日本地すべり学会誌
Online ISSN : 1882-0034
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56 巻 , Special_Issue 号
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序文
論文
  • 檜垣 大助, 李 学強, 林 郁真, 鄒 青穎, 木村 誇, 林 信太郎, 佐藤 剛, 後藤 聡
    2019 年 56 巻 Special_Issue 号 p. 218-226
    発行日: 2019年
    公開日: 2019/08/20
    ジャーナル フリー

     西南日本, 九州中部にある阿蘇火山の斜面では1990, 2001, 2012年の豪雨で多数の浅層崩壊が発生した。本論文は, 同火山の高岳地区, 妻子ヶ鼻地区で, それら崩壊の分布のGIS解析と発生域の地形分類から, 集中的な崩壊発生の地形的原因を把握することを目的とした。3時期の崩壊について崩壊源を航空レーザ測量による1m DEMから作成した赤色立体地図上にマッピングした。崩壊のほとんどが傾斜25°以上, 50m×50m窓の範囲での起伏量20m以上で発生していたが, これらはそれぞれ豪雨時の崩壊発生下限勾配と不安定化した土層の崩落しうる比高を表している。両地域で, 2012年崩壊の半数以上が1990, 2001年崩壊と離れた所に発生し, 同様に2001年崩壊の半数以上が1990年崩壊と離れた所に発生していた。2012年崩壊は, 2001年及び1990年の崩壊の隣接背後と隣接横で, それぞれ高岳地区で32.7%, 21.2%, 妻子ヶ鼻地区でそれぞれ19.1%, 28.4%の割合で発生した。対照的に, 崩壊地の内部では, 2012年, 2001年の崩壊が, 高岳でそれぞれ3―4%, 妻子が鼻で1―7%の発生と少なかった。阿蘇火山では, 崩壊跡地形の調査域に占める面積割合は約50%に達することから, 浅層崩壊が頻繁に起こってきたと言える。微地形分類図による2012年の崩壊発生源と崩壊跡地形 (以下 : 跡地形) との位置関係は, 1) 跡地形隣接背後, 2) 跡地形隣接横, 3) 崩土を伴わない崩壊跡地形の中, 4) 崩壊跡地形下方, 5) 崩壊跡地形の崩土とその周囲, 6) 遷急線下の谷壁斜面, 7) 独立, に分けられる。その中でタイプ1) がとくに多く2), 3) の発生がやや多い。崩壊跡地形との関係では, 2012年の崩壊がタイプ1), 2), 3) で多かったのに対し, 2001年, 2012年の崩壊が, それぞれ前回 (1990年), 前々回 (1990年) と前回 (2001年) の崩壊地の内部で起こった割合が小さかったのは, 長期的な崩土上への降下テフラの堆積や跡地形滑落崖からの匍行物質堆積とそれによるすべり面上の土層厚さの増加が理由とみられる。また, タイプ1), 2) が多く, 前回崩壊で隣接背後・横の発生が多かったのは, 斜面末端部でのバランス減少が原因である。以上から, 豪雨による崩壊発生危険斜面の把握可能性についても述べた。

  • 若井 明彦, 堀 匡佑, 渡邉 暁乃, 蔡 飛, 深津 ひろみ, 後藤 聡, 木村 誇
    2019 年 56 巻 Special_Issue 号 p. 227-239
    発行日: 2019年
    公開日: 2019/08/20
    ジャーナル フリー

     近年, 気象レーダー等から推定される雨量強度の空間分布のデジタル情報を使うことが容易となり, 例えば, FEMに基づく飽和-不飽和浸透流解析のような高精度解析技術を用いることで, 短時間の集中豪雨による斜面内の地下水位上昇の様子を再現することが可能となっている。しかしながら, こうした数値解析には, 高性能計算機と長時間演算が必要となることが多く, 解析雨量に基づくリアルタイムの早期警戒判断などにその解析結果を利用したい技術者にとっては制約も大きい。そこで本研究では, 斜面内の浅層地下水の水位上昇の時刻歴を予測するための簡易な計算方法を, 半無限斜面仮定の下で実施した一連の有限要素解析のパラメトリック・スタディの結果に基づいて開発した。将来, 本手法で予測された地下水位と斜面材料のせん断強度に基づいて, 時々刻々と変化する表層崩壊に対する安全率の低下をリアルタイムで評価することが可能となる。

研究ノート
  • 木村 誇, 後藤 聡, 佐藤 剛, 若井 明彦, 林 信太郎, 檜垣 大助
    2019 年 56 巻 Special_Issue 号 p. 240-249
    発行日: 2019年
    公開日: 2019/08/20
    ジャーナル フリー

     平成24年 (2012年) 7月九州北部豪雨で表層崩壊が多発した阿蘇カルデラ北東部地域において, 阿蘇火山の噴火史研究に基づくアイソパックマップからスプライン法を用いて潜在すべり面までのテフラ層厚分布を推定し, 現地の11地点で実測した層厚と比較したところ, 推定層厚と実測層厚との比であるテフラの残存率 (Rr) は0.12~0.31の範囲にあって, 傾斜角や曲率の増加に伴って減少する傾向がみられた。こうした層厚分布の特徴を考慮した無限長斜面の斜面安定解析を行うことで, 2012年7月豪雨で発生した崩壊地 (頭部滑落崖309箇所) の最大約84%を捕捉することができ, 本手法で算出した安全率 (Fs) の確からしさが示された。一方で, Fsが1.00を下回る斜面領域すべてを崩壊危険地として抽出すると, その面積割合は解析対象範囲の約67%となり, 1回の豪雨で発生する崩壊地の面積割合 (約4~15%) と比べて過大な抽出結果になることも明らかになった。

技術報告
  • 佐藤 剛, 若井 明彦, 後藤 聡, 木村 誇
    2019 年 56 巻 Special_Issue 号 p. 250-253
    発行日: 2019年
    公開日: 2019/08/20
    ジャーナル フリー

      Large-scale sediment disasters, induced by heavy rains in 1990, 2001, and 2012, occurred in the Aso caldera in Kumamoto prefecture, Japan. These natural disasters were caused by shallow landslides of unconsolidated slope deposits. Geomorphological and geological surveys of the Mt. Takadake slope in the Aso caldera showed an outcrop that exhibited characteristics of the initial stage of a shallow landslide (Sato et al. 2017). These deposits consist of tephra and “Kuroboku” (humus andosols) layers, deformed by a flow-type gravitational deformation. Sato et al. (2017) indicated that the deformed slope deposits exhibited significant risk of future shallow landslides. Therefore, it is necessary to investigate the ground strength of the deformed layers and evaluate the risk of future landslides. In this study, the ground strength of soil layers is measured using a vane shear cone test and a number of soil tests. The results of these tests reveal that the strength of the deformed layers is lower than that of the un-deformed layers.

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