人口減少、少子高齢化が進行している地方都市において、持続可能な都市づくりには市街地の縮減化を図る必要がある。そこで、居住地から都市機能施設(用途)へのアクセスしやすさ、交通結節点の有無、激甚化している自然災害と、形成される居住地の人口密度の関係を定量的手法により明確に関係づけておくことは立地適正化計画の見直し等、実務上の意義があると考える。以上より、本研究では長野市を対象に、①都市機能施設、交通結節点、災害危険区域の分布状況を明らかにする。②現状の居住地が形成されている位置に対する日常生活に必要な用途への近接性およびアクセス性の有無を考慮したアクセス利便度(ACC と記載する)指標を構築する。③居住地形成と用途 ACC 値、結節点および災害危険区域の関係を明らかにする。
生活道路の安全対策として、ある区域一帯に最高速度 30km/h の速度規制を実施する「ゾーン 30」が積極的に設置されている。このゾーン 30 は、域内の通過交通を抑制する効果や、車両の走行速度を低下させる効果があり、この結果事故リスクを低減することが多くの研究で示されている。一方で、事故リスクへの影響の詳細については、効果の時間的変化など知られていないことも多い。本稿では、この効果を分析するため、千葉県内のゾーン 30 の位置データを用いて事故と紐づけを行い、事故の発生日とゾーンの設置日を比較できるようにすることによって、ゾーン設置前後における事故数の詳細な変化を示した。 その結果、ゾーン 30 は特に死亡・重傷事故の抑制に効果があること、またその効果は規制開始直後に高く、時間経過につれ徐々に低減していくことが確認された。
筆者らは、運転能力に必要不可欠である有効視野を簡単に測定して、繰り返しトレーニングをすることで有効視野を回復させることが可能な支援ツールとして「有効視野テスト」を開発した。本研究では、高齢者を対象に、「有効視野テスト」及び「視力検査」と「運転ぶりテスト」の実験を行い、「有効視野」は「視力」と異なることや「有効視野」と「運転ぶり」との関係について明かすことで、本研究で提案した「有効視野テスト」の有用性を検証した。多くの研究から有効視野と交通事故リスクには密接な関係があることが検証できていることから、本「有効視野テスト」を用いて、繰り返し練習をすることで有効視野が拡大できれば、高齢ドライバーの交通事故防止にも寄与することが期待される。
すでにアカウントをお持ちの場合 サインインはこちら