腹腔鏡と卵管鏡を同時に施行することで卵管内の観察が可能となり,その評価方法を確立した(fallopian tube score:Fスコア).Fスコアは卵管内を粘膜癒着,粘膜消失,粘膜鈍化,debris,foreign body,異常血管の6つの指標をもとに観察し左右の卵管につき1項目につき1点を加点しその総和をスコアとする.原因不明不妊症例227名でFスコアが0点の割合は50.7%であり,残りの49.3%では卵管内に何らかの異常所見を認めた.低Fスコア群(Fスコア≦2)の妊娠率(35.3%)は,高Fスコア群(Fスコア≧3)の妊娠率(14.6%)に比較して有意に高値を示した(
P<0.05).つまり,卵管内の異常が軽度の場合,術後に非ARTにおける妊娠が期待できることが明らかとなった.子宮内膜症性嚢胞合併症例では,Fスコア0点の割合が原因不明不妊症例に比して有意に高率(76.8% vs 50.7%)であり,卵管内に病変を有する症例の割合が低いことが明らかとなった.以上よりFスコアは術後の治療方針を決める上で意味のある指標である.
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