日本消化器集団検診学会雑誌
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39 巻, 3 号
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  • 至急要精密検査症例の解析
    仲野 悦徳, 若松 邦子, 松浦 邦彦, 有末 太郎
    2001 年 39 巻 3 号 p. 221-226
    発行日: 2001/02/15
    公開日: 2012/12/11
    ジャーナル フリー
    平成10年度の至急要精密検査例 (以下至急例) と発見がん症例の解析を行った結果, 至急例からの発見がん症例 (以下至急発見がん例) はほとんどが腫瘍径の大きい隆起型の進行がんであった。また精密検査 (以下精検) 受診, 治療までの所要日数が至急例以外の要精検例からの発見がん症例 (以下要精検発見がん例) より短縮していた。そこでさらなる精度向上を目的として, 放射線技師の撮影技術向上と至急例の事後管理を確実にするために, 放射線技師・読影医・保健婦間の新しい情報伝達システムを導入した。平成10年12月新システムを導入して以後, 至急例では胃集検受診から読影診断までの所要日数を大幅に短縮できた。さらに迅速な精検受診勧奨を行うことで, 集検受診からの所要日数は, 導入前では精検受診まで18.2日, 治療まで51.1日に対し, 導入後ではそれぞれ11.1日, 43.5日と減少し, 新システムが胃集検の精度向上に寄与できることが推測された。
  • 佐藤 公彦, 秋浜 玄, 千葉 茂樹, 藤原 隆雄, 折居 正之, 中塚 明彦, 狩野 敦, 神谷 亮一, 佐々木 清寿
    2001 年 39 巻 3 号 p. 227-230
    発行日: 2001/02/15
    公開日: 2012/12/11
    ジャーナル フリー
    岩手県対ガン協会で実施された間接胃集検において1980年から1998年の19年間に発見され, 集検受診歴の明らかな胃癌症例を対象として発見時から前回集検受診時までの受診間隔ごとに早期癌比率, 5年生存率について比較検討した。1. 集検発見胃癌の早期癌比率 (n=1566) は, 逐年群 (67.7%) と初回群 (53.0%) 間 (p<.01) 及び逐年群と隔年群 (57.6%) 間 (p<.05) で有意差を認めたが, 他群間には有意差はなく, 初回群を有意に上回るものは逐年群のみであった。2. 集検発見胃癌の5年生存率 (n=1234) は, 逐年群 (85.9%) と初回群 (76.5%) 間で有意差 (p<.01) を認めたが, 他群間には有意差はなく, 初回群を有意に上回るものは逐年群のみであった。したがって「間接胃集検の適正受診間隔は初回受診発見癌の成績を有意に上回る間隔であるべき」という観点から考えると, 現在のところ逐年検診が望ましいと考えられた。
  • 岡庭 信司, 荻原 毅, 佐々木 宏子, 比佐 岳史, 小山 恒男, 山田 繁, 夏川 周介
    2001 年 39 巻 3 号 p. 231-236
    発行日: 2001/02/15
    公開日: 2012/12/11
    ジャーナル フリー
    悪性腫瘍に対する腹部超音波 (以下US) 検診の精度向上を目的に, 佐久総合病院におけるUS併用人間ドックの現状につき検討した。
    その結果, 1) 要精検率は2.5%であり, 39例の悪性腫瘍が発見された (悪性疾患発見率0.092%)。2) USにて腫瘤像を指摘できず, 間接所見を契機に発見された8例 (肝細胞癌5例, 胆管細胞癌1例, 尿管腫瘍1例, 胃癌1例) と, 全く異常を指摘できなかった腎臓癌3例の計11例が偽陰性癌と考えられた。3) 直接所見のみでは感度73.8%, 特異度95.3%, 陽性反応適中度3.8%, 陰性反応適中度99.9%であり, 間接所見を含めることにより感度は92.6%と上昇したが, 特異度や陽性反応的中度は改善しなかった。
    以上より, 間接所見陽性者に対する受診勧奨は偽陰性癌の減少に有用であるが, 偽陽性例の減少の為には精査所見および判定基準の見直しが必要と考えられた。
  • 萩原 常夫, 倉石 政彦, 平野 邦弘, 山田 治三, 水沢 幸博, 広瀬 朝子
    2001 年 39 巻 3 号 p. 237-244
    発行日: 2001/02/15
    公開日: 2012/12/11
    ジャーナル フリー
    いわゆる高濃度低粘性硫酸バリウム造影剤は高濃度で使用すると付着が良いが, 効果の現れ方はローリング法に左右される。付着向上や流出防止の観点から効果が高いのは腹臥位ローリング法で, 効果的に施行されれば, 低濃度使用の弱点を補うことができる。基本的な検査技術を習得した上で適切なローリングを行えば, 造影剤や胃形によるリスクを避け, 検査成績をコントロールできるようになる。
  • 大岩 俊夫, 大岩 久夫, 八尾 隆史, 北川 普二
    2001 年 39 巻 3 号 p. 245-249
    発行日: 2001/02/15
    公開日: 2012/12/11
    ジャーナル フリー
    胃集団検診で、胃体下部大轡の欠損とニッシェが指摘され, A-5にチェックされたため胃精密検査を行った結果, 神経内分泌細胞癌と胃潰瘍の併存が認められ胃切除術を行った。術後1年5ヶ月になるが再発の徴候はない。
  • 平賀 聖久, 川元 健二, 井野 彰浩, 上田 真信, 岡村 均, 岩下 生久子, 古賀 充, 増田 康治
    2001 年 39 巻 3 号 p. 250-255
    発行日: 2001/02/15
    公開日: 2012/12/11
    ジャーナル フリー
    注腸X線検査による遡及的検討が可能であった進行大腸癌7例7病変を対象に, 各病変における初回形態と腫瘍容積倍加時間, 及び過去の検査において見逃された原因について検討し, 以下の結果を得た。(1) 回形態は全例隆起型 (lsp 1例, Is 1例) もしくは表面隆起型 (Ila 3例, Ila+IIc 2例) で, 表面平坦型や表面陥凹型は認められなかった。腫瘍容積倍加時間は3.7~11.2ヶ月 (平均5.9ヶ月) で, 初回形態と相関性はみられなかった。(2) 見逃された原因としては, 撮影側因子ではバリウム付着不良が最も多く, 読影側因子では骨・腸管・半月襞との重なり・併存疾患の存在が同じ頻度で認められた。
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