近年, 高濃度造影剤の優れた描出能を生かして高濃度造影剤が胃集団検診にも適用されるようになっている。しかし, 従来の胃間接撮影基準は高濃度造影剤を想定した基準ではなく, 高濃度造影剤の特性を生かした新しい撮影基準の設定が待望されている。
この点に鑑み, 我々は岐阜県立健康管理院の施設検診における間接撮影に高濃度造影剤を採用し, 従来の撮影体位に変更を加えた。すなわち, 腹臥位粘膜像であった前壁撮影を腹臥位二重造影像とし, 半臥位第二斜位像のみであった胃上部の撮影に右側臥位像, 半臥位前壁第一斜位像, 再立位第一斜位像を採用した。この結果, 前壁, 胃上部でのチェック率が高まり全体として要精検率が11.1%から13.4%に増加した。また, 辺縁の所見のチェック率は殆ど不変であるのに対し, 内部の所見のチェック率が増加した。
2年連続受診し, 従来法と新撮影法で撮像された同一患者100名のフィルムの画像評価では, 新撮影法が優ったもの86名, 同等のもの10名, 従来法が優ったもの4名であった。今後, 高濃度造影剤が検診領域にもさらに普及していくものと思われるが, X線検査の高い水準が維持されるような撮影基準の設定を望みたい。
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