Journal of Mammalian Ova Research
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30 巻, 4 号
選択された号の論文の8件中1~8を表示しています
Review (Special Issue)
  • 千木野 みわ, 久慈 直昭
    2013 年 30 巻 4 号 p. 119
    発行日: 2013年
    公開日: 2013/12/05
    ジャーナル フリー
  • 堀内 俊孝
    2013 年 30 巻 4 号 p. 120-126
    発行日: 2013年
    公開日: 2013/12/05
    ジャーナル フリー
    哺乳動物の卵子は,体内で受精し,雌生殖器道内において胚盤胞に発生する.卵子を体外に取り出し,体外操作を行うことで,卵子は光に曝される.光に曝されたマウス前核期胚は,胚盤胞に発生する.しかし,アポトーシス頻度は有意に増加する.アポトーシス頻度を増加させた胚盤胞の移植による胎仔発育率は有意に低下する.胚盤胞でのアポトーシスは,p38MAPK阻害剤,SB203580または,カスパーゼ阻害剤,Q-VD-Ophを体外培養液に添加することで有意に低下する.また,HB-EGFを添加することで,胚盤胞の総細胞数を増加させ,アポトーシス頻度を低下させると,胎仔発育率は有意に向上する.体外はストレスの多い環境であり,ベストな条件ではない.体外胚操作においては,光の影響には細心の注意が必要である.
  • 栁田 薫
    2013 年 30 巻 4 号 p. 127-134
    発行日: 2013年
    公開日: 2013/12/05
    ジャーナル フリー
    ICSIはヒトでの成功の報告から20年以上が経過し,研究し尽くされた感がある.しかし,実際には検討が不十分で,エビデンスに乏しいところが多々ある.卵子を前培養する時の in vitro ageing,卵丘細胞をヒアルロニダーゼで除去する非生理的操作,選択される精子の資質,良質精子を回収する方法,精子-卵子相互作用に不可欠な精子不動化処理,そして,PVPや先体酵素の影響などについてである.これらの影響の一部は結果が目に見えるもので,その場合,影響を理解しやすい.しかし,結果として影響がとらえられないものについては,エビデンスがないとして考慮されない場合が多い.しかし,ICSIの質を向上させるには,明らかなエビデンスがない場合には,科学的に,あるいは理論的に正しいと考えられることを実行し積み重ねていくことが重要で,そのことがICSIの質の向上につながり,生殖医療に携わる者の使命と思われる.
  • 高 栄哲, 飯島 将司, 並木 幹夫
    2013 年 30 巻 4 号 p. 135-144
    発行日: 2013年
    公開日: 2013/12/05
    ジャーナル フリー
    無精子症は精子形成に関与する多種多様な遺伝子群の異常で惹起されるが,精子形成責任遺伝子は未だ同定されていない.近年,遺伝子変異動物の作成による精子形成障害を示す例が少なからず報告され,精子形成に関与する遺伝子が多岐にわたることが明らかにされている.本稿では,遺伝子の視点から,減数分裂を特徴とする精子形成過程に深く関与する遺伝子群を概説し,無精子症を呈している疾患群から,その原因遺伝子について鳥瞰する.Y染色体長腕上にはAZF(Azoospermia factor)と呼ばれる精子形成領域が存在する.この領域の構造的特殊性を概観し,染色体内再組換えによる欠失機構を解説する.さらに,われわれが開発した日本人により適したY染色体微小欠失検出キットの開発のコンセプトとその使用法について概説する.
  • 黒澤 健司
    2013 年 30 巻 4 号 p. 145-148
    発行日: 2013年
    公開日: 2013/12/05
    ジャーナル フリー
    受精後の細胞分裂の早期において,染色体の数的異常のモザイク状態が比較的高い割合で認められる.そのため,胚盤胞(blastocyst)から得られる栄養外胚葉細胞(trophectoderm)細胞のマイクロアレイCGH(comparative genomic hybridization)による解析が,着床前診断スクリーニング,あるいは染色体の数的異常(aneuploidy)のモザイク評価として海外では注目されている.しかし,実際の生産児においては染色体異常症はモザイクも含めても1%以下と推定されている.本稿では,染色体異常症の発生頻度や検査方法についてまとめた.細胞遺伝学的診断のアルゴリズム,各種検査法の適応や限界,注意点を確認し,報告書に書かれていることと書かれていないことを十分理解することが重要である.
  • 平原 史樹
    2013 年 30 巻 4 号 p. 149-154
    発行日: 2013年
    公開日: 2013/12/05
    ジャーナル フリー
    1978年に誕生した人類初のART(assisted reproductive technology)による出産児ルイーズブラウンさんはその後自然妊娠により自らの妊娠出産を経験したが,当初多くの危惧感と違和感を持ってこの世に誕生した生殖補助医療は今日に至り,さらに進んだ高度な生殖補助医療技術として日常診療の中で行われるようになって来た.ARTも含めた生殖医療による出生児の健康,先天異常等に及ぼす影響については従来より多くの報告があり,現在,その動向を概観するとART等はおおむね児の健康には影響はなく,またいくつかの特有な先天異常の発生を起こしうる可能性ほか,若干の先天異常発生率を上昇させるとの論調がコンセンサスとなっている.しかしながらこのコンセンサスはIVF(in vitro fertilization),ICSI(intracytoplasmic sperm injection)等の操作そのもの自体に伴うことではなく,その不妊病態の背景因子がむしろ深くかかわっており,原因も一般化,普遍化できるわけではない.一部の男性側の染色体異常が不妊要因を構成したり,受精後におこるゲノムインプリンティングの異常がおこるなど,さまざまな事象が報告されており,個々の現象,発生機転に対しても様々な仮説が議論されている.
  • 小川 毅彦
    2013 年 30 巻 4 号 p. 155-158
    発行日: 2013年
    公開日: 2013/12/05
    ジャーナル フリー
    精子形成は精子幹細胞から精子完成までの複雑な細胞増殖・分化の過程であり,これを in vitroで再現することはこれまで成功例がなかった.しかし,我々は器官培養法という古典的な手法を改良することで,マウス精子幹細胞から精子産生に成功し,その精子細胞・精子を用いた顕微授精で健康な産仔も得た.この新しい in vitro精子形成系はICSI時代における課題の一つである精子の質の解明にも応用できる実験系を提供すると期待される.さらにヒト精子形成系が開発されれば,男性不妊症患者への新たな福音になり得るだろう.
  • 越後貫 成美
    2013 年 30 巻 4 号 p. 159-167
    発行日: 2013年
    公開日: 2013/12/05
    ジャーナル フリー
    顕微授精技術とは, 雄性生殖細胞を顕微操作により人為的に卵子に受精させる技術であり,精子の運動性を必要とせず,不動精子,精巣精子や精細胞などの未成熟精子などを用いて受精させることが出来る.顕微授精技術が報告される以前は,運動精子のみが受精に関与できると考えられており,自然交配や体外受精(IVF)に加わる新しい技術として,胚・個体の作出方法をさらに広げる技術となった.開発された当初は繁殖・受精の仕組みの解明に利用されていたが,現在ではヒト生殖補助医療技術(assisted reproductive technology: ART)の重要技術として,また実験動物では繁殖継代や遺伝資源の保存に加えて遺伝子治療モデル,トランスジェニック作出など,様々な応用例が実施されている.今後,他の技術と組み合わせることで生殖細胞のあらゆる状況・ステージに対応して胚を作製できる技術としてますます利用価値が高まることが期待される.
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