抗血栓薬服用者45例について抜歯時の対応と術後出血の有無について検討し, 以下の結果を得た.
抗凝固薬服用者24例にいて, 維持量投与で抜歯した者は19例, 減量または中止した者は5例であったが, いずれも止血困難は認められなかった. 抗血小板薬服用者24例の出血時間では, 1例のみに11分30秒と出血時間の延長が認められが, 維持量投与で抜歯を行った者20例と減量または中止した4例のいずれも止血困難は認められなかった.
抗血栓薬服用者では, 維持量投与で抜歯を行っても局所止血処置のみで通常の止血状態を得ることができた.
以上のことから, 抗血栓薬服用者の抜歯において, 適切な局所的物理的止血法を行えば止血可能であり, 休薬や減薬のリスクを考慮すると, 維持量投与での抜歯が望ましいと考えられた.
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