家族性腫瘍
Online ISSN : 2189-6674
Print ISSN : 1346-1052
12 巻, 2 号
選択された号の論文の8件中1~8を表示しています
特集:過渡期の家族性腫瘍診療,その現状と展望
  • 平沢 晃
    2012 年 12 巻 2 号 p. 31-
    発行日: 2012年
    公開日: 2018/12/14
    ジャーナル オープンアクセス
  • 三浦 史晴, 中山 育慧, 永沢 崇幸, 小見 英夫, 利部 正裕, 本田 達也, 諸原 雄一, 庄子 忠宏, 竹内 聡, 福島 明宗, 菊 ...
    2012 年 12 巻 2 号 p. 32-34
    発行日: 2012年
    公開日: 2018/12/14
    ジャーナル オープンアクセス
    がん罹患患者が増加するに伴って家系内にがん患者を抱える家族も増加傾向にあるが,「がん家系」という言葉がひとり歩きをして無用の心配を抱いている家族も少なくない.しかし,真の家族性腫瘍の家系内においては,正しい情報提供によりがんの早期発見・早期治療が可能となる.今回岩手県内の産婦人科医に家族性腫瘍についてのアンケートを行い,今後の家族性腫瘍の診療のあり方について考察した.その結果,産婦人科医が家族性腫瘍についてある程度は理解しているが,具体的に説明することに対して不安を抱いている現状が判明した.その要因としては「遺伝学的知識に自信がない」,「診療時間内に家族のことまで言及することは困難」,「目の前の癌患者の診断治療には支障がない」などが挙げられた.家族性腫瘍の診療を行う目的は,家族の過剰な心配を排除することと,家系内の遺伝的リスクの高い人を拾い上げて早期発見に繋げることである.そのためには家族性腫瘍についての知識の啓蒙が最重要課題であると考えられた.
  • 仲田 洋美, 岡本 陽子, 金子 景香, 中野 芳朗, 三好 康雄, 冨田 尚裕, 玉置 知子
    2012 年 12 巻 2 号 p. 35-38
    発行日: 2012年
    公開日: 2018/12/14
    ジャーナル オープンアクセス
  • 角田 ますみ, 鈴木 眞一, 中野 恵一, 福島 俊彦, 緑川 早苗, 野水 整, 竹之下 誠一
    2012 年 12 巻 2 号 p. 39-42
    発行日: 2012年
    公開日: 2018/12/14
    ジャーナル オープンアクセス
    福島県立医科大学器官制御外科では,東北のがん診療連携拠点病院の役割として,相談者中心の医療提供を目指した集学的治療を目指している.その一環として2002 年より遺伝外来が開設され,2006 年より非医師職のカウンセリングを専門に行う者を加えて協働体制を作ってきた.もっとも多い疾患はMEN1 型,2 型であり,続いてFAP,HNPCC,それ以外にHPPS 等の稀なものもある.こうした疾患を抱える相談者は,治療が発展した今日においても死を連想させる「がん」とさまざまな問題をはらむ「遺伝」という二重の不安に悩むことになる.さらに疾患自体が,数世代や長期にわたって取り組んでいかなければならないものであり,相談者が抱える問題は相談者が置かれている時期によってさまざまに変化する.また当外来には,遺伝子検査で変異が検出されず,臨床所見から限りなく家族性腫瘍の可能性が高いケースも多い.こうした場合,相談者は遺伝性であるかどうかが確定されないまま,治療に取り組んでいかなければならず,長期的にかなりの精神的ストレスを抱える.このような状況にある相談者と診療の間にたち,治療だけでなく相談者が満足を持って療養生活が送れるように,私たちは遺伝子検査前後だけでなく,長期にわたるフォローアップを視野に遺伝カウンセリングに取組んできた.その取組みを報告する.
  • 田澤 立之, 後藤 清恵, 遠山 潤, 栗山 洋子, 坂田 英子, 小山 諭, 佐藤 信昭, 佐野 宗明, 畠山 勝義, 中田 光
    2012 年 12 巻 2 号 p. 43-44
    発行日: 2012年
    公開日: 2018/12/14
    ジャーナル オープンアクセス
  • 杉江 知治, 戸井 雅和, 山内 智香子, 石黒 洋, 三上 芳喜, 岡村 隆仁, 加藤 大典, 山内 清明, 稲本 俊, 京都乳癌コンセン ...
    2012 年 12 巻 2 号 p. 45-49
    発行日: 2012年
    公開日: 2018/12/14
    ジャーナル オープンアクセス
    わが国における遺伝性・家族性乳がん診療に関する意識と実地臨床の現状を検証した.京都大学,京都府立医科大学の関連施設を対象にアンケート調査を行い,27 施設・60 名の乳腺外科医より回答を得た.遺伝子性乳がんを疑う症例を経験したことのある施設は52 %,そのうち遺伝子解析を行ったことのある施設は11 %であった.遺伝子を行わない理由としてカウンセリング体制の不備(82 %)や遺伝性乳がんの対処法についてのコンセンサスが得られていない(78 %)を挙げる施設が多かった.遺伝性乳がん家系と判明した場合,発端者の家族に対して89 %が遺伝子相談を紹介するとしたが,予防法は検診のみが97 %であり,化学予防や手術予防を行うと答える外科医はほとんどいなかった.家族性乳がんが疑われる乳がん患者に対して,温存手術を施行すると答えた外科医は83 %ともっとも多く,対側の予防的乳房切除を行うと答えた外科医は5 %にすぎなかった.遺伝性・家族性乳がんに対して,臨床現場では遺伝子検査やリスク軽減手術は講じられていない.社会全体が真摯にこの問題に取り組み,わが国でのコンセンサスの形成と保険制度上の環境整備を行う段階にあるといえる.
  • 松谷 奈央, 宮下 美香, 二井谷 真由美
    2012 年 12 巻 2 号 p. 50-56
    発行日: 2012年
    公開日: 2018/12/14
    ジャーナル オープンアクセス
    本研究は,卵巣がん患者が遺伝子検査や予防的処置を受けることを希望するか,さらにそれらに対しどのような要望を持っているかを明らかにすることを目的とした.卵巣がん患者5 名を対象に半構造化面接を行った.結果,対象者は,若さや出産の希望,既婚であること,費用の安さ,検査の簡便性,ワクチンなどの予防法があることなどの6つの条件によっては遺伝子検査を受けてもよいと述べた.対象者の語りの中で,娘や孫には勧めるといった肯定的な意見もあれば,怖がらせてしまうなどの否定的な意見も聞かれた.また,遺伝子検査を保険で認められることを要望する対象者も見られた.予防的処置を受ける条件として,ある程度の年齢,出産の希望がない,閉経後であることの三つが挙げられた.医療者は,年齢や婚姻の有無などに配慮した個別的な対応を行い,患者の考えや希望に応じ適切な情報を提供する必要がある.さらに,遺伝子検査や予防的処置を希望する人がそれらを受けられるよう,体制を整えることの必要性が示唆された.
解説
  • 阪埜 浩司, 矢野倉 恵, 増田 健太, 木須 伊織, 植木 有紗, 小林 佑介, 山上 亘, 進 伸幸, 青木 大輔
    2012 年 12 巻 2 号 p. 57-59
    発行日: 2012年
    公開日: 2018/12/14
    ジャーナル オープンアクセス
    遺伝性疾患であるLynch 症候群(別名,遺伝性非ポリポーシス大腸癌: Hereditary Non-polyposis ColorectalCancer: HNPCC)やCowden 症候群(CS),Peutz-Jeghers 症候群(PJS)の患者は,子宮体癌に罹患するリスクが一般集団に比べて高いことが知られている.遺伝性子宮体癌の発癌機構を理解することは,散発性子宮体癌の発癌機構や特徴を理解する上でも重要な知見となる.これらの疾患の中でも,Lynch 症候群の女性が生涯で子宮体癌に罹患するリスクは40 〜60%と高く,重要である.Lynch 症候群の臨床的診断基準として改訂アムステルダム診断基準(AC Ⅱ)が用いられているが,基準を満たさないLynch 症候群関連子宮体癌(隠れLynch 症候群)が存在することも報告されており,若年発症・重複癌などの遺伝性素因を疑う症例では,家族歴聴取のみならず遺伝子検査も考慮する必要がある.
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