本篇ニ於テハ, 糖ノ投與ニ因ラザル過血糖及糖尿ト消化管粘膜ノ糖原質發現ニ關スル研究第1トシテ, 鹽化あどれなりん注射, 糖穿刺, ぢうれちん注射, 食鹽及硫酸まぐねしうむ注射試驗ヲ行ヘリ.
是レ等試驗ニ因リテ高度ナル過血糖及糖尿ノ惹起セラレタル塲合ハ, 糖ノ投與ニヨル過血糖及糖尿ノ際ニ於ケルガ如ク其ノ消化管殊ニ盲腸及結腸上部ノ上皮細胞ニ明ナル糖原質發現スルヲ證明セリ.而シテ, 腸管結紮ヲ行ヘル後あどれなりん注射ヲ施スモ, 結紮ヲ行ハザル塲合ト同様ナル糖原質發現ヲ認メタリ.即チ此ノ際ニ於ケル糖原質發現ハ糖ノ非經口的投與ノ塲合ニ於ケルガ如ク腸内容トハ殆ンド全ク無關係ナリ.之ニ反シクあどれなりんノ少量ヲ注射シ, 或ハ其ノ他ノ試驗ニ於テ血糖増加ガ輕度ナル塲合及いんしゆりん注射ヲ施シテあどれなりん, ぢうれちん.硫酸まぐねしうむニヨル過血糖及糖尿ノ發來ヲ全ク防止セル塲合ニハ此ノ糖原質發現ハ明ニ輕度ニシテ, 各試驗後ニ於ケル血糖消長ト糖原質發現ノ時間的關係ト共ニ, 是レ等ノ塲合ニ於ケル腸上皮細胞ノ糖原質發現ハ過血糖ト密接ナル關係ヲ有スル事ヲ認メシメタリ.然レ共, 他方ニ於.テハ, 常ニ必シモ然ルトハ限ラザルガ如キ所見ヲ得タリ.
之レ等ニ關スル詳細ナル總括的考察ハ, 次篇ニ述ブル實驗ト共ニ一括シテ之ヲナスベキガ故ニ重複ヲ避ケテ茲ニハ省略スベシ.
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