1983年から1988年にかけて病院及び診療所等, 外部から紹介された1312人の外来患者を対象に, 紹介者, 紹介理由, 合併した系統的疾患, 紹介された疾患及びそれに対する紹介医の診断について統計学的に検討した。その結果, 次の如き結果が得られた。
1. 対象の中で, 950人は歯科医から, 93人は内科医により, 83人は整形外科医によって, 61人は外科医から, 57人は耳鼻科医から, そして35人は, 小児科医によって紹介された。
2. 紹介の理由としては, 複雑な歯牙の抜歯, 全身的な合併症を有する人の抜歯, さらにはその病気の診断と治療の依頼であった。これらの中で, 埋伏智歯を除き, 感染症が168例と一番多く, 次いで嚢胞の165例, 腫瘍の52例, そして口腔粘膜疾患の35例と続いていた。
3. 内科医は主に感染症と少しばかりの粘膜疾患及び腫瘍患者を紹介していた。整形外科医の紹介はほとんどが外傷と顎関節症であり, 耳鼻科医からの紹介は多くの疾患からなっていた。
4. 紹介理由となった系統的な疾患の中では, 心循環器系疾患が67例と最も多く, 次いで, 出血傾向の23例, 代謝性疾患の17例, ショック14例, アレルギー11例, 肝機能障害及び免疫異常の8例と続いていた。
5. 歯周組織の疾患, 外傷及び顎関節症はほとんど正確に診断されていた。しかしながら, 嚢胞の約半数は誤って診断され, そして他の多くの疾患は当科受診までに診断が下されていなかった。
これらの結果は, 口腔外科医と医師及び一般歯科医師とにおける今以上の強調の必要性を示すと同時に, 医師及び歯科医師の口腔疾患に対する今一層の知識修得の必要性を示しているように思われた。
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