蘇生
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24 巻, 1 号
選択された号の論文の7件中1~7を表示しています
  • 小玉 忠知, 行岡 秀和, 加藤 昇, 栗田 聡, 五谷 寛之
    2005 年 24 巻 1 号 p. 1-4
    発行日: 2005/03/20
    公開日: 2010/06/08
    ジャーナル フリー
    病院外心停止360例のうち一週間以上生存した46例を対象として, 心停止の原因, 救急隊現場到着時心電図, 入院一週間後の意識レベル, 人工呼吸・入院期間, 転帰を調査した。
    46例のうち61%は心原性心停止で, 心室細動は20%であった。社会復帰10例のうち心室細動は5例に認められ, 入院一週間後のJapan coma scale (JCS) は10以下であった。人工呼吸期間は5.0±4.9日, 気管切開は1例にのみ施行された。植物状態となった14例のうち心室細動は3例で, 一週間後のJCSは1例 (JCS20) を除き, 200以上であった。人工呼吸期間20.9±15.5日, 入院日数88.8±51.3日であった。院内死亡した22例はすべて一週間後のJCSが200以上であった。
    入院一週間後のJCSが200以上の患者は, 意識回復の可能性が低いため, 早期気管切開や人工呼吸離脱を考慮すべきである。
  • 門井 雄司
    2005 年 24 巻 1 号 p. 5-9
    発行日: 2005/03/20
    公開日: 2010/06/08
    ジャーナル フリー
    頭部外傷直後のL-アルギニン投与によりパーオキシナイトライトの指標となるnitrotyrosineが脳ラット組織にいかなる変化をきたすかをWistar系ラットを用いて検討した。fluid percussion modelにより頭部外傷を作成し, L-アルギニン300mg/kgあるいは生理的食塩水を静注し, 頭部外傷2時間まで血行動態及びlaser Doppler法による脳局所血流量の変化を観察した。また頭部外傷12時間, 24時間, 72時間後に脳組織のnitrotyrosine染色を行い陽性細胞数を検討した。対照群とL-アルギニン投与群で, 外傷前の局所脳血流には差を認めなかった。対照群では頭部外傷後に局所脳血流変化が著明に低下し, 120分後までその低下が観察された。一方, L-アルギニン投与群においては, 外傷前後で局所脳血流の低下が観察されなかった。外傷後12時間において, L-アルギニン投与群は対照群と比較して著明なnitrotyrosine陽性細胞数の増加をしめしたが, 時間と共に陽性細胞数は減少してきた。一方, 対照群は, 外傷後24時間後からnitrotyrosine陽性細胞数の増加を認め, 72時間後にも増加していた。これらの結果から頭部外傷後のL-アルギニン投与により脳血流低下を改善出来たが, nitrotyrosine陽性細胞は一時的にせよ増加し, 細胞レベルでは障害が進行している可能性が示唆された。
  • 宮本 麻央, 室園 美智博, 松本 晶平, 一色 淳, 渡辺 泰雄
    2005 年 24 巻 1 号 p. 10-16
    発行日: 2005/03/20
    公開日: 2010/06/08
    ジャーナル フリー
    グルタミン酸 (Glu) 誘発の脳細胞死に対するac-PACAP30の神経保護効果を検討した。生後8日齢ラットの小脳顆粒細胞を, グリア細胞と神経細胞が混在する群 (A群) , グリア細胞の増殖を抑えた細胞群 (B群) , の二群に分けた。細胞障害はcalcein蛍光法で, IL-6, GM-CSF発現はELISA法で解析を行なった。Glu誘発の脳細胞死発現はいずれの群においても約60%であった。しかし, A群ではac-PACAP30は10~1000fMの濃度で用量依存的に細胞保護効果を示した。
    しかも, IL/6, GM-CSFともに濃度依存性の放出が認められた。一方, B群では細胞保護効果や神経保護サイトカイン放出も認められなかった。すなわち, ac-PACAP30はグリア細胞を介してIL-6, GM-CSFを放出させ, 極めて低濃度で脳保護効果をもたらすことが明らかになった。
  • 佐藤 俊秀, 城 嘉孝, 橋口 清明
    2005 年 24 巻 1 号 p. 17-20
    発行日: 2005/03/20
    公開日: 2010/06/08
    ジャーナル フリー
    電気工事中の感電により電柱上で心停止になった青年男子で, 市民による通報と同僚の作業員による心肺蘇生から, 救急隊による心肺蘇生の継続と搬送, 病院における心拍再開から脳指向型集中治療までの“生命の鎖”により救命され職場復帰に成功した症例を経験した。事故現場からの通報を受け救急隊は事故発生から6分以内に到着したが, 本院救急外来における心拍再開までには合計36分を要した。心肺蘇生と同時に軽度低体温管理を開始し数日間継続した。肺炎, 膿胸, アレルギー性紫斑病などの重篤な合併症のため, 退院までに約6ヶ月を要したが, 神経学的には良好な回復が得られ職場復帰を果たすことができた。厚生労働省が進める一般市民による自動体外式除細動器 (automated external defibrillator, AED) の使用が普及すれば, このような症例は適応になると思われた。
  • 望月 利昭, 土井 松幸, 佐野 秀樹, 中川 智永子, 藤井 俊輔, 白石 義人, 数井 暉久, 佐藤 重仁
    2005 年 24 巻 1 号 p. 21-24
    発行日: 2005/03/20
    公開日: 2010/06/08
    ジャーナル フリー
    多発交通外傷を受傷した74歳男性が二度の病院間搬送後当院ICUに搬送された。入室時所見はsystemic inflammatory response syndrome (SIRS) に一致した。右下肢動脈血栓除去術後に腎不全を発症, 高カリウム血症および代謝性アシドーシスの進行よりmyonephropathic metabolic syndrome (MNMS) と診断した。多臓器障害が進行し, 第5病日永眠された。同日のtissue plasminogen activator (t-PA) 33.9ng/ml (基準値10ng/ml以下) , plasminogen activator inhibitor-1 (PAI-1) 659.3ng/ml (同50ng/ml以下) , PAPAI-1 complex 25.4ng/ml (同17ng/ml以下) , Euglobulin clot lysis time (ECLT) 25.7時間 (同6-12時間) だった。受傷時情報は不明だったが遅発性左下肢循環障害も観察されたため多臓器障害進行には挫滅症候群の関与も疑われた。
    本症例の多臓器障害の進行には高PAI-1血症による線溶系過剰抑制が示唆された。
  • 水野 樹, 花岡 一雄
    2005 年 24 巻 1 号 p. 25-31
    発行日: 2005/03/20
    公開日: 2010/06/08
    ジャーナル フリー
    日本蘇生学会会員数を47都道府県別および10地方別に調査し比較した。人口10万人あたりの正会員数, 蘇生法指導医数は全国平均1.10人, 0.14人, 正会員数は東京, 中国, 北陸, 東北地方で多かった。医師数に占める正会員数, 蘇生法指導医数の割合は全国平均0.53%, 0.07%, 正会員数は中国, 東京, 北陸, 関東甲信越, 東北地方で高かった。一般病院数あたりの正会員数, 蘇生法指導医数は全国平均0.15人, 0.02人, 正会員数は東京, 中国, 関東甲信越, 東北地方で多かった。一般病院病床数1000床あたりの正会員数, 蘇生法指導医数は全国平均0.85人, 0.11人, 正会員数は東京, 中国, 北陸, 関東甲信越, 東北地方で多かった。日本蘇生学会会員数には地域較差が存在する。
  • Takeshi Takahashi, Hiroshi Oiso, Daisuke Miyauchi, Masahiro Harada, Sa ...
    2005 年 24 巻 1 号 p. 32-34
    発行日: 2005/03/20
    公開日: 2010/06/08
    ジャーナル フリー
    It is often difficult to confirm the correct clinical diagnosis of patients with cardiopulmonary arrest on arrival (CPAOA) in the emergency room, because the extent of examination is limited unless spontaneous circulation recovers. For CPAOA cases in which the cause of death is undetermined, it is important to establish the cause whenever possible, to avoid a making presumptive diagnosis in the absence of autopsy data. Therefore, in the years 1997-2000, autopsy was performed in 73 CPAOA cases in which the cause of death was undetermined. The most frequent cause of death was acute myocardial infarction (36 cases [49%] ) . Other major causes of death included dissection and/or aortic rupture in 7 uses (10%), pneumonia in 6 cases (8%), and heart failure and pulmonary artery thromboembolism in 4 cases (5%) . Clinically inferred diagnosis was in accordance with pathological diagnosis made by autopsy only in 59% of 73 patients. Emergency physicians must actively seek informed consent for autopsy to establish the cause of death, especially in cases of CPAOA-related deaths with unknown clinical diagnosis.
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