Journal of Mammalian Ova Research
Online ISSN : 1347-5878
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15 巻, 2 号
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原著
  • 馬場 彩, 鈴木 達行
    1998 年 15 巻 2 号 p. 109-112
    発行日: 1998年
    公開日: 2006/07/08
    ジャーナル フリー
    本研究ではこれまで報告されてきた各種の組織培養液を用いてウシ体外受精を行い,胚の発生率を比較検討した.ウシ卵母細胞の体外成熟と発生を目的にTCM-199,Brinster,Ham'sF-10,mCR1aa,mBavister,mSOFの各培地を用い,BO液を媒精に用いた.その結果TCM-199,mBavisterとmSOFにおける分割率と胚盤胞率がそれぞれ80.6%と33.2%,49.5%と25.7%,59.8%と19.0%の割合になった.これに対してBrinster,Ham'sF-10とmCR1aaでは,それぞれ31.6%と0%,38.3%と0%,36.0%と9.9%となり前者のグループに比べて低かった.次にmBavister液を用い,グルコースの添加,無添加別に胚の発生を比較したところ,胚盤胞率がそれぞれ25.7%と15.7%となり前者で有意(p<0.05)に高かった.またBO液又はmSOFを媒精液として用いた実験での胚の分割率と胚盤胞率はそれぞれ59.8%と70.0%,19.0%と20.6%となり両者に差異はみられなかった.このことからTCM-199,mBavister並びにmSOFは体外成熟,体外発生に有効であること,mBavisterの発生培地へのグルコース添加はその後の胚の発生に有効であること,mSOFは体外受精においてBO液と同様の効果のあることが明らかにされた.
  • 野村 雅史, Sumantri Cece, 鈴木 達行
    1998 年 15 巻 2 号 p. 113-116
    発行日: 1998年
    公開日: 2006/07/08
    ジャーナル フリー
    本研究では22時間体外成熟させたウシ卵母細胞を0,5,10,15,20時間前培養した精子で体外受精し,胚の分割,発生と性差について検討した.卵母細胞はFSH,過剰排卵処置ウシ血清(SCS)加TCM-199培地内で38.5℃,5%CO2の条件下で22時間成熟培養した.精子はカフイェンとヘパリンを含むBrackett and Oliphant's液で前培養後,卵母細胞を入れて媒精を5時間行い,5 μg/ml Insulin,5%SCS加TCM-199のドロップ内で発生培養した.分割率は受精後48時間目に,胚盤胞率は8日目に調べた.性判別は凍結融解胚を1/2に分割し,XYセレクターを用いたPCR後,電気泳動像から性判定した.受精後の分割率は精子を0,5時間前培養したグループが他のグループよりも有意(P<0.01)に高く,胚盤胞率では,前培養時間を0時間としたグループが他のグループよりも有意(P<0.01)に高かった.発生ステージ別に分けた胚盤胞,拡張,脱出中,脱出胚盤胞の各割合は各前培養時間別に差がなかった.また,精子前培養の0,5,10,15時間別に発生した胚盤胞の性別は雄雌別にそれぞれ5:7,5:7,5:7,6:6となり性差はなかった.これらの結果から精子の老化が受精に不利な影響をもたらすこと,精子の前培養時間の長短で胚に性差が誘起されないことが明らかにされた.
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