季節変化は主として後者に依存することがわかった。日中純放射量と全短波放射量の回帰式は,その回帰係数に季節変化が認められるが,年間を通して高い相関を示した。この原因は,有効長波放射の影響が小さいためと考えられた。さらに, 30分平均強度を用いた両者の回帰式では,回帰係数はアルベド,回帰定数は有効長波放射で決まり,とくに後者は天候状態に強く依存することが明らかになった。
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