有病者歯科医療
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12 巻, 2 号
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  • 伊東 博美, 太田 和俊, 池辺 哲郎, 篠原 正徳, 岸田 剛, 伊東 隆利
    2003 年 12 巻 2 号 p. 55-60
    発行日: 2003/09/30
    公開日: 2011/08/11
    ジャーナル フリー
    本邦において, HIV感染症およびAIDS患者は増加傾向にあり, 治療薬の開発などHIV医療の著しい発展も加味され, 歯科外来を通院する患者は年々増加している. そこで, HIV感染患者の歯科治療の実態を把握するため, 過去3年間に熊本大学医学部附属病院を受診したHIV感染患者60名のうち歯科口腔外科を受診した23名について臨床的検討を行った. 男女比は9: 1で, 男性が有意に多く, 平均年齢は34.9歳で, 年齢分布では20代から40代に集中していた. 感染経路は, 約半数が血友病患者であった. HIV感染者は, 年々増加傾向にあったが, 歯科受診者は減少していた. 当科受診時のCD4細胞数は, ほぼ半数が600/ul以上であったが, 100/ul以下の重度免疫抑制状態の症例も2例みられた. ウイルス量では, 50コピー/ul未満の症例が7例, 50コピー/mm3から10,000コピー/ul未満の症例が13例, 10,000コピー/ul以上の症例が3例であった.
    23名に対して3年間で266回の診察機会があったがその中には, 除石が53回, 抜歯が18回含まれていた. 抗生剤の予防投与は1例のみで, 治療後特に問題とはならなかった.
  • CRP値と重症度の関連について
    和田 重人, 古田 勲, 山秋 洋人, 高桜 武史
    2003 年 12 巻 2 号 p. 61-66
    発行日: 2003/09/30
    公開日: 2011/08/11
    ジャーナル フリー
    1996年4月から2001年3月までの5年間に富山医科薬科大学附属病院歯科口腔外科において入院管理を要した急性歯性感染症53例を対象とし, CRP値と重症度の関連を中心に検討を行ない以下の結果を得た.
    1) 年齢は9歳から82歳に分布し, 平均44.1歳であった. 年代別では20歳代から50歳代の症例が全症例の73.1%を占めていた. 性別では男女比1: 1.2であった.
    2) 炎症の種類では, 顎骨周囲炎が26例 (49.0%) と最も多く, 次いで蜂窩織炎17例 (32.1%) 歯性上顎洞炎が4例 (7.5%), 智歯周囲炎が3例 (5.7%) が多く認められた. その他3例は, 歯周組織炎が2例, 顎骨骨髄炎が1例であった.
    3) 有病率は, 47.2%と高く, 中でも高血圧症 (6例), 糖尿病 (3例), 腎疾患 (3例), 肝疾患 (3例) などが多く認められた.
    4) CRP値と入院日数に相関が認められた (Y=0.44X+4.44, R=0.51, R2=0.26, P=0.0016, N=35). なお, 縦隔炎に移行した2例における入院時のCRP値は, 26.2および28.4mg/dlときわめて高値であった.
  • 原 ケイ子
    2003 年 12 巻 2 号 p. 67-71
    発行日: 2003/09/30
    公開日: 2011/08/11
    ジャーナル フリー
    脳膿瘍から嫌気性菌で歯周病の主要な原因菌Porphyromonas gingivalisが検出された1例を報告する. 患者は反復する左側頭部疼痛を主訴とする52歳の男性で, 左側頭葉から頭頂葉にかけて著明な浮腫を伴う径3cm大の膿瘍がみられた. 全顎におよぶ重度の歯周病巣以外に明らかな感染源は認められないことから, 本菌は歯周病部からの血行性播種と推定された. 近年歯周病と虚血性心臓病や動脈硬化症などの疾患との関連が注目されており, 本症例は歯周病と全身性疾患との関係解明の糸口となる興味深い症例であり, 日常的な嫌気性菌培養検査としてPorphylomonas gingivalisの検出ができるようになることが望まれる.
  • 喜久田 利弘, 奥嶋 靖子, 都 温彦
    2003 年 12 巻 2 号 p. 73-79
    発行日: 2003/09/30
    公開日: 2011/08/11
    ジャーナル フリー
    ワルファリンカリウム (ワーファリン) 服用中患者の抜歯後に出血や合併症のない画一的な方法はない. そこで福岡大学病院歯科口腔外科で行われている5種類のワーファリン服薬方法下での術後出血や合併症の有無を後ろ向きに調査した. 対象は1996年1月1日より2003年4月30日までの7年4か月間に抜歯したワーファリン服用中患者74例 (継続: 16例, 減量: 11例, 減量から休薬: 4例, 休薬: 35例, ヘパリン変更: 8例) である.
    その結果, 抜歯後に重篤な全身的合併症はなかった. 抜歯後出血は, 継続群に16例中1例, 休薬群に35例中3例認めた.
    今回の臨床的検討から1回に1歯または数歯の普通抜歯であれば, ワーファリン継続下での止血管理は可能と考えられた. 一方, トロンボテスト値が10%未満の症例, 骨削除が必要な埋伏抜歯や多数歯の一括抜去が必要な症例では, 血栓予防と止血が確実なヘパリン製剤への変更が望ましいと考えられた. また, 外来で抜歯を行う場合は, 後出血や全身的合併症に速やかに対応できる入院体制の配慮が必要と考えられた.
  • 全国大学病院歯科口腔外科におけるアンケート調査
    藤森 林, 栗田 浩, 小塚 一芳, 小嶋 由子, 中塚 厚史, 小池 剛史, 小林 啓一, 倉科 憲治
    2003 年 12 巻 2 号 p. 81-89
    発行日: 2003/09/30
    公開日: 2011/08/11
    ジャーナル フリー
    本報告の目的は, 外来口腔外科処置における同意書の使用状況を把握することである. 対象は, 全国大学病院歯科口腔外科113施設とした. 質問は, 普通抜歯, 埋伏抜歯, 外来手術の処置別に, 現在の同意書の使用状況同意書を用いる必要性, 同意書を用いる予定があるか, 調査した. そして, 最後に患者とのトラブルを防止する工夫を記載してもらった. 75施設 (回収率66.4%) より回答が得られ, 結果は以下の通りであった. 現在同意書は, 普通抜歯で26%, 埋伏抜歯・外来手術で約半数の施設で活用されていた. 同意書の必要性は, 普通抜歯で約半分, 埋伏抜歯, 外来手術で約8割の施設で感じていた. また, 約9割の施設が今後同意書を活用する予定, あるいは検討中と解答した.
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