同種免疫血清ニヨル受働免疫ニ際シテノ凝集素, 溶血素, 沈降素等ノ血中消長ヲ家兎ヲ使用シテ檢索セリ.
同種免疫血清ヲ以テスル受働免疫ニ際シテノ各免疫體ノ消長觀察ノ目的ニテ, 家兎免疫血清ヲ家兎ニ注入シテ檢シタルニ, 先ヅ凝集素ニ就テ見ルニソノ免疫血清皮下適用ニ於テハProKilo 2.5ce及ビ5.0ccノ注入例ノ何レニモ注入後8時間ニシテハ殆ンド血中ニ證明セラレズ, 24時間ニシテ始メテ兩例共中等量ニ出現シ, 24時間及ビ4日目ノ間ニ最高價ニ達シ後徐々ニ下降セリ.
静脈適用例ニ於テハ勿論注入直後ニ最高價ヲ示シ, 免疫初期ニ於テハ大約24-48時間毎ニ半減即等比級數的ニ下降シ, 消失期ハ元ヨリ血清注入量, 正常抗體價ノ高低,個性ナドニヨリ一定セザルモ注入量ニ比例シテ長短ナキ様ナリ.
腹腔適用例ニテハ, 血清注入後30分ニシテスデニ比較的大量血中ニ出現シ, 吸収速度ハ静脈ニツギ優秀ナルヲ知ル.而シテ最高價ニハ注入後10-24時間ニシテ達セリ.
各適用部位ニヨル凝集素血中出現最高價ヲ比較スルニ, ProKilo 5.0cc及ビ2.5cc注入例ノ各々ニ於テ, 静脈ニテハ1280倍, 及640倍腹腔ニテハ640倍及320倍, 皮下ニテハ320倍及ビ160倍トナリ.即チ翻脈遙ニ優秀ニシテ皮下最モ劣り, 各適用部位共血中出現最高價ハ, 略々免疫血清適用量ニ比例スルヲ見ル.溶血素ニ就テ見ルニ, ソノ皮下適用例デハ何レモ注入後5時間ニシテ, 血中ニ2倍或ハ8倍ヲ以テ出現シ, 一見凝集素ニ比シ吸収速度速カナルヤノ感アルモ, ソノ免疫價測定法ガ凝集素ノソレニ比シ, 低稀釋ヨリ始マレル爲ナラント思考セラル.ソノ最高價ニハ注入後大約24-48時間ニシテ達シ兩後徐々ニ下降セリ.静脈及ビ腹腔適用例ニ於テモ, 最高價血中出現期, 吸収速度, 體内存續期間等大略凝集素受働免疫ニ準ジ經過シ, 特異ナル點ヲ見出シ得ズ.
沈降素ニ就テ見ルニ, 元來うーれんふーと氏法ハ免疫價測定法中唯一ノ抗元稀釋テフ變法ヲ取ルヲ以テ, 沈降素定量法トシテ多クノ疑問ヲ有スル事ハスデニ識者ニヨリ注目セラレ, 他種免疫體同様抗血清稀釋ニヨリ免疫價ヲ測定セント唱フル學者 (緒方, 須之内,
Cromwell) 多ク, 沈降素血清ニ就テハ從來ノ所謂沈降素價Präcipitintiter以外ニ抗血清稀釋ニヨル沈降素量präcipitingehaltノ測定ノ必要アルヲ説ケリ. (佐藤) 沈降素量ハ免疫ニ際シテノ抗元注射回數ニ關係ヲ有スルモノニシテ, 沈降素價高キモ沈降素量少キ血清ハ, ソノ低稀釋ニ於テ反應スデニ陰性トナリ, 受働免疫ニ使用シテ常ニ不合理ナル結果ヲ來セリ.本實驗ニ於テ免疫血清調製ニ際シ, 抗元5回注射ヲ選ビタル所以ナリ.
ソノ免疫經過ヲ見ルニ一般ニ不規則ニシテ, ProKilo 2.5ccノ皮下例デハ免疫後48時間ニ至ルモ血中反應陰性ニシテ, 且出現ヨリ消失マデ320倍ノ同價ヲ持續シ消失急速ニシテ一定ノ沈降素價ヨリ直ニ反應陰性トナレリ.ProKilo 5.0cc注入例デハ免疫後24時間ニシテ反應出現スルモソノ後ノ經過前者ニ異ナラズ.静脈適用例ニ於テproKilo 2.50cc及ビ5.0cc注入ノ何レニ於テモ, 注入直後ニ640倍ノ沈降素價ヲ示セルハ全ク不合理ニシテ, 腹腔適用例ニ於テモソノ他ノ關係皮下注入例ニ準セリ.
蓋シ之等ノ事實ハ凝集素, 溶血素受働免疫ニハ全ク見ザル不可解ナル點ニシテ, 免疫體ノ體内ヨリノ排出ニ從ヒ時日ノ經過ト共ニ漸減、遂ニ消失ニ到ル凝集素, 溶血素免疫經過ト相一致セザルハ, うーれんふーと氏法ノ沈降素定量法トシテ缺クル所アル爲ニシテ, 寧ロ定性法トシテ意義ヲ有シ, うーれんふーと氏法ニヨル沈降素受働免疫ハ眞ノ免疫經過ヲ示スモノニ非ザル事ヲ物語ルモノナリ.
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