本論文では, 広島圏域の表層崩壊に起因する土石流発生事例および奈良県南部地方の深層崩壊発生事例について分析を行い, 豪雨時土砂災害発生予測に用いる3段直列タンクモデルのパラメータについて, 種々の考察を行った。その結果, 土壌雨量指数のピーク時刻は土石流発生時刻とほぼ一致するものの, 深層崩壊発生時刻とは大きなズレがあることを確認できた。しかしながら, 同指数の算出に用いられているパラメータのうち, 6つのパラメータを最適化することで, 第3タンク値 (第3タンクの貯留高) のピーク時刻を深層崩壊発生時刻に近づけられることが明らかとなり, 豪雨時深層崩壊発生予測には第3タンク値が有効となる可能性が示唆された。
1993年7月12日に発生した北海道南西沖地震により, 奥尻島および北海道本島日本海沿岸に多くの斜面崩壊が発生した。本研究では, 本地震による斜面崩壊の発生場を規定する要因について, GISによる特徴量解析とランダムフォレストによる影響度評価を行った。その結果, 本地震による斜面崩壊の発生に最も寄与する因子は斜面方位であり, その理由として, 地盤変動停止時の慣性力の影響があげられる。本研究により, 斜面崩壊発生要因の影響度評価におけるランダムフォレストの有効性が示された。