蘇生
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31 巻 , 2 号
蘇生31巻2号
選択された号の論文の7件中1~7を表示しています
症例
  • 山口 裕充, 小林 充, 望月 利昭, 白石 義人, 佐藤 重仁
    2012 年 31 巻 2 号 p. 52-56
    発行日: 2012/08/10
    公開日: 2012/09/06
    ジャーナル フリー
     全身麻酔下で直達喉頭鏡挿入後に心肺停止に陥り,心肺蘇生に反応しなかった症例を経験した。74歳女性,大動脈弁狭窄症に対し7ヶ月前に弁置換手術を施行,声門下腫瘤に対し全身麻酔下に腫瘤生検が予定された。全身麻酔導入後,生検のための直達喉頭鏡を挿入したところ,洞性頻脈とST低下に続き心肺停止に陥り,心肺蘇生に反応せず死亡に至った。大動脈弁狭窄症では,人工弁置換6ヶ月後も心筋酸素需給不均衡を引き起こす病態が残存することがある。本症例では,十分な麻酔深度であったにもかかわらず直達喉頭鏡の挿入刺激で心筋虚血に陥り,心肺蘇生を行っても心筋酸素需給不均衡が是正できなかったと考えられた。
  • 五十洲 剛, 小原 伸樹, 細野 敦之, 大橋 智, 中野 裕子, 飯田 裕司, 村川 雅洋
    2012 年 31 巻 2 号 p. 57-62
    発行日: 2012/08/10
    公開日: 2012/09/06
    ジャーナル フリー
     当院における頭頸部手術の術後出血に対する再手術時の麻酔について検討した。2006年1月1日から2009年6月30日までの間に,当院で行われた麻酔科管理症例のうち,開頭術を除いた頭頸部手術術後で,出血のため緊急で再手術が行われた患者を対象とした。検討項目は1回目の手術室退出から再入室までの時間,麻酔導入および維持の方法,気管挿管の難易度などとした。該当症例は6例で,1回目の麻酔では問題なかった。再入室時間は,4例では5時間前後,再手術時の麻酔導入は,通常の導入が4例,筋弛緩薬を使用する前に喉頭展開したものが1例,意識下挿管が1例で,いずれも問題なかった。気道に影響を及ぼす付近の出血による再手術時の麻酔では,その麻酔導入には十分な注意が必要である。口腔内に新鮮な出血があるか,頸部腫脹で気道が圧迫されて呼吸困難があるかなどは,麻酔の導入方法を決める上で重要なポイントである。それに加えて,いつでも外科的気道確保ができる体制で,麻酔を導入すべきである。
  • 下田 元
    2012 年 31 巻 2 号 p. 63-65
    発行日: 2012/08/10
    公開日: 2012/09/06
    ジャーナル フリー
     中学校軟式野球大会の試合を観戦中に,キャッチャーの上体に野手からの送球が直撃後,一過性の意識消失を呈したと思われる状況に遭遇した。直後に診察した結果,応答があり呼吸は保たれ,橈骨動脈の触診では徐脈を認めた。AEDの設置を確認し安静を図りながら視診したところ,右側頸部にボール直撃の形跡として円形打撲痕を認めた。胸部などに外傷の痕跡がないことを再度確認した。以上の他覚的所見から,頸部に及んだ強い圧刺激に起因した頸動脈洞反射による循環動態の急変と判断した。
     本経験から,日常でのbystander による迅速な対処と,頸部への衝撃に対しては,頸動脈洞反射を念頭に置いた対応が必要であることを再認識した。
  • 坂本 麗仁, 齋藤 啓一郎, 伊藤 美保, 金田 徹, 鈴木 利保
    2012 年 31 巻 2 号 p. 66-69
    発行日: 2012/08/10
    公開日: 2012/09/06
    ジャーナル フリー
     70歳女性,呼吸困難を主訴に来院。急性肺血栓塞栓症(APTE)の診断で抗凝固療法が開始されたが下血が出現。精査にて上行結腸癌と診断。貧血の増悪で抗凝固療法が中止され上行結腸切除術が先行された。術前IVCフィルターを挿入し完全静脈麻酔で術中管理した。経食道心エコーの所見で右肺動脈内腔に約80%を占める血栓を認めたが術中増大傾向はなかった。手術終了後麻酔からの覚醒に問題なく抜管し集中治療室へ帰室した。APTEに対しては抗凝固療法がその治療法であるが,腫瘍からの出血のため抗凝固療法を中断し手術治療を可及的速やかに行わざるを得ない稀な症例であった。術前術中の適切な対策と準備で安全な周術期管理が可能となった。
総説
  • 川嶋 隆久, 大村 和也
    2012 年 31 巻 2 号 p. 70-78
    発行日: 2012/08/10
    公開日: 2012/09/06
    ジャーナル フリー
     ILCORが作成するCoSTRを基に作成された,我が国のJRC蘇生ガイドライン2010,AHAガイドライン2010,ERCガイドライン2010ともに,mild hypothermiaは脳虚血に対し神経を防御し,心肺蘇生後患者の予後を改善するものとして推奨している。冷却が心停止後患者に有効な理由,低体温の生理学的影響と合併症,低体温の禁忌,どのような心停止後患者を冷却すべきか,冷却方法,いつ冷却すべきか,低体温と他の治療法との併用療法,心停止後患者の予後推定,予後推定における低体温療法のインパクト,今後の課題について概説した。また我々が施行している体温を35~36℃台にコントロールするnormothermia療法の成績と,新たな試み多施設共同研究「咽頭冷却法」の成果の一部を紹介した。
講座
  • 相引 眞幸, 馬越 健介, 菊池 聡, 大坪 里織, 大下 宗亮, 松本 紘典, 西山 隆
    2012 年 31 巻 2 号 p. 79-81
    発行日: 2012/08/10
    公開日: 2012/09/06
    ジャーナル フリー
     自己心拍再開後のEarly-directed Goal Therapy (EGDT)が検証されている。これは,前負荷,後負荷,心収縮力などを至適な状態に改善し,神経学的予後改善を目指す。急性冠症候群症例では経皮的冠動脈形成術,IABP (Intra-Aortic Balloon Pumping)と,カテコラミンでは,NorepinephrineおよびDobutamineが重要であり,低体温療法中は,前負荷の減少に対する輸液負荷,IABPおよびカテコラミンも重要である。一方,著者らは,自身が報告した低体温中の直接的心抑制に対しdobutamineを投与し,末梢循環不全に対し血管拡張療法も併用する(CCM, 2000;28:3854)。本稿では,心停止症症候群例に対するEGDTと,これまで著者らが行ってきた低体温療法中の循環管理について概説する。
報告
  • 村川 雅洋
    2012 年 31 巻 2 号 p. 82-84
    発行日: 2012/08/10
    公開日: 2012/09/06
    ジャーナル フリー
     2011年3月11日に発生した東日本大震災時,福島県立医科大学附属病院では,患者の安全確保を行うとともに,被災重症患者の受け入れ態勢を整備した。しかし,断水のため手術・透析の制限などを余儀なくされた。また,引き続く東京電力福島第一原子力発電所の事故に対しては,原発内の被ばく・負傷作業員らの除染・治療,避難地域内医療施設からの患者受け入れと域外搬送も行った。急性期以後には,県内各地の避難所における小児科診療や感染制御,深部静脈血栓症や心疾患のスクリーニング,心のケアなども行った。その後継続して,全県民の健康管理調査を含め,地域医療の再構築に向けて,安心して暮らせる福島県を取り戻す使命を担っている。
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