有病者歯科医療
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7 巻, 1 号
選択された号の論文の6件中1~6を表示しています
  • 角 保徳, 西田 功, 佐々木 成高
    1999 年7 巻1 号 p. 1-8
    発行日: 1999/04/23
    公開日: 2011/08/11
    ジャーナル フリー
    今回我々は, 病診連携を推進する上で, 病院歯科の現状, 開業歯科医師及び病院歯科医師の意識及び実態を把握するためにアンケート調査を行った。その結果, 以下のことが判明した。
    1: 医療圏毎の2次歯科医療機関 (病院歯科) の確保と適正配置が必要である。
    2: 病院歯科の施設整備と人員の拡充が必要である。
    3: 病院歯科の不採算性の解消が望まれる。
    また、地域での良質かつ適正な歯科医療を供給するために, 医療圏において2次歯科医療機能を提供する病院歯科を整備拡充する必要がある。さらに, 2次歯科医療機関の機能と位置付けを明確化し, 1次歯科医療機関との連携を推進し, 包括的保健医療提供体制を確保することが必要である。
  • 岡部 功, 早津 良和, 福田 てる代, 篠崎 文彦
    1999 年7 巻1 号 p. 9-14
    発行日: 1999/04/23
    公開日: 2011/08/11
    ジャーナル フリー
    1990年4月から1995年3月までの5年間に山口大学医学部歯科口腔外科で治療を行った顎口腔領域悪性腫瘍患者は107名であった。これらの患者の性別は男性が70名, 女性が37名であった。平均年齢は62.5歳であった。このうち66名 (61.7%) が何らかの基礎疾患を有していた。疾患を分類すると, 39例 (34.8%) が消化器疾患を有しており, 最も多かった。次いで循環器疾患35例 (31.3%) であった。基礎疾患が原因で, 治療変更をしなければならなかったのは, 全患者中2名のみであった。38名 (57.6%) の患者が1疾患を有し, 16名 (24.2%) の患者が2疾患, 12名 (18.2%) の患者が3疾患以上有していた。全症例の5年累積生存率は58.3%であった。疾患数が増えるとともに5年累積生存率の低下を認めた。
  • 原 ケイ子
    1999 年7 巻1 号 p. 15-19
    発行日: 1999/04/23
    公開日: 2011/08/11
    ジャーナル フリー
    複数の基礎疾患にて長期療養中の有病者を対象として, 細菌・真菌検査を行い, 真菌特にCandidaの検出状況を検討した。検査を行ったのは375例 (男性199例女性176例) で, 年齢は33歳から89歳である。検体は舌・頬粘膜・歯肉・口蓋などの口腔粘膜と唾液から採取した。Candidaの検出は, 234例 (男性123例, 女性111例) 62.4%であった。
    菌種別の検出はCandida albicansが214例91.5%であった。Candida albicansのみの検出は132例56.4%で最も多かった。Candida albicansとその他の複数の菌種が分離された症例は82例35.0%であった。また, 複数の菌種が分離された症例では, C. albicans, C. glabrataの2種検出例は65例79.2%で最も多く, 次いでC. albicans, C. glabrata, C. tropicalisの3種検出例が11例13.4%であった。なお, Candida albicansが検出されなかったのは, 20例8.5%で, そのほとんどの菌種はCandida glabrataであった。
  • 川口 辰彦, 山川 摩利子, 武内 晴明
    1999 年7 巻1 号 p. 21-32
    発行日: 1999/04/23
    公開日: 2011/08/11
    ジャーナル フリー
    熊本市立熊本市民病院リウマチ科外来に通院し, 歯科診療を希望する慢性関節リウマチ (RA) 患者212名を対象として, 総合診療録を詳細に調査し, 診療前の状態について臨床的検討を加え, 以下の結果を得た。
    1) 合併症として, 問診では93名があると答え, そのうち高血圧が30名と最も多く, 次いで胃潰瘍23名の順であった。実際には140名が主に内科的疾患で, 本院内外で加療を受けており, そのうち胃潰瘍が45名と最も多く, 次いで高血圧35名の順であった。
    2) 薬剤に関しては, 一人平均4.73種類が使用されており, 非ステロイド性抗炎症剤は151名, ステロイド剤は113名, 抗リウマチ剤は117名に対してそれぞれ使用されていた。
    3) 血色素量において67名が異常値を示し, アルブミンで63名, 尿素窒素で64名, クレアチニンで69名, 血清鉄においては160名が異常値を示した。その他では, 心電図検査がなされた102名のうち44名に異常が認められた。
    4) ステロイド剤使用・不使用別の臨床検査では, 白血球数と血清鉄においてP<0.001でまた血小板数においてP<0.01で, その平均値に有意差を認めた。さらに白血球数, アルブミンと血清鉄において正常値を示すものと異常値を示すものの出現にP<0.005での有意差がみられた。
    以上より, RA患者の歯科診療にあたり, 問診を充実させるとともに, リウマチ科医師と緊密に連携を図り同科で実施された臨床検査結果, 治療内容を十分に把握することの重要性が認識された。
  • 桑澤 隆補, 松田 百合江, 吉川 和宏, 扇内 秀樹
    1999 年7 巻1 号 p. 33-38
    発行日: 1999/04/23
    公開日: 2011/08/11
    ジャーナル フリー
    1994年から1997年までの3年間に東京女子医科大学医学部歯科口腔外科を受診した65歳以上の老年患者は2,025名でそのうち有病者は1,623名, 有病率は80.1%であった。
    老年有病者1人あたりの疾患数は単一疾患を有するもの924名 (57.0%), 複数疾患を有するもの699名 (43.0%) 平均疾患数は1.58であった。
    他料疾患では循環器疾患が最も多く1,113名 (43.5%) を占め, 以下, 新生物, 内分泌疾患, 消化器疾患の順であった。
    当科での疾患は歯科疾患が1, 206名 (74.3%) を占め, 次いで炎症, 腫瘍, 外傷の順であった。
    処置内容は義歯関連の処置, 抜歯, 歯石除去の順に多かった。
  • 澤 裕一郎, 竹本 隆, 小板橋 勉, 川野 大, 中村 知美, 高木 宣雄, 宮城島 俊雄
    1999 年7 巻1 号 p. 39-42
    発行日: 1999/04/23
    公開日: 2011/08/11
    ジャーナル フリー
    成人のStill病は小児の関節リウマチが成人に生じたもので, 不明熱を生じる疾患として知られている。口腔外科領域の手術でも術後に原因不明の発熱を生じた場合, 術後感染以外の他の発熱性疾患の存在も考慮しなければならないと考える。今回筆者らは47歳, 男性で発熱, 関節炎, 皮疹を主徴とした本疾患症例を経験したので報告した。
    患者は抜歯および嚢胞摘出後に40度を超える発熱と手足首関節の腫脹を生じ, 同時に四肢の皮疹が認められ術後の二次感染により敗血症を継発したと臨床診断し数種類の抗菌剤を静脈内投与したが改善せずさらに免疫グロブリンを同時併用したが効果が得られなかった。そのため内科対診したところ, 発熱, 関節炎, 皮疹を主症状とする成人Still病と診断された。
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