統合失調症,糖尿病既往のある73歳男性。脱力・体動困難を認め,救急搬送された。血圧89/68mmHg,脈拍113/分,体温37.1℃,CK 283,500U/L,LDH 8,131U/L,Cr 2.53mg/dL,CRP 16.383mg/dL,尿蛋白3+,尿潜血3+を認め,横紋筋融解症・急性腎障害の診断で入院した。補液や利尿薬による治療を先行するも,第3病日にCr 7.11mg/dLまでの上昇・無尿をきたし,第4病日より血液濾過透析(hemodiafiltration:HDF)を開始,第14病日まで計6回施行した。第15病日時点でCK 90U/Lまで軽快したが,Cr 5.70mg/dLと依然高値で乏尿も持続したため,第16病日より血液透析(hemodialysis:HD)に変更した。尿量は徐々に改善し,第32病日にHDを離脱した。横紋筋融解症によるAKI治療について,さまざまな血液浄化療法が報告されているが,治療法は確立していない。本症例ではmedium cut-off(MCO)膜によるHDFを先行,CK値を勘案しながらHDFからHDへ移行し,透析を離脱した。MCO膜によるHDFの先行が有効であった一例であった。
抄録全体を表示