有病者歯科医療
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13 巻, 2 号
選択された号の論文の7件中1~7を表示しています
  • 亀倉 更人, 舩津 暁子, 詫間 滋, 黒住 章弘, 木村 幸文, 飯田 彰, 藤沢 俊明, 福島 和昭
    2004 年13 巻2 号 p. 65-72
    発行日: 2004/09/30
    公開日: 2011/08/11
    ジャーナル フリー
    1998年1月から2003年9月までの過去5年9か月間に北海道大学歯学部附属病院 (現北海道大学病院歯科診療センター) 外来において, 各診療科から歯科麻酔科へ救急応援依頼のあった症例について検討を行った.
    歯科麻酔科に救急応援依頼があった症例は22例で, 当院外来総患者数の0.003%であった. 偶発症発生の場所は, 5例が治療前の待合室と医学部附属病院から移動中の廊下, 16例が診療室内, 1例が治療終了後の病院玄関であった. 診療室内での偶発症では, 局所麻酔施行例は11例, 局所麻酔非施行例は5例であった. 偶発症の原因の内訳は, 血管迷走神経反射が8例, てんかん発作4例, 狭心症発作3例などであった. なお, 22例中, 17例に何らかの基礎疾患が認められた. 当科応援到着前に血圧測定など何らかの対応がされていた症例は12例で, 10例は何もなされていなかった. 応援依頼に対し当科が行った処置は, 薬剤を投与した症例が9例, 静脈確保あるいは酸素投与のみの8例, 経過観察のみの症例が3例, 異物除去を試みた症例が2例であった. 全例症状は軽快した.
    今回の検討から, 待合室や玄関などの診察室以外で発生した偶発症でも当科に応援が依頼されていることがわかった. そのため常に患者の全身状態の把握につとめることはもちろんであるが, 医療スタッフをはじめ病院の全職員が, 患者の状況に気を配ることが重要と考えられた. また, 局所麻酔が不必要な比較的侵襲の少ないと考えられる治療時にも偶発症は発生しており, 治療内容にかかわらず, 偶発症発生に対する対応を整えておくことが重要と考えられた. 偶発症発生の際, 当科応援到着までに何も処置がなされていない場合が多かった. 偶発症の発生場所がどこであろうと, 最低でもバイタルサインの確認が行える体制を作る必要があると考えられた. さらに, 歯科治療に対する不安感緊張感, ストレスが偶発症発生の背景となっている症例が多いため, 鎮静法のより一層の活用が必要と考えられた.
  • 海津 基生, 布山 茂美, 中野 みゆき, 廣澤 利明, 大橋 誠, 藤井 一維, 佐野 公人, 柬理 十三雄
    2004 年13 巻2 号 p. 73-77
    発行日: 2004/09/30
    公開日: 2011/08/11
    ジャーナル フリー
    今回われわれは心筋梗塞発症による冠動脈インターベンション (以下PCI) 施行後, 約1か月と3か月の患者に対し全身管理法としてモニター監視下にミダゾラム使用静脈内鎮静法を併用し抜歯術を施行した.
    心筋梗塞発症後の歯科治療開始時期については発症から6か月以内を観血的処置禁忌もしくは対症療法にとどめることが一般臨床では定説となっている. 今回経験した2例では, 循環器科対診の結果, PCI施行後の心機能状態が安定していたことに加え, 心筋梗塞発症後6か月まで処置を先送りすることで, 患者の日常生活に支障をきたす恐れがあったため処置に臨んだ. PCIは, 局所麻酔下での処置が可能であり手術侵襲が比較的少ないという利点を有しており早期回復が期待できる. さらにステントを用いることで再梗塞率が減少するといわれている.
    今回の2例では術中, 術後に心機能の悪化や止血困難, 後出血などは認められず, 満足な結果を得ることができた.
    今後, さらに増加するであろう梗塞系疾患に対する診療計画は, 内科主治医への対診, 患者のQOLの向上と全身状態を勘案して立案することが肝要である.
  • 卯田 昭夫, 市倉 治, 荒木 佳苗, 加來 洋子, 渋谷 鉱
    2004 年13 巻2 号 p. 79-83
    発行日: 2004/09/30
    公開日: 2011/08/11
    ジャーナル フリー
    生理痛に対し頻回の使用経験のあるジクロフェナク (ボルタレン®) を抜歯後鎮痛の目的で使用し, アレルギー反応を経験した. 患者は30歳女性, 身長156cm, 体重45kg. 既往歴・家族歴に特記事項はない. 現病歴は1年7か月前, 右下智歯周囲炎のため来所. セフロキシムアキセチル (オラセフ®), ロキソプロフェン (ロキソニン®) 投与, その後は問題なく経過していた. 患者の希望で抜歯を計画, 表面麻酔後8万倍エピネフリン含有2%歯科用リドカイン2.7ml浸潤麻酔下で抜歯. 処置時間10分程度の単純抜歯であった. 50分後オラセフ®250mgおよびボルタレン®50mgを内服, その45分後に悪寒を認め再来. 嘔吐, 顔面蒼白, 意識障害および脈拍触知不能, さらに激しい腹痛を訴え水様便を排泄した. 急速輸液を行うとともに, コハク酸ヒドロコルチゾン (ソル・コーテフ®) 500mg, 臭化ブチルスコポラミン (ブスコパン®) 20mg静注. 約25分で回復し, 血圧112/82mmHg, 脈拍数64回/分, SpO2100%および腋窩温は37.2℃であった. 皮膚症状および呼吸困難感は認められなかった. リンパ球幼若化試験でボルタレン®は陽性を示した.
    アレルギー体質やアレルギーの既往歴, さらに薬物服用経験を問診によって聴取し, アレルギー反応やショックを回避するよう心がけなければならない. しかし, 本症例のように患者が自己管理で服用している鎮痛剤により, アレルギー反応を呈したため回避することはできなかった.
    アレルギー反応の予防のみならず, 発症時の適切な対処の習得も重要である.
  • 坂田 康彰, 都丸 泰寿, 今井 謙一郎, 内藤 実, 福島 洋介, 小林 明男, 津山 泰彦, 依田 哲也
    2004 年13 巻2 号 p. 85-88
    発行日: 2004/09/30
    公開日: 2011/08/11
    ジャーナル フリー
    膿原性肉芽腫は, 主に粘膜および皮膚に発現する隆起性の病変である. その成因については, 種々述べられているが, 現在においても一定の見解が得られていない.
    今回われわれは, 舌背に発現した膿原性肉芽腫について報告する. 症例は, 65歳, 女性. 患者は糖尿病の既往があり, コントロール不良の状態であった. 腫瘤は, 弾性軟, 赤褐色を呈し, 易出血性で, 15×8×10mmの大きさであった. 全身麻酔下に腫瘤を切除し, その後再発は認められていない. 本症例において, コントロール不良の糖尿病が, 本症例の膿原性肉芽腫の増殖に関与した可能性が示唆された.
  • 江田 哲, 鈴木 円, 重松 久夫, 馬越 誠之, 浜尾 綾, 須賀 則幸, 鈴木 正二, 坂下 英明
    2004 年13 巻2 号 p. 89-94
    発行日: 2004/09/30
    公開日: 2011/08/11
    ジャーナル フリー
    習慣性顎関節脱臼に対する外科的治療法にはさまざまな方法がある. 患者・家族・担当医らの要望, 年齢, 全身状態などを配慮して, 最適な治療法が選択されるべきである. 今回われわれは, 超高齢者の両側習慣性顎関節脱臼に対して観血的治療を行ったので報告する. 患者は91歳, 男性. 閉口不能を主訴に東邦病院歯科口腔外科を受診した. 両側顎関節前方脱臼の臨床診断にてHippocrates法による整復を行ったが, その後も脱臼をくり返した. そのため局所麻酔下にBuckley-Terry法に準じた両側顎関節前方障害形成術を施行した. 術後1か月間再発はみられなかったが, 老衰のために死去した.
  • 廣澤 利明, 中野 みゆき, 藤井 一維, 佐野 公人, 柬理 十三雄
    2004 年13 巻2 号 p. 95-100
    発行日: 2004/09/30
    公開日: 2011/08/11
    ジャーナル フリー
    ベンゾジアゼピン (BZ) 系薬剤の常用者に対する静脈内鎮静法施行時には, 耐性の問題から使用薬剤や投与量の決定に苦慮することがある. 今回著者らは, 日本歯科大学新潟歯学部附属病院で施行された静脈内鎮静法症例のうちBZ系薬剤内服中の8例について, 比較検討を行った.
    その結果, 通常量のミダゾラムで至適鎮静を得られた症例と, 投与量の増量または他剤への変更を必要とした症例で, 内服薬の種類や量などに明らかな傾向は認められなかった. さらにBZ系薬剤は臨床効果の個人差が大きいことを考慮すると, 内服薬から耐性を推測することは困難であると考えられた. 以上から, 使用薬剤や投与量の決定は, 臨床症状に応じた症例ごとの検討の必要性を再認識した.
    BZ系薬剤が奏功しなかった場合のそれに代わる薬剤にはプロポフォールがある. 本剤の作用機序には特異的な受容体が存在せず, NMDA受容体が関与するとの報告もあることから, BZ系薬剤に耐性を示す症例にも適するものと考えられる.
  • 2004 年13 巻2 号 p. 165
    発行日: 2004年
    公開日: 2011/08/11
    ジャーナル フリー
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