1.鹿追町然別湖畔の常緑針葉樹林と千歳市支笏湖東岸の落葉広葉樹林で1987,1988年にクマゲラの繁殖について調べた。
2.然別湖畔では産卵は5月11~13日,抱卵期は5月14または15日~5月28または29日,育雛期は5月29または30日~6月29日,支笏湖畔では育雛期途中から観察を始め,巣立日は6月20,21日であった。
3.雌雄とも抱卵し,日中の抱卵時間は雌雄ともほぼ同じであったが,夜間は雄が抱卵した。
4.育雛前期には雌雄とも抱雛し,日中の抱雛時間は雌雄ともほぼ同じであったが,育雛前•中期には夜間に雄が抱雛した。
5.1日当たりの給餌回数は,育雛前期には雌雄あわせて10回くらいであったが,中期には20回くらいとなり,巣立数日前から減少した。給餌回数に雌雄差はなかった。糞運びは育雛中期から目立つようになったが,巣立数日前から減少した。
6.1987年には巣への飛来•飛去方向には雌雄差が見られ,抱卵•育雛期中にも変化した。巣への飛来•飛去時に,営巣木付近の木に一度止まることが多く,とくに巣立数日前から給餌後に止まる回数,時間が増加した。
7.ドラミングは造巣期から育雛期に聞かれ,とくに巣立数日前から給餌後に多かった。
8.幼鳥数は然別湖畔では雄1羽,雌2羽,支笏湖畔では雄2羽,雌1羽であった。巣立日は前者で6月29日,後者で6月21日,巣立数はいずれも3羽であった。
9.雛に与える餌と,巣立後巣内から集めた残渣は主にアリ類であった。
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