Journal of Mammalian Ova Research
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26 巻, 4 号
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特集:卵子・精子を創る
  • 久慈 直昭
    2009 年 26 巻 4 号 p. 161
    発行日: 2009年
    公開日: 2009/12/08
    ジャーナル フリー
  • 野瀬 俊明
    原稿種別: 総説 特集:卵子・精子を創る
    2009 年 26 巻 4 号 p. 162-170
    発行日: 2009年
    公開日: 2009/12/08
    ジャーナル フリー
    胚盤胞の内部細胞塊から樹立されるES細胞や体細胞への遺伝子導入によって樹立されるiPS細胞は,体外培養下に多様な細胞種に分化する多能性を持つ培養細胞として良く知られる.そのなかで,このような多能性細胞を出発材料とした in vitro生殖細胞分化は,配偶子形成に至る一つの細胞分化を再現するという意義だけでなく,遺伝情報と全能性を継代する生殖細胞系譜が如何にして選別され,体細胞系譜に比べてどのように異なる発生制御を受けるのか,さらには配偶子形成から受精に関わる遺伝子メカニズムの解明という発生学上もっとも根源的な課題に対して新たな解析手段を提供する.また,量的制限を受けず,長期間の性成熟を要しない培養条件において精子や卵子を作る技術の開発は,生殖医療だけでなく,次世代医療の基盤となる霊長類医療モデルの作成に大きな貢献を果たすことが期待される.
  • 林 克彦
    原稿種別: 総説 特集:卵子・精子を創る
    2009 年 26 巻 4 号 p. 171-177
    発行日: 2009年
    公開日: 2009/12/08
    ジャーナル フリー
    全ての生殖細胞の起源である始原生殖細胞(Primordial Germ Cells;PGCs)は発生の比較的早い時期に胚中の多能性細胞集団から分化する.これまでにマウスを用いた研究において,PGCsの初期分化に必要なシグナルや初期のPGCsで起こる現象が次々と明らかになっている.それらは何れも発生能を有する受精卵を産生するために重要であると考えられている.一方,体外培養においてES細胞などの胚性幹細胞からPGCsを誘導することが試みられているが,体外で産生されたPGCsが体内で起こる初期分化の過程を経ているか否かの検討は十分でない.質的に高いPGCsを多数作製することは,それ以降の体外培養での生殖細胞分化のために十分な母集団を得るという意味で極めて重要である.本稿ではまずマウスで得られている知見を基に,初期のPGCsの発生様式を概説し,胚性幹細胞からの体外培養におけるPGCs産生を,特にその初期分化に着目して,筆者らの最近の結果を含めて紹介する.
  • 大保 和之, 小川 毅彦
    原稿種別: 総説 特集:卵子・精子を創る
    2009 年 26 巻 4 号 p. 178-182
    発行日: 2009年
    公開日: 2009/12/08
    ジャーナル フリー
    雄生殖細胞研究は,組織学的な解析のみに頼る時代から,その集積された形態学的観察の基盤の上に新たな方法論が加わったことで,急速な進歩を遂げている.特に,精原細胞の培養と精細管移植が可能となったことにより,精巣の幹細胞研究が進み,さらには,培養精原細胞から再生医療に不可欠なES様細胞が樹立されたことから,生殖分野の研究者以外からも近年注目を浴びるようになった.このことは,雄生殖細胞研究がその応用面で,不妊治療分野において男性不妊の原因や治療法開発のために重要であることは言うまでもなく,今後再生医療の分野においても,大きな役割を果たすことが予想される.本総説では,雄生殖細胞研究のなかでも,初めて in vitroで培養可能となった精原細胞に特に焦点をあて,ここ10年間の急速な進歩の足跡を解説する.
  • 樋浦 仁
    原稿種別: 総説 特集:卵子・精子を創る
    2009 年 26 巻 4 号 p. 183-188
    発行日: 2009年
    公開日: 2009/12/08
    ジャーナル フリー
    ヒトおよびマウスを含む有胎盤哺乳類では,卵子および精子間のDNAメチル化というエピジェネティックな修飾の相違によって,母親由来ゲノムおよび父親由来ゲノムの決定的な機能差が生じる.この現象はゲノムインプリンティングと呼ばれており,エピジェネティックな修飾によってアレルの由来する親の性に特異的な片親性遺伝子発現を示す.片親性発現する遺伝子はインプリント遺伝子と呼ばれており,その大多数が雌性生殖細胞形成過程を通過することによってDNAメチル化インプリントを獲得する.本稿では,卵子形成過程におけるゲノムインプリンティングについて概説する.
  • 島田 昌之
    原稿種別: 総説 特集:卵子・精子を創る
    2009 年 26 巻 4 号 p. 189-194
    発行日: 2009年
    公開日: 2009/12/08
    ジャーナル フリー
    卵丘細胞は,卵子を直接覆う細胞層を形成し,その性質は卵子分泌因子により制御されている.一方,卵子もまた卵丘細胞からギャップジャンクションを介して送られるグルコース代謝物にエネルギー生産を依存している.この相互依存関係は,卵子の発達に必須であることが遺伝子欠損マウスの解析から明らかとなっている.排卵期においては,LH刺激を受けた顆粒膜細胞が発現・分泌するEGF like factorが卵丘細胞に作用する.EGF受容体の下流にはERK1/2があり,このシグナル伝達系は,卵丘細胞の膨潤と卵子の成熟に必須である.卵丘細胞の膨潤は,ヒアルロン酸の蓄積によるが,受精過程でヒアルロン酸が分解されることが卵丘細胞のToll like receptorを活性化させ,ケモカイン類の分泌を介して精子の受精能獲得を誘起させる.このToll like receptorにより,卵丘細胞は細菌感染を感知し,感染防御機構を作動させるという自然免疫能を有する.さらに,卵丘細胞が発現する因子が,卵子の減数分裂再開の調節を行っていることも明らかとなってきた.このように,卵丘細胞は卵子の発達,成熟,受精を制御する重要な機能を担っている.
  • 長谷川 昭子, 持田 菜穂子
    原稿種別: 総説 特集:卵子・精子を創る
    2009 年 26 巻 4 号 p. 195-201
    発行日: 2009年
    公開日: 2009/12/08
    ジャーナル フリー
    未熟卵胞の培養技術の開発は,生物資源の保全,不妊症治療への応用などにおいて重要な研究課題である.本稿では現段階でどのような発育ステージの卵胞が,どのような培養法で発育・成熟して受精可能な卵子に到達することができるのか,これまでに報告された培養法を紹介しながら包括的に解説する.さらにマルチステップ培養法の有用性と今後の展望について考察する.
  • 竹内 巧, 渡邊 倫子, 吉田 淳, Palermo Gianpiero D.
    原稿種別: 総説 特集:卵子・精子を創る
    2009 年 26 巻 4 号 p. 202-206
    発行日: 2009年
    公開日: 2009/12/08
    ジャーナル フリー
    精子形成の異常は,わずかな精子数の減少から無精子症まで様々である.たとえ精巣からであっても,発生能を有する精子が得られれば,ICSIを用いて治療が可能である.しかし,妻から採取された卵子のすべてに媒精を行うのに十分な数の精子を確保することが,困難な症例もある.そこで我々は,精子核の複製「雄性ゲノムクローニング」により,精子一匹あたりの発生能を改善することを試みた.除核したマウス成熟卵にICSIすることにより,半数体の雄性単為発生胚を作製し,それを培養することにより高率に精子核を複製することができた.8細胞期の雄性単為発生胚の割球を核移植受精することにより,精子一匹あたり6個の胚盤胞が獲得でき,正常な産仔も得られた.このことは,本技術により精子一匹あたりの生殖効率を改善すること,および精子の受精前遺伝子診断の可能性を示唆する.
総説
  • 片桐 由起子, 福田 雄介, 北村 衛, 佐々木 由香, 竹下 直樹, 森田 峰人
    原稿種別: 総説
    2009 年 26 巻 4 号 p. 207-213
    発行日: 2009年
    公開日: 2009/12/08
    ジャーナル フリー
    着床前診断(Preimplantation Genetic Diagnosis: PGD)は,1990年に伴性遺伝性疾患に対して行われ報告されて以来,日本国内においても実施されるに至った.重篤な遺伝性疾患児の出生回避に伴う母体の人工妊娠中絶をめぐる身体的精神的負担を軽減することが目的ではじまった着床前診断であったが,その適応は各国で着床前スクリーニング(Preimplantation Genetic Screening: PGS)へと拡大した.日本におけるPGDおよびPGSの実施については,異常胚の廃棄に対する生命倫理的問題,ハンデキャップに対する優生思想に発展する懸念や批判,自然妊娠が可能なカップルにARTを実施することに対する評価などの社会的背景を考慮して,十分に検討されなければならない.
  • 葉梨 輝, 金野 俊洋, 櫻井 敏博, 今川 和彦
    原稿種別: 総説
    2009 年 26 巻 4 号 p. 214-220
    発行日: 2009年
    公開日: 2009/12/08
    ジャーナル フリー
    レトロウイルスは新しい遺伝子を取り込み,その機能を獲得,発揮することが出来る.実際,レトロウイルスの一種であるラウス肉腫ウイルスは宿主に感染することによって,宿主の持つがん遺伝子srcを取り込み,それを自らのゲノムの一部にしたことは良く知られている.このようにレトロウイルス側が宿主細胞側の遺伝子を取り込み利用することが可能であれば,それとは逆に,細胞生物側がレトロウイルス由来の遺伝子を取り込んで利用することがあっても不思議ではない.脊椎動物のゲノム上にはレトロウイルス由来と思われる配列が数多く存在しており,内在性レトロウイルス(Endogenous Retrovirus, ERV)と呼ばれている.そして,それら遺伝子の発現は,哺乳類において特徴ともいえる“胎盤”で高いことが知られている.このようなレトロウイルス由来タンパクの組織特異的な発現とその機能を考えれば,レトロウイルス由来の遺伝子が胎盤の形成機構に関与している可能性は高い.本論文では,哺乳類,特にヒトにおける胎盤形成のメカニズムと内在性レトロウイルスの関係について,胎盤に発現するERV由来タンパクsyncytinを中心に,今後の展望を交え述べていく.
原著
  • 杉本 浩伸, 宮本 有希, 辻 陽子, 森本 康一, 谷口 武, 森本 義晴, 細井 美彦
    原稿種別: 原著
    2009 年 26 巻 4 号 p. 221-226
    発行日: 2009年
    公開日: 2009/12/08
    ジャーナル フリー
    本研究では,ウサギを用いて卵胞の形状を保ったまま前胞状卵胞(200-299 μm)を培養する卵胞培養法(実験1)と,前胞状卵胞からOocyte-granulosa cell complexes(OGs)を回収して培養する開放型培養法(実験2)の比較検討を行った.また実験2では,培養基材としてキハダマグロ由来マトリクスコラーゲン(MC)の使用を検討した.実験1では前胞状卵胞は培養により,卵胞直径平均252.8±2.7 μmから395.6±9.6 μmへ成長した.しかし多くの卵母細胞は退行していたため,成熟培養を行うことができなかった.実験2では,OGsはMC(0,0.3 and 3 mg/ml)を添加して培養を行い,つづいて成熟培養を行った.減数分裂を再開した卵母細胞の割合は,MC 0,0.3,3 mg/ml添加区において,それぞれ1.6%,5.4%,64.5%であった.MC無添加区ではOGsの三次元構造が維持できなかったが,MC高濃度添加区では,三次元構造が維持された.三次元構造の維持は成熟卵母細胞への効率的な発育に重要であると考えられた.
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