曩ニ藤並ハちふすノ經口免疫ニ關スルBesredka實驗ヲ追試シテ其成績ヲ發表シタ, 本編ハソノ續縞デアツテ前編ニ於ケル實驗, 成績カラ誘導サレル1, 2ノ疑義ニ關シテ實驗的説明ヲ與フルコトヲ目的トシタモノデアル.

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英國ノぜんなー大聖醫ガ誠意ヲ以テスル生物學ノ觀察ハ, 至誠神通ノ教ニ悖ラズ, 遂ニ吾人ノ幸福増進ニ就テ偉大ナル途ヲ開カレタリ.之レ天然痘ノ豫防ヲ目的トスル種痘術ナリ.技術ハ科學ノ説明ニ非ラズ, 技術ノ眞ノ術ハ個人ガ有スル素質ガ修養ノ力ニヨル神通ノ發露ナリトス.此哲學的觀念ヲ度外視シ人工ニヨリ組立テタル現代科學ノ説明ニ基キ, 種痘術ノ説明ヲ求メントシテ誤マリタル者ハ, 現代醫學ノ免疫學説ナリ.免疫學説ニヨノレ免疫療法ト唱フル者ハわくちんト稱スル病原菌製劑ノ應用ナリ.之レガ説明トシテわくちんヲ免疫元トシプ生物ニ注射シ體内ニ吸収セシムル時ハ, 免疫元デアル菌毒ニヨリ體細胞ハ刺戟セラルヽニヨリ, 該細胞ノ生活反應ニ或ル種ノ變態ヲ來タサシム.此種生活反應ノ結果ガ體細胞ヲシテ特種ノ物質ヲ産出ス, 此特種物質ヲ免疫體ト唱ヘタリ.此免疫體ガ病原菌ヲ凝集シ又ハ殺菌シ且ッ病原菌毒ヲ中和無害トスル者ナリトセリ.其種類ニ從ヒテ凝集素殺菌素, 抗毒素ナル名稱ヲ以テ區分セリ.此免疫體ニヨリ傳染病ノ治次癒, 歸轉ヲ説明セリ.此説明ニヨリ病原菌ニ因スル疫病ノ治療ニ用ユル者ハわくちんナリ.然ルニわくちんノ注射ニヨリ免疫體ノ産生ニハ一定ノ時間ヲ要スルノ事實アリ, 急速ニ免疫體ヲ必要トスル患者ニ應用スル考按ガ治療血清又ハ免疫血清ノ製作ト應用トナリ, 此目的ニ向ヒ動物體ヲ借リテ免疫元ヲ以テ免疫體ヲ製作シ, 免疫體ヲ含有スル動物ノ血清ヲ人類ノ治療ニ用ユルニ至レリ.然レドモ茲ニ危險ヲ供フ者ハ異種動物ノ血清ガ禍ヲナシテ屡々吾人ニ死ヲ導クノ過敏症ノ原因タルノ事實アリ.恰モ免疫血清ヲ治療上ニ應用スルハ角ヲ矯メントシテ牛ヲ殺スニ類スルノ嫌アリ.免疫學説ニヨルわくちん療法ニ用ユルわくちんノ製作ガ, 毒作用物質ヲ含有セシメザレバ効果ナキ者トシタリ.傳染病患者ハ自個ノ體内ニ寄生スル, 病原菌ガ産出スル菌毒帥チ自體内わくちんノ中毒ニヨリ苦シメラレッヽアルナリ尚ホ以上ニ人工わくちん毒ノ追加ヲ以テ苦シメラル、者ガわくちんノ副作用ト唱ヘラル、者ナリ.然レドモ實際從來ノわくちんガ治効作用アルコトモ認ムル處ナリ.此ノ理由ニ關シ余ノ研究ノ結果ガ, わくちん製作ノ操作中ニ於テ從來吾人ノ留意セザリシ間ニ, 人工免疫體ノ成立シタル事ガ原因ナルコトヲ知リ得タリ.今日迄此發見ヲ阻害シタル者ハ免疫體ハ生物ノ生活反應ナリトノ因習ナソトス.余ガ此人工免疫體ニ毒結合素ナル名稱ヲ與へ, 此毒結合素ガ病原毒ヲ解毒シテ治療ノ目的ヲ達スル説明ヲ結合學説ニ求メタリ.

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有馬研究所製品結核菌わくちん・AO第3號 (昭和3年10月16日製造) ノ内容ヲ30個ノあむぷるれヨリ取リテ先ヅ同一容器ニ無菌的ニ集メ此ノ一部ヲ其儘保存シテAO原液レナシ, 他ハ再ビ15個ノあむぷるれニ分注溶封シ, 100℃ニテ沸騰シツツアル重湯煎中ニテ煮沸スルコト30分及ビ120分ニテ取出シ2種ノ煮沸液ヲ得タリ.此等ノ0.5cc (實驗第1) 或ハ1.0cc (實驗第2) 宛ヲ健康海〓ノ腹腔中ニ注射シ以テ對黄色葡萄状球菌流血中喰燼作用ニ及ボス影響ヲ比較シタルニ次ノ如キ所見ヲ得タリ.
前以テAO煮沸液ヲ注射サレタル動物ノ喰燼作用ハAO原液ヲ注射サレタル動物ノ示シタル喰燼作用ニ比シ毎常大ニシテ特ニ30分煮沸液ハ毎回最大ノ喰燼作用ヲ發揮シタリ.而シテ120分煮沸液ハ30分煮沸液ヨリモ稍々劣リタリ.
然ルニ此際抗元ノ毒カノ標徴タル白血球像ハ原液毛煮沸液モ同一用量ニテ略々一致セリ.
即チ同一毒カナリシニモ拘ラズAO原液ヲ以テノ喰燼作用促進カハAO30分煮沸液ノソレニ劣リタルモノニシテ, 是レ實ニAOハいむぺぢん即チ喰菌作用, 免疫獲得等ヲ阻害スル物質ヲ含有スルコトニ一致スル所見ナリ.

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