歯科疾患と糖尿病や虚血性心疾患との関連性など, 近年の歯科医学は口腔内や頭頸部だけに限らず, 全身疾患を念頭におきつつ治療にあたる必要性に迫られている.
1) 脳血管障害: 脳梗塞, 脳出血, くも膜下出血, 一過性脳虚血発作などがあり, 抗凝固薬や抗血小板薬を含む多くの薬剤を服用していることが多い. また, 寝たきり状態になる代表的な疾患であり, 誤嚥性肺炎に注意する必要がある.
2) 虚血性心疾患: 狭心症ならびに急性心筋梗塞であり, 肥満に代表されるメタボリック症候群との密接な関連が注目されている.
3) 慢性呼吸不全 (COPD) : 近年, 気管支喘息, 慢性気管支炎, 肺気腫などによるCOPDが増加している.
4) 糖尿病, 肥満, 高脂血症: 最も注目されているメタボリック症候群の基本病態である.
5) 肝疾患: 肝硬変症は未だ有効な治療法はなく, 肝不全や凝固障害による出血傾向を伴うため特に注意を要する疾患である.
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