Journal of Mammalian Ova Research
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22 巻, 2 号
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総説
  • 若山 照彦
    2005 年 22 巻 2 号 p. 49-58
    発行日: 2005年
    公開日: 2005/06/04
    ジャーナル フリー
    クローン技術は農業の改良や基礎生物学の解明に役立つ重要なテーマだが,成功率が低い原因,初期化のメカニズム,多発する流産や異常の原因などについてはほとんど何も明らかとなっていない.しかし再生医学への応用へ向けた研究はすでに始まっている.本稿ではマウスを中心に体細胞クローン技術の現状について解説する.
  • 桑原 章, 檜尾 健二, 山野 修司, 苛原 稔
    2005 年 22 巻 2 号 p. 59-63
    発行日: 2005年
    公開日: 2005/06/04
    ジャーナル フリー
    子宮外妊娠は補助生殖医療(ART)による妊娠の約5%に起こることから,その予防が重要な課題である.近年,胚盤胞移植により子宮外妊娠の頻度が減少する可能性が指摘されている.初期胚移植に比べて,胚盤胞移植では移植から着床までの期間が短いこと,また子宮の収縮が胚盤胞移植時期に少ないことから,移植胚が卵管へ輸送される可能性が低い胚盤胞移植は子宮外妊娠予防に有利とされる.一方,不妊原因である卵管因子の有無は子宮外妊娠の発生頻度に影響を与える.ART症例で卵管因子を有する症例の子宮外妊娠率は卵管因子の無い症例に比べて高い.胚盤胞移植と子宮外妊娠の関連を検討した報告では,卵管因子をもつ症例では初期胚移植に比べ胚盤胞移植で子宮外妊娠の発生が少ないが,卵管因子を持たない症例ではこの傾向は認められない.卵管因子をもつ症例にARTを行う場合,移植時期を胚盤胞期にすることで子宮外妊娠の予防が期待される.
原著
  • 足立 由深, 竹下 千恵, 若槻 有香, 岩田 京子, 加藤 由加里, 上野 ゆき穂, 見尾 保幸
    2005 年 22 巻 2 号 p. 64-70
    発行日: 2005年
    公開日: 2005/06/04
    ジャーナル フリー
    ヒト初期胚発生過程の非侵襲的連続観察を目的に,Time-lapse cinematographyを構築した.倒立顕微鏡ステージ上に純アクリル製ミニチャンバーを置いた.ミニチャンバー周囲の水槽を通してCO2ガスを加温加湿後注入した.培養用マイクロドロップ(3 μl)を作製し,ミニチャンバー内に静置した.マイクロドロップが至適培養条件(37℃,pH: 7.45±0.02)に維持できるよう設定温度,CO2ガス流量を調節した.ICSIの適応で,本研究に同意の得られた症例(n=65)のICSI後卵子1個を無作為に選択し,非侵襲的一定条件下に40時間連続観察した.ICSI卵子(n=65)中84.6%(n=55)が正常受精し,分割卵に発育した.形態良好胚(G1, 2)率は76.4%(n=43)であった.形態良好胚群と不良胚群に分け,胚発生の時間経過,核小体前駆体配列および卵細胞質辺縁透明領域(halo)出現の有無を比較した.胚のクオリティと胚発生過程の時間経過,NPB配列には一定の傾向はなく,halo出現が初期胚のクオリティとの関連性を認めた.
テクニカルノート
  • 桑山 正成, 家田 祥子
    2005 年 22 巻 2 号 p. 71-75
    発行日: 2005年
    公開日: 2005/06/04
    ジャーナル フリー
    胚・卵子などの凍結試料を含んだガラス化液量の最小化により,冷却,加温速度を加速し,保存後,細胞の生存性損耗がほとんどない極めて効果的なガラス化保存法,超急速冷却Vitrification法が開発されている.同手法は高価な凍結機材を必要とせず,プロトコールが簡易,短時間であるだけでなく,これまで凍結保存が困難であった未受精卵においても,凍結-融解後にほぼ100%の高い生存率が得られるようになった.最近,クライオトップやクライオトップアニマルといった超急速冷却Vitrification法のための専用ガラス化容器が市販され,生殖医療や畜産研究の場においても,未受精卵の凍結保存が身近なものとなった.
  • 向田 哲規, 高橋 克彦
    2005 年 22 巻 2 号 p. 76-82
    発行日: 2005年
    公開日: 2005/06/04
    ジャーナル フリー
    生殖補助医療の分野では,胚盤胞移植法がその高い妊娠率のため普及し,余剰胚盤胞をいかに有効に凍結保存するかが臨床的に重要となった.このため著者らはクライオループというToolによりガラス化液の量を極度に少なくし冷却速度を急激に高めることで氷晶形成を回避し,耐凍剤の濃度を下げることにより,毒性を低下させた超急速ガラス化法をヒト胚盤胞に用い,高い臨床成績を報告してきた.その上拡大した胞胚腔はガラス化において透過型耐凍剤の細胞内への浸透および脱水過程の障害となり得るため,ガラス化直前にマニピュレーターを用い拡大胚盤胞の胞胚腔を穿刺し,人工的に収縮させる胞胚腔穿刺収縮法(Artificial Shrinkage:AS法)により,融解後生存率を改善した.またガラス化o融解過程は透明帯を硬化させ,それによりHatching不全が起こり得るため,融解直後の囲卵腔が見られる時に透明帯補助孵化法(Assisted Hatching:AHA法)を施行することで着床率を向上させ,臨床的有用性を更に高めた.
解説
  • 河野 友宏
    2005 年 22 巻 2 号 p. 83-86
    発行日: 2005年
    公開日: 2005/06/04
    ジャーナル フリー
    哺乳動物では,雌あるいは雄ゲノムのみから構成される単為発生胚は妊娠の初期に致死となる.これは,生殖系列において性特異的に行われるDNAメチル化修飾により,父母アレル特異的に発現するインプリント遺伝子が生じ,その結果,雌雄ゲノム間で発生を支配する機能上の決定的な差異が生まれることに起因している.ゲノムインプリンティングが,単為発生を完全に阻止していることを検証するための最も直接的な方法は,インプリント遺伝子の発現を改変し雌性ゲノムのみから個体を発生させることである.
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