家族性腫瘍
Online ISSN : 2189-6674
Print ISSN : 1346-1052
18 巻, 1 号
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症例報告
  • 寺本 瑞絵, 鷹巣 祐子, 柏木 葉月, 寺田 倫子, 松浦 基樹, 山下 健太郎, 沖田 憲司, 石川 亜貴, 斎藤 豪, 櫻井 晃洋
    2018 年18 巻1 号 p. 1-7
    発行日: 2018年
    公開日: 2018/10/19
    ジャーナル オープンアクセス
    Lynch 症候群はミスマッチ修復遺伝子の生殖細胞系列変異に起因するがんの易罹患性症候群である.原因遺伝子としてMLH1,MSH2,MSH6,PMS2遺伝子の4 つが知られており,さらにMSH2遺伝子の上流にあるEPCAM遺伝子変異も原因となりうる.今回我々は,クライエントの家族歴からLynch 症候群を疑ったが,家系内に連絡が可能な生存するがん罹患者がおらず,発端者情報不明のまま未発症者の遺伝学的検査を行い,EPCAM遺伝子変異によるLynch 症候群と診断した1 家系を経験したので報告する.
  • 堀 伸一郎, 金子 景香, 松山 裕美, 宮脇 聡子, 井上 実穂, 竹原 和宏, 小林 成行, 大住 省三
    2018 年18 巻1 号 p. 8-11
    発行日: 2018年
    公開日: 2018/10/19
    ジャーナル オープンアクセス
    【背景】リンチ症候群の診断において,家族歴の聴取は疾患拾い上げの重要な要素であるが,内視鏡治療が可能な早期大腸癌の場合,診療を担当する内視鏡医が病歴や詳細な家族歴を聴取できていることは少ない.今回我々は,治療前の病歴,家族歴聴取よりリンチ症候群を疑い,遺伝学的検査にて確定診断にいたった症例を経験したので報告する. 【症例】症例は60歳女性,42歳で卵巣癌の手術既往がある.検診で便潜血陽性を指摘され,紹介医で大腸内視鏡検査を受けたところ,下部直腸に隆起性病変を指摘された.病理組織検査で直腸癌と診断され,精査加療目的で当院紹介となった.精査後にESDを施行し,治癒切除が得られた.術前の家族歴聴取で,父が46歳で直腸癌,兄に45歳で大腸癌の罹患歴があり,アムステルダム基準Ⅱ,改訂ベセスダガイドラインを満たしていた.遺伝カウンセリングを行った後,遺伝学的検査をおこなったところ,ミスマッチ修復遺伝子MSH2におけるExon 1-6の欠失を認め,リンチ症候群と確定診断した.以後,関連癌のサーベイランスを行い,経過観察中である.早期直腸癌の段階でリンチ症候群を診断し,早く関連癌のサーベイランスが開始されることは,患者に大きな利益をもたらすと考えられ,内視鏡医による家族歴聴取と拾い上げの重要性を再認識した.
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