日本地すべり学会誌
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60 巻, 2 号
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論文
  • ―新潟県の新第三紀泥岩分布地域の事例―
    小松原 琢
    2023 年 60 巻 2 号 p. 49-61
    発行日: 2023年
    公開日: 2023/04/14
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     隆起しつつある丘陵地域における斜面地形発達の段階を提案し, 地震地すべりを生じさせやすい地形の特徴を論じた。新潟県の中新-鮮新統泥岩からなる丘陵では, 次の地形発達段階が認められる。隆起初期の起伏量100m以下の段階 (線状浸食卓越期) には, 地すべりのような塊状浸食はまれな一方, ガリー浸食のような線状浸食が卓越する。次いで隆起の前期から成熟期 (起伏量100m~数100m) に至る塊状浸食拡大期には, 起伏の増大につれて塊状浸食が次第に優勢となっていく。さらに隆起運動が継続すると, 隆起が継続しても塊状浸食により起伏が減殺されて起伏量の平衡状態が生み出される。これを塊状浸食飽和期とする。隆起が減衰すると不明瞭な地すベリ地形は発達していても, 浸食作用は衰える浸食減衰期に至る。

     2004年新潟県中越地震では, 塊状浸食拡大期にある, 起伏量140~240mの地域で地震地すべりが多発した。

研究ノート
  • ―地震地すべりに影響する揺れやすさの基礎研究―
    飯田 智之, 川邉 洋, 陳 麒文, 山田 隆二, 佐藤 昌人
    2023 年 60 巻 2 号 p. 62-71
    発行日: 2023年
    公開日: 2023/04/14
    ジャーナル フリー

     山地斜面等のKiK-netで観測された多数の地震について, 加速度振幅のフーリエスペクトルに関する地表と地中のスペクトル比 (SR) を求め, 周波数ごとの平均を平均スペクトル比 (ASR) とした。さらに, 周期0.1~0.5秒間の平均値を平均スペクトル比強度 (ASRI) とし, 地震動増幅の指標とした。ASRIと地盤指標としての30m深平均S波速度 (AVS30) との間に明瞭な負の相関がみられ, 近似的には山地においても地震動増幅の指標としてAVS30が適用できることが推定された。一方, ASRIと地形指標の曲率との間には, 弱い正の相関がみられた。また山地斜面の地形の影響が示唆されるケースもあった。しかし, ASRが山地斜面以外と大差ない山地斜面が多数存在することから, 山地斜面の揺れやすさは限定的であることが推定された。

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