メッシュ・レプリカ法により,各種汎用ポリマーのC60+イオンエッチング速度を求めた.ポリエチレン(PE)やポリプロピレン(PP),そしてポリエチレンテレフタレート(PET)の場合,結晶化度が異なるとエッチング速度が変化している事が分った.結晶化度によって変化すると考えられる表面硬度とエッチング速度との間にも良い相関が見られた.
AESおよびXPSは,鉄鋼製品や自動車部品,半導体,新素材等の表面の分析に広く用いられている.これらの製品や材料は時代と共に微細化の方向をたどり,それに対応するためにAESとXPS装置も高空間分解能化の方向で改良が加えられ発展してきた.この報告では,空間分解能を中心としたAESとXPSの装置の発展と今後の展望について触れる.
光電子を放出した後の試料内原子は,初期状態に比べて電子が一つ少ない終状態をとる.この終状態には様々な状態があるため,終状態に存在する正孔と電子が相互作用しない場合を除いて,光電子スペクトル(PES)にはサテライト構造が見られる.これらサテライトピークは主ピークと区別される.ある材料系におけるサテライト構造に対する知見は,材料の電子状態を理解するための基本として重要である.本稿では,特に局在化した励起過程を経て終状態に至る場合にPESにおいて見られる主ピークとサテライトピーク構造について議論する.これらは,原子,分子,あるいは遷移金属や希土類金属の化合物,いくつかの有機材料などの強相関電子系固体において見られる現象である.本稿では特に,遷移金属化合物(すなわち,3d価電子絶縁体,あるいは狭バンド3d金属)に見られるいくつかの有名で基本的なPES問題とその解釈について述べる.
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