一般社団法人日本家政学会研究発表要旨集
57回大会(2005年)
選択された号の論文の296件中101~150を表示しています
  • -2003年と1996年の比較-
    十一 玲子, 兼子 良子, 吹田 和子, 渡辺 澄子
    セッションID: 2P-47
    発行日: 2005年
    公開日: 2005/12/08
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    目的 若者は多くのファション情報の中から流行を取り入れ、日々の生活の中で自分らしさを表現し楽しんでいる。めまぐるしく変化する環境の中で、現代を生きる女子学生のライフスタイルと衣生活スタイルとの間にどのような関連性があるのか、さらに時代の流れなかで1996年調査と比較しどのように衣生活スタイルが変化しているかを明らかにする。方法 女子学生776名を対象に、2003年6月に自記式集合によるアンケート調査を行った。衣生活スタイル項目は23項目、一般的ライフスタイル項目は26項目を設定し、5段階尺度で評定し得点化した。分析方法は、評定尺度得点をもとに因子分析を行い、両スタイルの主要な因子を抽出し、因子得点を算出した。各因子の関連を両因子得点の相関から検討した。因子得点をもとにクラスター分析を行い、両スタイルを類型化した。結果 衣生活スタイル23項目については、「会社訪問にリクルートスーツを着る」、「普段着でパーティ会場には行かない」、「社会的地位や立場にふさわしい服を着る」などTPOを重視していた。因子分析の結果「ファッション性」、「機能・実用性」、「アピール性」、「規範性」、「経済性」、「社会性」の6因子が抽出された。ライフスタイル因子と衣生活スタイル因子との相関では、ファッション性については、外向性・革新性に強く影響し、追隋性には、負の相関がみられる。ファッション性の高い学生は、人との同調を好まないといえる。機能・実用性を志向する学生の衣生活スタイルは、ライフスタイルにおいても堅実性を志向する傾向がある。1996年との比較から衣生活にも意識の変化が見られた。気に入ったものを長く着るという考えも低く、へそ出しルックにも抵抗感が無くなる傾向にある。
  • -女子学生との比較-
    庄山 茂子, 石川 麻梨, 栃原 裕, 中川 早苗
    セッションID: 2P-48
    発行日: 2005年
    公開日: 2005/12/08
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    目的 近年、化粧は表現メディアとしてだけでなく心理面に及ぼす影響からも注目されている。本研究は、高齢女性の化粧に着目し、化粧の実態と化粧が自己概念に及ぼす影響について調査をもとに明らかにすることを目的とした。さらに、女子学生と比較し、世代間の違いについて明らかにした。
    方法 (1)調査概要 1)調査場所:長崎県 2)調査対象者:高齢女性60から83歳173名、女子学生18から23歳192名、3)調査方法:質問紙調査 高齢女性:郵送法 女子学生:配票留置法、4)調査時期:2004年5月から7月、(2)調査内容:化粧行動の実態、化粧前と化粧後の顔の満足度、化粧前と化粧後の自己概念の変化 (3)分析方法:単純集計、平均値の有意差検定(t検定)、主因子法による因子分析
    結果 化粧行動については、高齢女性の約9割が日ごろ化粧を行っていた。高齢女性の化粧にかける時間は、女子学生よりやや短かった。両グループとも化粧をすることで、素顔の満足度より化粧後の満足の程度は上がっていた。その傾向は、高齢女性の方がやや高かった。両グループとも化粧をする目的は、心理的効果のためで、化粧により自己概念のイメージも変化した。特に、高齢女性は、身だしなみとしての化粧をしていて、外見的な魅力を引き出すだけでなく、内面的な気品や行動面に影響していることが推察された。
  • 谷本 道子, 藤城 榮一, 櫻井 のり子, 杉山 尚美, 中山 智草
    セッションID: 2P-49
    発行日: 2005年
    公開日: 2005/12/08
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    <目的>前報(第56回大会研究発表要旨集p.141)で報告した住宅について、前報調査(以下、02調査)の2年後の状況を調査し、その間の世帯の動きと、建替えのための仮移転が間近に迫った段階での居住世帯の意向を明らかにし、建替え後の住宅の計画内容とその手法についての知見を得ようとするものである。
    <方法>1964年に入居開始した名古屋市東部に位置する県営平針住宅では、現在の総戸数1284戸の内RC造中層483戸が05年度移転開始の建替え対象になっている。これらの住戸に現在居住する世帯347戸を対象に、2004年11月に留置自記式調査を実施した。調査票の配布及び回収は地域の自治会役員の協力を得、回収数234票、回収率67.4%であった。
    <結果>02調査の世帯主年齢でみた高齢化率は36.1%であったが、今回の調査(以下、04調査)では40.2%に上昇した。65歳直前年齢層の割合も高いので高齢化はさらに進行するとみられる。建替え後の再入居を希望する世帯の割合は、02調査で80.4%、04調査で81.3%に昇っており、未定世帯は減少している。これらの世帯について、世帯型、世帯収入等の基本属性をみた上で、世帯型や世帯員の健康状態と近所つきあいの状況、再入居意向と世帯型や現住宅の状況との関係等を明らかにした。さらに建替え後の住宅に対する希望について、住戸計画、高齢者向け住宅の配置、自動車保有と駐車場への要望、各種施設等への希望や、コミュニティ意識、今後も住み続けるための福祉サービス等への要望等を明らかにした。高齢単身世帯を取り出し、単身で入居しそのまま居住している世帯と複数で入居し一人残されて居住している世帯の相違や孤立状況と不安等についても考察した。
  • 鈴木 彩子, 長谷川 貴通, 泉川 洋亮, 岡野 知道, 佐藤 安信, 米山 雄二
    セッションID: 2P-50
    発行日: 2005年
    公開日: 2005/12/08
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    〔目的〕近年、住宅設備の進化に伴い、トイレは快適でキレイな空間と進化しつつあるが、生活者の多数は、トイレ空間に対して潜在的に不衛生感を抱いていると考えられる。そこで、本研究ではその潜在的な不衛生意識を探るため、尿ハネに着目、便器外側への飛散実態とそれに伴う微生物・臭気汚染の相関を明らかにした。〔方法〕尿ハネの飛散実態は、感水紙を用いて液滴計測により実施した(n=7平均)。また、菌分布については、実家庭にテストパネルを設置し、ふきふきチェック_II_(栄研器材)で拭き取り、TSA(トリプトソイアガー)およびマンニット食塩寒天培地にて培養、菌種別に定量調査した。尿の乾燥状態と臭気成分の関係については、6段階臭気強度表示法に従い官能評価を行った(n=3平均)。〔結果〕第56回大会にて、男性のトイレスタイルと便器のふち裏への尿ハネについて報告したが、さらに尿ハネは便器外側にも派生しており、特に、便器の手前部分の床で非常に多く、便器から20cm・幅50cmの範囲で、1回の小用あたり直径2mm以下の尿滴で平均約230個計測された。不衛生要因の実態については、菌汚染は実家庭のトイレでStaphylococcusやMicrococcus属の球菌やグラム陽性菌が検出され、尿の臭気は液状の時よりも乾燥状態に近づくほどその強度が、「明らかに感じる臭気レベル(3点)」から「耐えられない程度の強い臭気レベル(5点)」へと変化することを官能評価で確認した。さらに、尿ハネによって引き起こされる菌の増殖や臭気成分の変化との相関についても検証したので併せて報告する。
  • 菊池 美津子, 其輪 愛, 國嶋 道子
    セッションID: 2P-51
    発行日: 2005年
    公開日: 2005/12/08
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    目的:関節リウマチ患者の家庭生活での自立度の向上や活動範囲の増大、困難な動作の軽減、介護の軽減、あるいは関節保護のために住宅改造が必要となる。そこで、関節リウマチ患者はもとより、その家族のQOLをも向上させることを目的として関節リウマチ患者の住環境に関する調査を行い、実態を把握するとともに、QOLの向上につながる住環境整備のあり方を考察する。
    方法:既研究・関連文献のチェックを行い、研究方法を検討するとともに関節リウマチ患者の一日の生活時間調査を行った。次にヒアリング調査を行った上で、現在の症状、日常の中で基本的に行う歩行、昇降動作、立ったり座ったりの動作、ADLを緩和できる自助具などさらに住宅改善などについての項目を取り上げ、アンケート調査を郵送法より行った。調査対象者は、リウマチ友の会京都支部会員の方々360名である。調査時期は2004年9月で、有効回収数160名である。さらに、協力家庭20件において住宅訪問・ヒアリング調査を行い、住宅の不具合を調査した。
    結果:生活時間調査では、関節リウマチ患者の症状によっては一日のうち介助の必要な部分が非常に多い。アンケート調査・住宅事例調査では関節リウマチの症状は患者によって異なるが、住宅内で不自由を感じる場所の多くは、段差がある個所や浴室である。しかし、この病気の症状には特徴がありまた個人差もあるので、自助具・補助具・福祉用具を取り入れるだけでなく、患者にとって快適な環境を創出するためには住宅改善が必要になるが、シニア住宅では対応しきれない部分があることが明らかになった。
  • -福岡市名島商店街のケーススタディ-
    藏田 涼子, 岡 俊江, 永添 正美, 井原 徹
    セッションID: 2P-52
    発行日: 2005年
    公開日: 2005/12/08
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    目的 地域の商店街は、安定した日常生活を営むための重要な居住環境要素であるにもかかわらず日本各地でその衰退が指摘されている。福岡市東区名島商店街を対象に、住宅地図に記載された店舗名に着目して、商店街の変遷と各店舗の営業存続意識を明らかにする。方法 (1)福岡県立図書館所蔵の1962年から2002年まで約40年間の住宅地図31冊から対象地域の地図を入手し、3年間隔で、店舗、公共施設、交通機関を調べ、地域の変遷を明らかにする方法をとった。(2) 営業存続意識は、2004年9月に全58店舗を対象に訪問して留置きアンケート及び聞き取り調査を行い27店舗から回答を得た。回収率47%。結果 (1)40年間の店舗数の時系列変化は、1962年3店舗から少しずつ増加し、1984年と1990年がピークで75店舗、以後減少し、2002年は58店舗、ピーク時の77%である。(2)住宅地図中の店舗名称を基に業種別に10分類して時系列変化をみると、店舗数の増減が全体の変化と同傾向を示す6業種(A.食堂、B.食材・生鮮品、C.日用品、E.趣味関係、F.薬局、H.本・AV・音楽、)と、増減が少ない4業種(D.住宅関係、G.スーパー・コンビニ、I.理・美容室、J.サービス業)に二分された。前者は日々の買い物として訪れる店舗、後者は、周期的に目的をもって店舗を訪れる業種が多い。(3)店舗数増減の変化は、大型団地建設による周辺地域の人口の増加、大型ショッピング施設の開設と大型団地入口へのバス停設置よる商店街通過人口の変化と一致している。(4)25/27件が営業存続したいと回答した。営業存続意識が高い背景として、店舗と住居が一緒であること、後継者があること、営業年数が長いことなどが挙げられる。
  • 渡辺 紀子
    セッションID: 2P-53
    発行日: 2005年
    公開日: 2005/12/08
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    【目的】 被服領域では染色実験や実習が行われているが、実習後の染色廃液は未処理のまま下水処理場に放流されているケースが多い。今日、環境を配慮した教育の重要性が様々な場面で叫ばれているが、染色実習においても染色廃液処理までを取り上げ、水質汚濁問題を意識させることは必要なことである。そこで、本実験では染色廃液の脱色浄化法として、酸化チタン光触媒および活性炭を使用した場合の効果について比較検討した。 【方法】 染料:直接染料および酸性染料を数種、助剤:硫酸ナトリウム・炭酸ナトリウム・酢酸。酸化チタン光触媒実験:基本条件として、染料水溶液100mlにアナターゼ型酸化チタン0.2gを添加し、スタラーにより染料液を30分撹はんしながら紫外線(ブラックライト)を照射する。照射前後の染料液はメンブランフィルターでろ過した後、各染料の極大吸収波長(λmax)で吸光度を測定し染料除去率を求めた。活性炭による吸着実験:粉末状および繊維状活性炭を用いた。染料水溶液に活性炭を入れ、一定時間撹はんした後、残浴中の染料濃度から染料除去率を算出した。【結果】 酸化チタンによる染料除去率は、酸化チタン添加量が多いほど紫外線照射時間が長いほど増加した。直接染料/塩類添加系において酸化チタンとの顕著な共沈現象が認められた。酸性染料/酢酸添加系においても、染料液のpH低下に伴い共沈現象が促進された。したがって、染料除去率は、酸化チタンによる光分解効果と共沈効果の総和として評価された。また、同一染料除去率を得るための、活性炭および酸化チタン使用による処理条件を対比した。
  • 水谷 令子, 富田 寿代
    セッションID: 2P-54
    発行日: 2005年
    公開日: 2005/12/08
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    [目的]コーカサスは旧ソ連のヨーロッパ部分の最南端に位置し、西は黒海、東はカスピ海に挟まれた地域であり、紀元前に遡る歴史をもち、古くから文化が栄えた。本研究では、グルジアの水道水および地下水の水質を調べ、この地域の生活用水の現状と将来について検討する。
    [試料採取および実験]トビリシからバツーミまでの各都市の水道水および住民が飲用している湧水や地下水を採取し、上水道試験方法に従って水質を調べた。
    [結果及び考察]首都トビリシはグルジア東部、内陸部の山に囲まれた平野にあり、大陸性気候である。ここで使われている水道水は、pH8付近、電気伝導度(EC)30~40ms/m、硬度120~160mg/Lの中硬水であった。黒海沿岸地方は湿潤温暖気候で、この地方の代表的な都市バツーミの水道水は、ECが低く、硬度35~45mg/Lの軟水であった。黒海の水は溶存酸素がやや低く、アニオン、カチオンの量を反映してECの値が著しく高くなっている。今回調査したほとんどの試料は硬度と総アルカリ度の値がよく関連しており、ミネラル分は炭酸塩由来であることを示している。グルジアの主な都市には上水道が布設されており、街角には水飲み場があり、人々は頻繁に飲用していた。水道水源は湧水や地下水で、水質は良好で、水量は豊富といえる。また、ミネラルウォーターの採水地も多い。これは、国土は山がちで、比較的降水量が多く、たくさんの河川に恵まれていることに加え、産業や観光目的の開発があまり進められていないことも水質保全に役立っていると思われる。
  • 山口 庸子, 伊藤 理絵, 土屋 みさと, 津田 淑江
    セッションID: 2P-55
    発行日: 2005年
    公開日: 2005/12/08
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    【目的】持続可能な消費に向けて、環境への負荷をどのように削減するかは、資源やエネルギーを消費する側の課題でもある。一方、女性の社会進出の増加や、家事労働の負担軽減の目的から、家庭用食器洗い乾燥機(食洗機とする)の販売量が急激に伸びている。そこで、本研究では、ライフサイクルアセスメント(LCA)の解析手法を用いて、手洗いと食洗機の比較から、環境への負荷をどのように削減できるか、洗い方や食洗機の機能性評価から検討した。【方法】優良住宅部品性能試験方法 (ベターリビング法とする)に準じて、食器の選定(4人分・13種類)、汚れモデルの作成、汚し方を設定した。製造年の異なる同一容量の食洗機(NP-830、NP-50SX3)を対象に、ベターリビング法による視覚評価及びATP法による清浄度評価から洗浄後の食器の汚れ落ちを評価した。更に、LCIデータとして、食器洗浄に使用した水量、電力、洗剤量を測定した。手洗いは、水温25℃(常温)と40℃を比較して、使用水量、洗剤量及びガス使用量を算定した。CO2排出量の算出にはJEMAI-LCA Ver1.1.5等を用いた。【結果】食洗機を用いた食器洗浄のLCI分析の結果、一定の洗浄力を保持する標準的な洗浄条件では、電力由来のCO2排出量は全体の約80%以上を占めており、洗剤は10%未満、水道水は5%未満と少量であることが判った。更に、2004年製造の食洗機は、1998年製造の食洗機に比べて節水・節電が進み、洗浄由来のCO2排出量は約7%削減された。また、洗浄前の20分程度の「浸し置き」により洗浄度を高め、使用洗剤量及び水量を減らし、CO2排出量の効果的な削減ができた。手洗いでは、CO2排出量は非常に少ないものの、ガスを使用した湯洗いではCO2排出量が急激に増加することが判った。
  • 中島 照夫, 賓 月, 松生 勝
    セッションID: 2P-56
    発行日: 2005年
    公開日: 2005/12/08
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    目的 本研究は、物質循環可能で、未利用天然資源の有効活用も解決できる延伸可能なキトサン/PVAブレンドフィルムの成形加工を行い、物性及び生分解性に関して検討した。 
    実験方法 1.成形加工法 1%酢酸で調整した2%wtキトサン酢酸溶液と3%wt PVA溶液を別々に調製した。前者に対して後者を4段階の割合(100/0、40/60、22/78及び0/100)でブレンドし、室温で3時間攪拌後、シャーレに流し入れ乾燥した。その後4%NaOH水溶液で2時間中和後、乾燥した。 2.物性 DSC測定は理学電機(株)の示差走査熱量分析装置、動的粘弾性は岩本機械(株)製の粘弾性測定装置(VES-F)を用いた。 3.生分解性評価 生分解性は、土壌埋没試験(未延伸及び延伸試料を深さ10_cm_の赤土と水田土壌中に0、0.5、1、2ヶ月間埋没)で調べ、重量減少率と日本電子のJSM-35CF型SEM観察により総合評価した。 
    結果及び考察 キトサン/PVAブレンド試料の最大延伸倍率は、PVA含有量が増すに従って高くなり、40/60ブレンドで3倍延伸が、22/78ブレンドでは7倍に達した。未延伸試料の貯蔵弾性率(E’)は、キトサン試料が最も高く、PVA含有量の増加に従い低下した。損失弾性率(E’’)は、PVA含有量の増加に従い30〜50℃の範囲内に出現するピ-クが高くなった。延伸試料の貯蔵弾性率(E’)は、未延伸試料より高い値を示した。土壌埋没試験による重量減少率は、赤土土壌より水田土壌が、延伸試料よりも未延伸試料の方が高く、生分解性速度が速かった。キトサン/PVAブレンド試料の重量減少率は、未延伸及び延伸試料ともPVA含有量が増すに従って低くなった。この傾向は後者の方が顕著であった。キトサンにPVAをブレンドすると延伸が可能となり、市場性の拡大が期待される。
  • -東京都世田谷区三軒茶屋地区をモデルに-
    中山 榮子
    セッションID: 2P-57
    発行日: 2005年
    公開日: 2005/12/08
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    【目的】酸性雨や自動車排気ガスの問題は大変身近であり関心を集めている。その原因物質のひとつであるNOxは各自治体で一般局および自排局において常時測定が行われており、また簡易法もさまざま試みられている。そこで、生活空間内のNO2分布を明らかにすることを目的に精度の高いガスパック法を用いて面測定試みた。
    【方法】測定は本学キャンパスを生活空間に見立て、同キャンパス内付属校が休みである2004年12月22日から1月7日まで行った。キャンパス内に31個のガスパックを設置し、24時間毎のNO2濃度を評価した。ガスパックはGASTEC社のDiffusion Gas Sampler GASPAC Model 2000を用い、吸収液内のNO2-をザルツマン試薬で発色させ540nmにおける吸光度より算出した。
    【結果】幹線道路沿いの測定エリアであったが、国の環境基準を超える測定値は期間中無かった(自排局の達成率は83.5%)。測定した結果からコンターマップを作成した。よく晴れて弱い北風の日であった2004年12月24日から25日にかけての結果を要旨集では図に示した。この図より北側幹線道路からのキャンパス内にNO2が流入し、その後建物を回りこんで拡散する様子などが伺える。今回と同様の測定を2001年冬、2002年夏、2003年春と実施しているので比較して報告する。
  • 武井 玲子, 大川 真智子
    セッションID: 2P-58
    発行日: 2005年
    公開日: 2005/12/08
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    【目的】地球環境問題は、生活者のライフスタイル、すなわち衣・食・住生活という生きていく上での基本的要素が深くかかわっている。本研究では衣生活に焦点をあて、LCA思考(ライフサイクルシンキング)に基づき、衣料品の購入、着用、洗濯・乾燥・手入れ、保管、着用、リサイクル・廃棄というライフサイクルの各段階において、本学女子学生の衣生活に対する環境意識を調査し、環境保全型衣生活教育内容の参考とする。【方法】平成16年9月_から_平成17年1月の期間に郡山女子大学および短大の1・2年生(140名)を対象として、所持衣料品枚数と1年間着用しなかった死蔵衣料品枚数および衣料品のライフサイクルの各段階において環境負荷低減を目指した3Rの視点(Reduction、Reuse、Recycle)から衣生活に対する意識と行動実態、今後の課題に関して記述式による調査を実施した。【結果】一人暮らしや家族と同居という生活形態の違いはあるものの、所持衣料品枚数、死蔵衣料品枚数にかなりの個人差が認められた。購入および着用段階においては、意識と行動の一致が見られ、堅実は衣生活傾向であった。一方、洗濯・乾燥・手入れ段階においては、特に家族と同居学生は意識と行動に乖離が認められ、今後の課題としていた。また、リサイクル・廃棄の段階では、死蔵衣料品は多種多様多数にもかかわらず、廃棄を望む学生は少なく、Reuse、Recycle志向が高い傾向であった。全般的に、衣生活においては洗濯、着回し、お下がり等環境保全型衣生活を日常的に実践しており、これらを意識的に継続させるためには環境保全をめざした衣生活デザイン教育が必要であることが示唆された。
  • -その歴史と特徴-
    永冨 真子, 北浦 多榮子
    セッションID: 1Aa-1
    発行日: 2005年
    公開日: 2005/12/08
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    「小倉織」は小倉縞・小倉縮・小倉袴の三種類を総称したものであるが、一般的には木綿織物を小倉織と称し、絹縮を小倉縮と称している。小倉起源説と信州起源説の二説が伝えられている。寛永9年(1632年)に譜代大名の小笠原忠政氏が信州から播州を経て小倉の地へ転封された折り、信州で織られていた織物を改良したのが本小倉織という説である。 本小倉織の全盛は文化より嘉永の20年間であった。安永年間足利町?阿寺の領内の織屋小佐野茂右衛門が俳諧漫遊の折り、豊前小倉で数ヶ月小倉織の法を習得し自家工場で生産したのが「足利小倉織」として発展した。岡山県児島地方では寛政年間から織業が起こり、主として真田織(小倉帯)や袴地が織られていた。明治に需要の伸びに応えるため、輸入の紡績綿糸や人造染料を使用した常袴地が小倉織として流通していた。 江戸時代最盛期には年間帯地6十万筋、袴地1万6千反であった本小倉織も、明治11年には帯地千4百筋、袴地8百5十反で、手織機も6台程度であった。しかし明治25年に肥後屋大塚才兵衛が備前児島から染色人として招いた明田が明田小倉織工場を設立した。26年には地元有志による小倉織物会社が創設され、27年には30余の女工と織機を備え、第4回内国勧業博覧会では好評を博した。これにより翌年株式組織に改編し、織機百余台を備えた新工場を新設したが、児島地方や他地域の機業規模に対抗できる力はなかった。明治34年日清戦争後の金融恐慌の煽りをうけ、豊陽銀行の破綻の巻き添えにより倒産した。     幻の織物となった「小倉織」の再現物性や、文学作品に登場する「小倉織」を考察した。
  • 高橋 和雄, 菅野 優子
    セッションID: 1Aa-2
    発行日: 2005年
    公開日: 2005/12/08
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    [目的] インターネットの検索サイトをクリックし、[布]と1文字入力するだけで布地の種類・繊維・加工名などを調べることができるサイトがあれば便利である。本研究では、布をデジカメで撮影したものをExcelで表にし、Webサイトへの展開を試みた。
    [方法] 1) 布検索システムの調査 文化学園の布を実物で検索するシステムでは、複合検索により実物のサンプル地を直接見て触ることができる。しかし、そこまで出向かなくてはならなく、また、Webサイト上で概要は表示されるがアクセスできない欠点がある。
     一方、Webサイト上で同様な検索をすると主にインターネットショッピングにつながり、ここで繊維や加工名などを調べることはできるが、布の詳細までは調べられない。たとえば、検索サイトのYahoo! Japan、infoseekやmsnで検索した場合、思わず目を引く布が表示されるが、雑貨などと一緒に掲載されている。しかし、布の質感についての記載は少なく、また、布の特性がほとんど示されていない。
     2) 布情報のWebサイトへの展開 桐生市にある(株)小林当織物で提供された約50枚をデジカメで撮影し、Excelでデータベース化した。ついで、Yahoo! Japan内のジオシティーズを利用し、Webサイトを作成した。
    [結果と考察] 得られた布画像のデータファイル(not shown)を元に、http://geocities.yahoo.co.jp/を使用してhtmlファイル(not shown)を作成した。得られたWebサイトでは、布地名称・繊維・織り・染色などを1つのサイト内から調べることができるようにできた。今後は、topページをはじめ使いやすく、布情報を増やすなどの改良を予定している。また、被服材料学全般についてもWebサイトで学べるシステム構築を考えている。
  • 織田 博則, 山田 由佳子, 杉山 章
    セッションID: 1Aa-3
    発行日: 2005年
    公開日: 2005/12/08
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    (目的)これまで染料の光退色抑制を目的として、自動酸化防止剤や紫外線吸収剤と一重項酸素クエンチャー基を組み合わせた化合物を各種合成し、その効果を酢酸セルロースフィルム上で検討してきた。ここでは、その母体骨格を成すニッケルアリールスルホン酸塩が染色布の日光堅ろう度改善剤としてどの程度有効であるか検討した。(方法)常法に従いエオシン、クリスタルバイオレット、インジゴカルミン等染料をナイロン布に染色し、紫外線吸収剤や自動酸化防止剤ならびにDABCOや各種ニッケル錯体を用い処理後、水洗・乾燥し試験布を作成した。作成された試験布はキセノンアーク灯照射により、その効果を検討した。(結果および考察)第三級アミン類(DABCO)や紫外線吸収剤、自動酸化防止剤は効果がないか、あってもわずかであり、場合によっては退色の加速が見られたのに対し、検討したニッケルアリールスルホン酸塩はいずれも染色布の日光堅ろう度を改善した。特にNBS, NTS, 1-NNSが優れた改善効果を示した。フェニル環へのニッケルスルホン酸基の導入は1個が有効で、それ以上の導入は染色布への付着性が低下し、抑制効果の低下をきたした。NTSのようにフェニル環へのアルキル基の導入は有効であるが、水酸基の導入は布への付着性は向上するが、日光堅ろう度の改善効果は低下をきたす。ニッケルアリールスルホン酸塩の抗菌活性についてはJIS規格に基づき検討したが、いずれの化合物も発育阻止円(ハロー)が見られず、地球環境にやさしい母体骨格であることが明らかになった。
  • 小原 奈津子, 山口 奈穂子, 金井 まゆみ, 中島 利誠
    セッションID: 1Aa-4
    発行日: 2005年
    公開日: 2005/12/08
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    <B>目的</B> これまで還元や酸化後サクシニル化した羊毛の吸水性について検討してきたが、これらの処理によって吸湿性も高くなることが明らかになった。サクシニル化には数種の無機塩を用いるため、サクシニル化羊毛中のカルボキシル基はNaもしくはK塩を形成している。本研究では、還元後サクシニル化した羊毛のカルボキシル基の塩の形成状態の吸湿性に及ぼす影響について検討した。<BR><B>方法</B> 試料:羊毛繊維(トップ)。還元処理:40℃の3M2-メルカプトエタノール水溶液中で6時間振とうした。サクシニル化:還元羊毛を浸漬したpH8.0のリン酸バッファー中に無水コハク酸(6.85g/g・wool)を少量ずつ加えた後、室温で24時間撹拌した。この間、反応系のpHを保つために、10MNaOH水溶液を適宜滴下した。脱塩:還元サクシニル化羊毛を電解透析した。NaおよびK含有量:硫酸および硝酸で加熱分解し、原子吸光光度計を用いて定量した。吸湿性:各種無機塩の飽和水溶液を用いて、デシケーター法により0_から_83%R.H.下の試料の水分率を測定した。<BR><B>結果</B> 電解透析時間を変えて還元サクシニル化羊毛の脱塩を行ったところ、透析時間の長かった試料ではNa:2μg/g、K:4μg/g(未脱塩試料はNa:195,000μg/g、K:145μg/g)となりほぼ脱塩されていた。時間の短かった試料ではNa:1800μg/g、K:158μg/gであった。未脱塩の還元サクシニル化羊毛の吸湿性は未処理羊毛より高い吸湿性を示したが、完全に脱塩および脱塩半ばの試料では未処理羊毛よりわずかに低い吸湿性を示した。また、水分率が増すとともにT<SUB>g</SUB>は低下し、水分率11_から_56%の未処理羊毛のT<SUM>g</SUB>は42.6から29.2℃であることが明らかとなった。
  • 島崎 恒蔵, 松梨 久仁子
    セッションID: 1Aa-5
    発行日: 2005年
    公開日: 2005/12/08
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    目的  縫製品における「縫い目笑い」は、主としてミシン縫製張力設定に起因する欠点である。縫い目笑いに関しては、すでに筆者ら[1]は縁かがり縫い(オーバロック縫い)シームについて報告している。本研究においては、もっと広範にニット布を種々のミシンにより縫製する場合の「縫い目笑い」の発生傾向を把握するとともに、縫製において重要なファクターである伸長性にも留意して、縫製への応用を検討した。方法  各種ミシン(ステッチ形式:101、301、401、503・504)によって様々な条件下で、ニット布(インターロック編、綿100%)を縫製した。なお本研究では、本縫いミシンについては差動送りミシンを採用した。これらによる縫製試料を一定張力条件のもとで縫い目を割って、笑いの発生傾向を調べた。結果と考察  シーム笑いは、シームにおける縫い糸消費長と密接な関係がある。そこで便宜的に単純なステッチの長方形モデルを考え、このモデルの縫い糸消費長と実際の各シームから採取した縫い糸消費長の差をシーム笑いの重要な変数と考えた。実際に単環縫い、二重環縫い、本縫い、オーバーロックの各シームにおいて、縫い糸消費長の差から算出したこの変数は、シーム笑いと密接な対応関係があることが確かめられた。特にニット縫製によく用いられるオーバーロックミシンでは、条件設定に注意を要する。これらの結果をもとに実際にニットシャツを縫製する場合に、シームの伸長性に考慮しつつ、笑いを防止するための方策を考察した。1)綾 久仁子、島崎 恒藏、嶋田 敦子:繊消誌、Vol.33、No.1、47(1992)
  • 城島 栄一郎, 藤橋 広美, 村井 みさと, 山本 牧子, 馬場 奈保子
    セッションID: 1Aa-6
    発行日: 2005年
    公開日: 2005/12/08
    会議録・要旨集 フリー
    【目的】 衣服と皮膚の摩擦は、着心地と密接に関係し、スポーツなどで多量の汗をかくと、衣服が肌に密着して不快感を覚えるとともに、動作の妨げとなる。湿潤布のべとつき感を布の物理的なすべり抵抗と結びつけて検討したのは、鈴木等が最初であった[1]。この報告で、PPフィルム上に無荷重状態の布をすべらせた抵抗が、水分率の増加とともに極大値をとる特徴的な結果を得ている。その後[2]、PPフィルムと布間の密着力が、界面に存在する水の界面張力に起因するとして、モデルによって極大を説明している。しかしながら、発汗と同時に衣服に大きな張力が加わるような、激しい運動下での摩擦力の水分率依存性は明確にされてはいない。本研究では、加圧下で、高湿潤状態の衣料と皮膚の摩擦力と水分率との関係を検討する。【方法】 種々の水分率のスポーツ衣料用編物10種類と、一般の織物衣料15種類について、加圧下で豚皮上をすべらせて摩擦力を測定し、静摩擦係数と動摩擦係数を求めた。【結果】 1)使用した試料全てにおいて、静摩擦係数と動摩擦係数ともに、水分率の増加とともに直線的に増加し、高い相関関係にある。2)乾燥時の静摩擦係数は0.71-1.02の範囲であり、動摩擦係数は0.51-0.73である。100%の水分率で摩擦係数は、平均して30%程度増加する。3)編物は織物よりも、湿潤時の動摩擦係数が20%程度小さい。また、綿繊維の混用率の増加は湿潤時の摩擦係数の増加を増幅する。[1] 鈴木淳,新海克彦,大平通泰:繊維学会誌 Vol.29, No.2, T50-T56 (1973)[2] 鈴木淳:繊維学会誌 Vol.39, No.6, T233-T245 (1983)
  • 井上 真理, 丹下 綾子, 丹羽 雅子
    セッションID: 1Aa-7
    発行日: 2005年
    公開日: 2005/12/08
    会議録・要旨集 フリー
     目的 パワーネットは2,3枚おさのたて編地で、多軸方向への大きなストレッチ性能を有することから、サポーターや、体幹部の整形効果を期待したボディスーツ、ガードルなどに用いられている。そのニ軸伸長特性は直接衣服圧に関係し、使用感、着用感に深くかかわる。本研究は、パワーネットの構造解析により、そのニ軸伸長特性を理論的に解析し、身体拘束との関連を考察する。 方法 パワーネットの単位構造モデルを設定し、糸の力学特性とネット構造から構造主軸方向への二軸伸長特性を理論的に誘導し、多軸方向への伸長特性を予測する。理論に用いる糸の伸長特性は、KES-G1によって測定する実測値を用いる。パワーネットのニ軸伸長特性はニ軸引張試験機を用いて測定し、理論により誘導された予測値と比較する。二軸伸長特性の予測および実測には250dのポリウレタン弾性糸と50d/17filのナイロン糸で構成されているパワーネット試料を用いた。 結果 ウェール、コース各方向への一軸拘束ニ軸伸長変形および均等ニ軸伸長変形における伸長特性の理論値と実測値との間には良好な一致が認められ、理論の精度が確認された。各糸の弾性率は、ポリウレタン弾性糸が0.03N/d、ナイロン糸が16N/dで、弾性率の大きいナイロン糸によるパワーネットの編み構造に対して、ウェール方向にストレッチ性能の大きいポリウレタン糸を挿入することで、多軸方向への大きなストレッチ性能を付与させていることが明らかになった。
  • 山本 晋司, 山田 由佳子, 井上 真理
    セッションID: 1Aa-8
    発行日: 2005年
    公開日: 2005/12/08
    会議録・要旨集 フリー
    目的 繊維軸方向に分子配向した繊維の伸長特性は、ヤング率で代表される基本物性であり、被服材料としての実用性能に大きく関わっている。不感蒸泄や発汗等の水分は、着用時の被服材料に作用し、仕立て映えや着用感に関わるとともに、水に浸漬された繊維の特性は、洗濯時の材料特性の変化を捉えるための基礎資料となることから、吸湿性・吸水性に富む綿繊維を試料として水分による寸法および伸長特性の変化を捉えることを目的とした。 方法 慣行栽培された綿を試料として使用した。光学顕微鏡を用いて、20℃,65%RH条件下と24時間水中に浸漬後の同条件下における綿繊維の側面観察を行い、長径と短径を5ヵ所ずつ計測した。繊維の断面を楕円形と仮定し、長径と短径の計測値より断面積を計算した。初期長を10mmとしてエポキシ樹脂で単繊維の両端を紙上に固定し、伸長特性の測定に供した。KES-G1引張り試験機を用い、Normal(20℃,65%RH、空気中)・Wet(24時間以上水に浸漬, 空気中)・In-water(24時間以上水に浸漬, 水中)の3条件において測定された伸長特性より、ヤング率と破断強度を求めた。 結果 長径・短径・断面積はいずれも浸漬後の方が高い値を示したが、繊維の両端を固定した状態での測定であったため3_から_15%の増大を示す程度であった。In-Water条件時のヤング率はNormal条件(p<0.01)やWet条件(p<0.001)より有意に小さく、In-Water条件時の破断強度はNormal条件(p<0.05)やWet条件(p<0.01)より有意に小さいという結果が得られた。
  • 瀬戸 房子, 岡村 好美
    セッションID: 1Xa-1
    発行日: 2005年
    公開日: 2005/12/08
    会議録・要旨集 フリー
    目的 主な天然の被服素材はセルロース系とタンパク質系繊維であるが、染色を施す場合、種々の官能基を有するタンパク質系繊維では鮮やかで深みのある色彩を得やすいが、セルロース系繊維では染まるものの鮮やかさに欠ける場合が多い。一方、被服材料の染色には主に染料が用いられているが、古来より顔料も利用され、綿等は顔料染めに用いられる。本研究では、タンパク質系繊維である絹の染色性を利用し、絹繊維を染料を担持した粒子状にして、顔料染めの手法によってセルロース繊維を染色することを試みた。方法 顔料の作成には、絹繊維と酸性染料のメチルオレンジを使用した。絹10g、CaCl2水溶液100ml中で溶解し、メチルオレンジを0.2g加えた。常温で24時間放置後、透析を24時間行ない、凍結乾燥させてシルクパウダーを得た。綿布、麻布を試料として用いた。所定の濃度で染色したシルクパウダーの水分散液を作成した。分散液と試料布を一緒にラップし、常温で10min圧力をかけ、十分に蒸留水で洗浄した。乾燥させ、色彩色差計を用いて染色布の色差を測定した。試料布の表面状態を電子顕微鏡(SEM)で観察した。結果 メチルオレンジで染色した試料布は絹布より色彩が淡く、綿と麻の染着量は同程度であったが、色彩は若干麻の方が鮮やかであった。未染色布、染色布を顔料染めの手法で染色を行なった結果、シルクパウダーの付着によって未染色布は一般の通常の染色方法で染色した場合に近い色彩が得られ、染色布では明度が低下した。凍結乾燥させたシルクパウダーは硬く、染色後も膨潤せず、顔料と同様に硬い粒状であった。SEM写真にから、顔料と同様に試料布の繊維表面にシルクパウダーが付着していることを確認した。
  • 樫野 悦子, 鯉沼 実佐江
    セッションID: 1Xa-2
    発行日: 2005年
    公開日: 2005/12/08
    会議録・要旨集 フリー
    目的 鮮明な赤色色素となる貴重な動物染料のコチニールは,カイガラ虫科エンジ虫の虫体に存在する色素で,中南米の砂漠に生育するサボテン等に寄生して成長するが,産卵前に採取して乾燥状態で輸出される。天然物であるため採取量は限定され,飼育拡大も困難であることから、その色素の有効な色素獲得の研究が望まれる。そこで,染色用染料としてのコチニールの有効な抽出の基礎データーを得るために、本研究ではコチニール抽出に及ぼす無機酸添加と加温時の影響をpH変換法を用いて検討を行った。方法 無機酸添加剤は,硫酸,硝酸,リン酸等を用い,希釈した各溶液にて初期値pH2.0,2.5,3.0,4.0にpH計を用いて調整した溶液50mlを容量100mlの二口フラスコにとり,冷却管を付けて電気定温湯煎器で25℃,40℃,60℃,80℃,90℃の各温度に設定後,田中直染料店より購入してデシケーター保管したコチニール乾燥虫体0.5gを加え,一定濃度で30分間抽出し,大気中で30分間自然冷却後,ろ別した抽出液の可視部吸光度測定により吸収スペクトル波長曲線と最大波長を求め,最大吸収波長が大きく異なる場合は,新たに同種の無機酸又は数種の塩基を加えて490nm付近でpH3.0又は525nm付近でpH7.0となるように調整しつつ,かつ50倍に希釈して,再度同様に測定した。結果 pH変換法でコチニール抽出液のpHをpH3.0及びpH7.0に変換すると,最大波長は490nm付近及び525nm付近となる。どちらの最大波長においても無機酸添加と加温によるコチニール抽出は初期値pH4.0の80℃,90℃抽出の場合に水のみの抽出よりも高い吸光度で添加効果が認められ,pH変換法による比較は異なる2種の最大波長で有効であった。
  • 山元 通子, 角田 光雄
    セッションID: 1Xa-3
    発行日: 2005年
    公開日: 2005/12/08
    会議録・要旨集 フリー
    目的 布上にTiO2を塗布し、油汚れを付着させ光照射すると初期はTiO2と布が残り油汚れは除去できると予想した。しかし、反射率で見るかぎり、光量の低い場合、油汚れが除去されたようにみえるが、さらに光照射すると急速に着色化が進むことから、実際は布上に油汚れの他に変形した形で何か残存しているのではないかという疑問が生じた。そこで、光照射による着色化の原因は何か、また、着色化した布の復元が可能であるか検討を行った。
    方法・TiO2付着綿布 綿布に100%アナターゼ型TiO2を浸漬、塗布後自然乾燥して作製した。
    ・汚染布の作製 アセトンに流動パラフィンを溶かし、その中にTiO2付着綿布を浸漬し引き上げ、暗所で自然乾燥し汚染布を作製した。
    ・照射条件 光源は高圧水銀灯を用いた。照射距離は30,20,10,5_cm_とした。照射時間は1,3,5,10minとした。
    ・抽出方法 種々の条件で処理した試料をソックスレー抽出器を用いて1,1,1-トリクロロエタンを溶媒として抽出を行った。
    ・測定方法 UV-2500PCを用いて種々の条件で処理した試料の反射スペクトルを測定した。反射スペクトルから復元率を求め検討した。
    結果 光照射した場合に照度が低ければ、着色化が見られても抽出により復元していると見ることができ、照度の低い条件では生成した着色物質はすべて抽出されたと考えられる。また、生成した着色物質がそれ程大きな分子ではないことが推定される。一方、強い照射条件では、復元率が低下する。ことに400nmにおける復元率が低く、明らかに着色生成物が抽出されずに布上に残ったと判断される。また、比較的大きな着色分子が生成していると考えられる。
  • 井上 美紀, 鈴木 則子
    セッションID: 1Xa-4
    発行日: 2005年
    公開日: 2005/12/08
    会議録・要旨集 フリー
    目的 前報(1)では,綿の葉から抽出した染料の染色性や,助剤と媒染剤に対する影響について比較した.この結果から綿の葉染料は媒染剤によって様々な色に染まり,また,染色布の染色堅牢度が比較的高いことが分かった.本研究では,染料の抽出温度や時間による染色性への影響や,媒染剤に対する影響などをさらに比較,検討した.
    方法 綿の葉染料は,50℃または90℃で抽出し用いた.試料には綿布と多繊交織布を用いた.染料の助剤には食用酢を用いて,30分から1時間,50℃または90℃で染色した.また,媒染剤には(a)明礬と(b)鉄を用いた.さらに,綿の葉とコットンボールを収穫した後に残った茎を燃やして(c)灰にし,媒染剤として利用した.各種繊維に対する染色性や染料の吸着量,染色布の洗濯と摩擦に対する染色堅牢度を測定し,前報での染色条件と比較した.
    結果 染色後の試料布への染料の吸着量は約2%から7%であり,特に90℃で抽出した染料のほうが吸着量は多かった.繊維の種類では,綿の他に羊毛,絹,ビニロン,ナイロンもよく染色されたが,高温で長時間染色し,酢酸銅などの試薬を用いて媒染した時より色は薄くなった.摩擦や洗濯に対する染色堅牢度は抽出や染色の温度や時間,媒染剤の種類によって異なり,高温染色で媒染剤(c)を用いた場合の染色堅牢度が高かったが,前報の条件よりも染色堅牢度は低くなった.
    (1)井上・鈴木 綿の葉染料の染色性,日本家政学会第55回大会研究発表要旨集,p87
  • 今泉 麗, 大図 雅美, 芳住 邦雄
    セッションID: 1Xa-5
    発行日: 2005年
    公開日: 2005/12/08
    会議録・要旨集 フリー
    (目的) 太陽光および各種人工光源からの光は染色物の変退色要因の1つであり、衣料品や染料、絵の具などの変退色などが危惧されている。本研究では、2種類の分散染料によるポリエステル染色布を用いた。キセノンアーク灯による光変退色特性を検討し、染料の共存の影響に着目する。(方法) 分散染料の中からC.I.Disperse Orange 73およびC.I.Disperse Violet 93:1の2種類を選定した。ポリエステル白布をそれぞれの染料単独で染色した試験布と2種類の染料を用いて染色した試験布を実験に供した。試験布への光照射はATLAS製フェーディングテスターで行った。放射照度を一定(420nm:0.75W/m2/nm)に設定し放射照度を制御した。変退色の評価は、一定照射ごとにミノルタ製色彩色差計CR_-_200型を用いて、L***値を求め、未曝露の試験布との色差を求めた。(結果) いずれの試験布においても、曝露時間の増加につれて、直線的ではなく曲線的に飽和する特性として色差が増加した。150時間曝露後の色差はC.I.Disperse Orange 73は色差17.0、C.I.Disperse Violet 93:1は17.5と著しい変退色特性を示した。C.I.Disperse Orange 73とC.I.Disperse Violet 93:1の2種類の染料を混合して用いた染色布においては、単独で染色したものよりも堅ろう性が高くなる現象を見出した。すなわち、この結果はC.I.Disperse Orange 73がC.I.Disperse Violet 93:1と共存することにより、吸収された光エネルギーが染料破壊に使われない過程が生じるとして理解される。
  • 駒城 素子, 高野 庸子, 松島 悦子, 十河 桜子
    セッションID: 2Aa-1
    発行日: 2005年
    公開日: 2005/12/08
    会議録・要旨集 フリー
    目的 洗濯時の温度が汚れの除去性にどのように影響するかについて明らかにするため,20℃から 60℃にわたって、洗浄時間,洗剤濃度と関連させて調べた.
    方法 60℃まで温度設定の可能な市販の家庭用渦巻式電気洗濯機を使用して,1m四方の綿布14枚,そのうち2枚のそれぞれにJIS標準人工汚染布をモニタとして5枚ずつ縫い付け,負荷量合計1.4kg,浴比1:20,市販の洗剤(漂白剤・蛍光増白剤無配合)と水道水を使用し濃度3段階(容器に表示してある使用量の目安の濃度,その1/2,0),温度20℃,40℃,60℃,時間10分,20分,30分,の条件で洗浄実験を行なった.洗浄効率は,洗浄前後の汚染布の表面反射率からK/Sを求めて算出した.
    結果 洗浄時間が短い場合(10分)および洗剤濃度が低い場合、実験した温度範囲内では洗濯温度の増加にともない洗浄効率が増加し,正の温度依存性を確認することができた.したがって高温(60℃)洗濯は時間の短縮と洗剤使用量の削減につながるということができる.しかし60℃にしても洗剤使用量を容器表示目安量の1/2にまで低減できるほどではない.なおこれらの傾向は,非イオン界面活性剤を主成分とする液体洗剤,陰イオン界面活性剤を主成分とする粉末洗剤のいずれにおいても見い出された.
  • 石川 祐輔, 大矢 勝
    セッションID: 2Aa-2
    発行日: 2005年
    公開日: 2005/12/08
    会議録・要旨集 フリー
    【目的】 洗浄に関する固体粒子汚れの定量的研究では、汚れを分散させた汚染浴に布を浸漬させることにより汚れを一定量、均一に付着させた汚染布を作製し、表面反射率から洗浄性を評価するのが一般的である。しかし付着量をコントロールするのが困難であるという問題点がある。これに対して画像処理を用いる洗浄性評価では、不均一性を考慮した汚れの定量が可能である。そこで汚れの分散液を一定量マイクロピペットでスポット状に付着させた汚染布を作製し、画像処理システムによる定量の可能性を探った。
    【方法】 水中に分散させた酸化鉄粒子の分散液を、綿布の中央にスポット状に付着させた汚染布を作製した。この汚染布の洗浄前後の状態について、画像処理システムによる定量を行った。画像処理システムは撮影装置とアプリケーションから構成されるが、アプリケーションでは重回帰分析から求めた重回帰式を用いて試料画像の1ピクセル単位のRGB値をXYZ値へと変換する。求めたXYZ値からK/S値を求め、全ピクセルについて合計したシグマK/Sの汚染布と白布の差し引きから汚れ量としてシグマK/S(s-o)の算出を行う。
    【結果】 洗浄前の状態として酸化鉄粒子を付着させた汚染布の定量を行った結果、付着量と画像処理から算出した汚れ量について良好な相関性が得られた。洗浄後の状態として、適度な洗浄性の差が表れるよう設定した洗浄条件で洗浄を行った。洗浄後についての定量結果では、フェナントロリン吸光光度法から求めた汚れ量と画像処理から求めた汚れ量は高い相関性が確認された。洗浄前後の状態の汚染布について酸化鉄粒子の定量が可能であったことから、画像処理システムでの洗浄性評価を行えることが確認された。
  • 大矢 勝, 石川 祐輔, 中村 真理
    セッションID: 2Aa-3
    発行日: 2005年
    公開日: 2005/12/08
    会議録・要旨集 フリー
    【目的】 油脂、脂肪酸、セッケン、金属セッケンが共存する水中からのセッケン(金属セッケンを含む)の分析はグリセリドおよび脂肪酸との分離が必要であるため行われた事例は少ないが、オランダでの界面活性剤のリスク評価に関する研究(1995年)では、ガスクロマトグラフィーによる分析を目的として、試料水を凍結乾燥した後に石油エーテル可溶分を除去した試料のGC分析を試みている。そこで本研究ではこれらの凍結乾燥、油性成分除去過程について、より詳細に検討することとした。【方法】 脂肪酸およびその塩類の混合試料についてGC分析を行う。検出器は水素炎イオン化検出器(FID)を装備したGCを用いた。カラムは、炭素鎖長C18の不飽和度による分離が可能であり脂肪酸の分析に適したG-column G-300(化学物質評価研究機構製)を用いた。炭素鎖長の異なる脂肪酸、脂肪酸塩を混合した試料を用い、脂肪酸塩以外の有機物質を除去するために石油エーテルによる洗浄を行った。そしてGCによる定量結果から、脂肪酸塩の回収率および脂肪酸の除去率を検討した。【結果】 凍結乾燥後の試料と石油エーテルをよく混合した後、固体状の脂肪酸ナトリウムをろ過する操作においてGCによる分析結果からろ紙上に脂肪酸が残留すること、ろ紙上の脂肪酸塩を塩酸/メタノール溶媒で脂肪酸に変化させる操作で溶媒への溶解などについて注意が必要であることが確認された。また種々の条件について検討、改良を繰り返した結果、本研究の操作により水中の脂肪酸塩のみについてGC分析が可能であることが示された。
  • 千葉 瑞栄, 柳田 典子, 宮前 喜隆, 松永 聡, 濱 逸夫
    セッションID: 2Aa-4
    発行日: 2005年
    公開日: 2005/12/08
    会議録・要旨集 フリー
     家庭で発生する食品汚れの実態と酵素による洗浄 ○千葉 瑞栄、柳田 典子、宮前 喜隆、松永 聡、濱 逸夫    ライオン(株)【目的】 これまで著者らは人体由来の皮脂汚れによる不具合に着目し、その抑制方法について検討を行ってきた。1) 一方、家庭で発生する汚れの種類とその頻度の調査結果では、皮脂由来の汚れに次ぎ食品由来の汚れの頻度が高く、除去し難い汚れとして認識されている。そこで特に食品由来汚れの発生頻度の高い、12歳未満の未就学児童を有する家庭を中心に衣料に残る汚れの実態を調査し、その効率的な除去方法について検討する。【方法】 _丸1_各家庭から回収した衣料に残存するデンプン汚れの調査 _丸2_デンプン分解酵素(アミラーゼ)の種々の食品汚れに対する洗浄効果、及び他の酵素との組み合わせ効果【結果】 大半の食品汚れが炭水化物を含むことに着目し、家庭から回収した衣料に残存するデンプンをヨウ素_-_デンプン反応で検出した。その結果、洗濯後も除去しきれない「しみ」の部分だけでなく、表面上は汚れが除去されている部分からもデンプン汚れが検出された。このような汚れが残存することで衣類へのにおい残りや再汚染などの不具合が懸念される。食品汚れの除去手段としてデンプン分解酵素(アミラーゼ)に着目し、その効果を確認した。その結果、デンプンを含む種々の食品由来の汚れ除去に高い洗浄効果が得られた。食品汚れはタンパク質・脂質・炭水化物を含む複合汚れであることから、各基質に対応した酵素を組み合わせた洗浄効果を確認した。その結果、酵素を単独で使用するよりも組み合わせることでさらに高い洗浄効果が得られ、汚れの性質に合わせた酵素を使用することの有用性を確認した。文献1)神藤、甲ら;日本家政学会第55回大会 研究発表要旨集、p174(2003)      家庭洗濯における皮脂洗浄に関する研究 第2報_-_リパーゼによる洗浄効果_-_                         第3報_-_漂白剤による洗浄効果_-_
  • 安部 京子
    セッションID: 2Aa-5
    発行日: 2005年
    公開日: 2005/12/08
    会議録・要旨集 フリー
    O安部 京子、社領 正樹、トム・B・ニールセン、坂口 博脩 ノボザイムズジャパン(株)(背景) アミラーゼは、食品に多く含まれる澱粉を分解する酵素であり、洗剤に配合することにより、食べこぼし汚れなどの除去に有効である。欧米では以前よりアミラーゼを配合する洗剤が普及しているが、日本市場ではアミラーゼの普及率はまだ低い。その理由として、低温または常温での洗濯条件下において従来品のアミラーゼの効果が十分に発揮されていないという点が指摘されていた。この点を改良し、低温領域で洗浄効果の高い新規アミラーゼを開発した。 (方法、結果)、日本の洗濯条件のもとで、従来のアミラーゼと新規に開発したアミラーゼを配合した洗剤による洗浄力の比較を、でんぷんを含む食品汚れを塗布した汚染布や市販人工汚染布を用いて行った。その結果、新規アミラーゼは、従来のものと比較して非常に優れた洗浄力を示した。これらの結果から、新規アミラーゼは低温または常温で洗濯を行う地域においてその有用性が高いと期待される。また衣料用洗剤のみならず、自動食器洗い機用洗剤などへの応用も今後期待される。
  • 柚本 玲, 今井 綾乃, 田中 辰明
    セッションID: 2Aa-6
    発行日: 2005年
    公開日: 2005/12/08
    会議録・要旨集 フリー
    目的本研究では衣類のカビ汚染を防ぐために市販防虫防カビ剤の代替品として天然植物精油を使用することを目指した。精油は天然由来で生分解性が高いこと、市販されており入手しやすいなど居住者にとって利点が多い。そこで、気体状態でカビを発育阻止する市販の天然植物精油を選出し、効果の持続性、必要量、揮発成分の発育に対する影響を検討することを目的とした。
    方法衣類のシミから分離したCladosporium cladosporioidesAspergillus nigerを供試菌としてpotato dextrose 寒天培地に植菌し、ペトリ皿(φ90 mm)内に0.1 mlの精油を含ませた滅菌ろ紙を培地に触れないように設置した。25℃で7日培養後に集落が目視確認できなければ”効果あり”とし、効果持続日数、必要量、精油揮発成分と発育阻止効果との関係を分析した。
    結果精油の揮発成分に室内空気汚染源となる物質は含まれていないことを確認した。両真菌に効果のあった精油は8種、C. cladosporioidesのみでは3種、A. nigerのみでは2種であった。両真菌を30日以上発育阻止した精油は7種、C. cladosporioides のみでは3種であった。そのうち、本実験の最少量である6μlで30日発育阻止した精油は、両真菌に対してLEMONGRASS、THYME、C. cladosporioidesに対してはROSEWOOD、A. nigerに対してはCINNAMON leafであった。発育阻止持続日数の短いつまり発育阻止効果の弱い精油の揮発成分放散量の方が効果の強い成分よりも多い傾向にあったことから、放散量が発育阻止効果に与える影響は小さいことを確認した。
  • -The Journal of Design and Manufactures"にみる織物の色彩デザイン-
    野澤 久美子, 伊藤 紀之
    セッションID: 1Ba-1
    発行日: 2005年
    公開日: 2005/12/08
    会議録・要旨集 フリー
    【目的】英国の織物産業についてのデザインの観点からの研究はほとんどがウィリアム・モリス以降のものである。一般的に近代デザイン史の始まりは、1851年のロンドン万国博覧会後、モリスやジョン・ラスキンらによるアーツ・アンド・クラフツ運動とされる。しかし、英国ではロンドン万博以前にも、1837年にスクール・オブ・デザインの開校、1849年に”The Journal of Design and Manufactures”の発行など、ヘンリー・コールを中心としたデザイン改革の動きがみられる。そこで本研究では、近代デザイン史のめばえを1851年のロンドン万国博覧会以前とする仮説のもとデザインにおける近代化について解明していく。特に本報ではテキスタイルにおける色彩デザインについて述べる。【方法】資料”The Journal of Design and Manufactures”(1849年3月_から_52年2月,Chapman&Hall社)を中心に文献調査を行う。【結果】テキスタイルの色彩デザインに関して”The Journal of Design and Manufactures”では、実際に当時流通していた織物の紹介を通して、主にプリント布の配色について述べられていた。そこにはゲーテの色彩論の影響が色濃くみられ、補色、対比、調和といったキーワードがしばしば使われた。プリント布のデザインは地色と文様の色の組み合わせや配分をよく配慮し効果的なカバーリング(表面全体の色付け)を目指すべきであるとし、配色が悪い製品には批判をしている。業者は天然染料の組み合わせを駆使して新しい色を作り出すことに尽力し、プリントと染色、または綿および綿の交織、毛など複数の技法や材料でも共用できるより合理的な染料の開発も行われていた。これは大量生産を見据えてのことと推察する。一方、教育現場ではスクール・オブ・デザインにおいてデザインにおける色彩の専門教育が行われていた。
  • 小見山 二郎, 宮崎 由伊, 中野 麻子
    セッションID: 1Ba-2
    発行日: 2005年
    公開日: 2005/12/08
    会議録・要旨集 フリー
    1. 今日の日本では若者を中心に、何割という人がジーンズをはいている。その意味をジーンズのもつ記号とそれらの日本社会との関係に基づいて考察する。この際、1.ジーンズの労働着から日常着への歴史と記号性 2.消費構造の変化とどう関係するか 3.年齢、性別、階層等による着用形態、を考察の手がかりとした。2. 1.ジーンズの歴史を知り、衣服文化史の中での位置を確認するため、数冊の書物を参照した。 2.銀座、新宿他5ヶ所で約4000人の着用の状態を観察し、分類した。 3.2によりジーンズの多様性と記号、年齢と目的による着用の仕方、他の衣類との組み合わせによる表現を考察した。3. 1.ジーンズの記号性を用いて分類整理した。 2.ジーンズの流行を近年の衣服に対する消費形態の変化と関係づけた。 3.ジーンズにおいて画一化と組み合わせによる個性化が進んでいることを認め、この理由を自然への回帰、自由、活動性、伝統、アメリカのソフトパワーと関係づけた。
  • -20代_から_70代を中心として-
    増田 智恵, 村上 かおり, 平林 由果, 永野 光朗
    セッションID: 1Ba-3
    発行日: 2005年
    公開日: 2005/12/08
    会議録・要旨集 フリー
    【目的】これまで女子大生を対象に,3次元ファッション・ファクトリ・ブティックシステムを構想し,消費者と販売間のコミュニケ_-_ションを支援する研究を行ってきた.本報では,学生を除いた成人女子の婦人服購入について,まずデザインイメ_-_ジとして捉えられている“イメ_-_ジ用語”の認識度を捉え,デザイン選択支援のための感性イメ_-_ジのキ_-_ワ_-_ド抽出を試みた.
    【研究方法】1.イメ_-_ジ用語の抽出:2001年_から_2004年発刊のファッション雑誌約100冊から服のイメ_-_ジを表わす約1000用語を抽出,予備調査により136語にまとめた.2.イメ_-_ジ用語の分類:20代_から_70代の成人女子(九州,四国,近畿,東海,関東,東北の24都道府県在住)455名に,136用語を記したカ_-_ドを5_から_15のグル_-_プに分類,意味不明等の用語はその他として別にまとめさせた.3.分析方法:同一グル_-_プ用語を「1」,その他の用語の関係を「0」として136×136の行列を作成し,被験者単位に作成した行列を455名分合算して類似度行列を作成し,Ward法によるクラスタ分析を行った.
    【結果・考察】1.136用語の詳細なグル_-_プとして,_丸1_レディ・ドレッシー系,_丸2_フェミニン・ゴージャス系,_丸3_大人系,_丸4_シャ_-_プ系,_丸5_モダン系,_丸6_トラッド系,_丸7_エスニック系,_丸8_カジュアル系,_丸9_レトロ系,_丸10_エレガント系,_丸11_シック系の11クラスタが抽出された.2.各クラスタの特徴をまとめると_丸1__から__丸3_は女性的,_丸4__から__丸5_はメンズライクを含む個性的,_丸6__から__丸8_は着心地の良いカジュアル的,_丸9__から__丸11_はオ_-_ソドックスで正統派的などのイメ_-_ジのデザインを示す用語となり,さらに大きくは普段非着用服のイメ_-_ジのAグル_-_プ:_丸1__から__丸5_と,普段着用服のイメ_-_ジのBグル_-_プ:_丸6__から__丸11_にまとまることがわかった.
    本研究の一部には,平成15,16年度の栢森財団の助成を受けた.
  • 可部野 和子, 河内 久美子, 粟津原 理恵
    セッションID: 1Ba-4
    発行日: 2005年
    公開日: 2005/12/08
    会議録・要旨集 フリー
    【目的】短期大学の社会的使命のひとつに,地域との連携および交流があげられる.本学の生活文化学科の中には、衣・食・住の関連分野を設置しており,これらの社会的活動が相互の活性化に繋がることと考える.そこで,本学がある金沢にも数多くの地場産業があり,その中でも,様々なものに利用されている「金箔」に着目した.本学短期大学生が「金箔」をどのように捕らえているか,また,「金箔」と地場産業,生活文化との関連に気付くことができるかなどを調査し追求する.【方法】被験者は、本学短大生19歳_から_20歳とした.実験条件は,2人一組とし,何もアドバイスを行わないグループとこちらからアドバイスを与えながら進めていくグループに分けた.第一段階,第二段階,第三段階,まとめとそれぞれに1週間ずつ与えて,行動表,行動内容を記入し提出させた.【結果】何もアドバイスを行わないグループにおいては,条件を提示しなければインターネットからの情報のみで進めてしまい,実際に目で見て,手で触れることのできる地場の産業でさえ画面上でしか学ばない危険性がある.ここには,IT化が進んだ豊かさが裏面に出た結果となった. また,近年,小・中・高の「総合的な学習の時間」においてもこの地場産業に関連した学習が見受けられる.そのため,「総合的な学習の時間」を学んできた生徒が入学してくる今後,地域と密着した家政系短期大学としての授業形態を提案したい.
  • 渡邊 敬子, 岡村 政明, 大村 知子, 矢井田 修
    セッションID: 1Ba-5
    発行日: 2005年
    公開日: 2005/12/08
    会議録・要旨集 フリー
    目的 高齢者が既製衣料の着脱の困難さに不満を感じていることが報告されている。この問題を解決するために、高齢女性の上衣の着脱動作を観察し、ジャケットの構造の違いによる所要時間の差などを比較し、検討した。方法 被験者:愛知県一宮市在住の健康な高齢女性36名である。年齢は62_から_88歳(平均年齢78歳)。実験衣:ジャケットAはノーカラーで二枚袖の一重仕立てとした。ジャケットBはAの背中に2箇所のプリーツ(合計12cm)を入れたもの、ジャケットCはAの身頃の袖下に三角マチを入れたような構造のもとした。それぞれ4サイズを製作し、袖丈については被験者に合わせて都度調節した。実験方法:ジャケットの着脱の様子を8台のビデオカメラで撮影し、着衣の動作のパターンや動作の所要時間を算出するとともに、三次元動作分析システムIMpro_-_3Dで動作の解析を行った。着脱のしやすさについて、聞き取り調査を行った。                   結果 ジャケットAよりCのほうが“2番目の腕を通す時間”が短かった。Aのようなジャケットでは腕を通すときに脇の上部で引っかかる人の割合が多く、Cは少量ではあるが袖下にマチがあるため腕を通しやすいと考えられた。また、ジャケットAよりBのほうが“2番目の腕を通すための準備時間”が短いことがわかった。被験者の中には、ジャケットの構造による所要時間の差が見られない例がある一方、ジャケットAでは袖ぐりに手が届かず2番目の袖を通し始めるまでに時間がかかっているが、Bでは背中にあるプリーツが開くことで手が通しやすくなっている例が観察された。
  • 布施谷 節子, 大村 知子, 松本 智絵美
    セッションID: 1Ba-6
    発行日: 2005年
    公開日: 2005/12/08
    会議録・要旨集 フリー
    〈目的〉本研究の目的は,動作による浴衣の着崩れを数量的にとらえ,これをもとに,着崩れの予防,または対処法を考えること,更に着付けの工夫と浴衣の構造改善へと結び付けようとするものである。〈資料・方法〉被験者は女子大生5名で,着用実験に用いた浴衣は,各人の身体寸法に合わせて自ら製作したものである。実験方法は,浴衣の前後面に14箇所の反射マーカーを取り付けた。前面の上半身の基準は頚窩点,下半身は足の指先点,後面は踵点とした。デジタルビデオカメラ2台を用いて,2台のカメラの同機をとり,6種類の連続動作を順に行い,動作前後で10秒以上立位正常姿勢を撮影した。各動作間では着崩れを直さないこととした。解析方法は,三次元解析ソフトKpro-3Dソフトを用い、動作前後の正常姿勢の中からスタート時のXYZ座標値を取り出し,EXCELに取り込んで解析した。〈結果〉(1)衿元の着崩れの要因は,後衿が首にかぶさってくることによるものと考えられた。(2)おはしょりの位置のずれの要因は,座ることによる背面の伸展と,前面の収縮が腰ひもを介して,引き出されたり,引き上げられたりすることによると考えられた。(3)裾の着崩れは下半身の動作により,上前・下前の巻き重ねがゆるむことによると考えられた。(4)一つの動作での着崩れは,一方向への回廻であったり,上下移動であるが,次の動作により,このひずみは修正されると共に,次の動作特性により新たな変動が生じ,この繰り返しによって,総合的な着崩れ状態に至るものと考えられた。
  • 山本 高美, 土井 美鈴, 藤代 一成, 坂元 章
    セッションID: 1Ba-7
    発行日: 2005年
    公開日: 2005/12/08
    会議録・要旨集 フリー
    目的 アパレル業界のIT化により,大学における被服構成学教育では,アパレルCAD(以下CADと略称)を操作できる人材の育成が必要となっている.そこで本研究では,CAD教育ためのe-ラーニングシステムを開発することを目的とする.本システムは,パターンナー向けの感性教育・作図教育を中心に,CAD教育の内容を網羅する.さらに,ユーザ評価により,本システムの妥当性・有効性を検証する.方法 CADのソフトウェアは,東レACS株式会社のCREACOMPO Version1.9を使用して開発した.本システムの特長は次の3点である.(1)e_-_ラーニングカリキュラムは,パターンメーキング,グレーディング,マーキング等,CAD教育の内容を網羅する.さらに,参照できるテキスト・サブテキスト,多くの履修者に対応できるレベル別プログラムをもつ.(2)パターンナーとしての感性を養うために,立体裁断の解説ビデオを中心としてパターンの作製方法を,人体の体型と動作の観点から学ぶことができる.(3)開発したブラウス・パンツの自動作図機能を用いて,ステップモード機能により平面作図の方法を学習できる.その他,協調学習機能,学習モードの選択,ヘルプ,等,e_-_ラーニングとしての機能を有する.結果 本システムのパターンメーキング解説部分を,大学の学部2年生の授業で使用し,ユーザ評価を行った.多くの資料を見ながら各自の進度で使用できることから,学生の興味関心の高さがうかがえた.また学生のアンケートからは,「分かりやすい」という多くの評価も得られ,本システムの有効性は高いと判断できる.
  • 熊谷 伸子
    セッションID: 1Ya-1
    発行日: 2005年
    公開日: 2005/12/08
    会議録・要旨集 フリー
    【目的】高級ブランドの路面店への出店ラッシュがあり、ラグジュアリーブランドがここまで普及し、もう充満感があるはずであるのに未だにその勢いが衰えてはいない。本研究ではこうしたラグジュアリーブランドに関して、David A. Akakerの言うブランド・ポジショニング概念に基づいて女子学生の認識にアプローチすることを目的としている。<BR>【方法】女子学生422名を対象に質問紙による集合調査法でアンケート調査を実施した。ラグジュアリー6ブランドに対する評価に関する6項目および購買意識1項目に対し、6段階の選択肢で回答を求め、6点から1点までの評価得点を割り当てた。解析には主成分分析を用い、因子軸の回転にはバリマックス法を適用した。さらに主成分得点を用いて、前述のブランドに対する購買欲求との関連を検討した。<BR>【結果・考察】ラグジュアリーブランドに対する評価について主成分分析を用いて解析した結果、シンボルカルネス、セレブリティ、クオリティという3主成分が累積寄与率84.8%で抽出された。さらに、この3主成分と購買欲求の強弱の関係から6ブランドの認識レベルを検討した。その結果、購買欲求が強い人達においては、シンボルカルネスとセレブリティという側面からラグジュアリーブランドを捉えると3つのグループに分かれて各ブランドが明確なポジショニング特性を有することが認められた。第1は、セレブリティ、シンボルカルネス共に高いシャネル、ルイ・ヴィトン、エルメス。第2は、シンボルカルネスが高く、セレブリティが低いグッチ、クリスチャンディオール。第3は、シンボルカルネス、セレブリティ共に低い、プラダである。一方、購買欲求が弱い人達においては、これらのブランドはそれらと大幅に異なるポジショニングとなることが見出された。<BR>
  • 辻 幸恵
    セッションID: 1Ya-2
    発行日: 2005年
    公開日: 2005/12/08
    会議録・要旨集 フリー
    目的:目的は中古品を受け入れる条件を世代ごとに明確にすることである。世代によって中古品に期待することも、好悪の度合いも異なると考えたからである。方法:調査地域は兵庫県、大阪府、京都府とした。データは女子大学生204人、母親191人、祖母166人から5段階評価法により得た回答である。主因子法による因子分析を用いた。結果:中古品という商品を受け入れる要因として女子大学生に関しては「価格の安さ」「日常的」「格好良さ」、母親世代は「価格の安さ」「憧れ」「自慢」、祖母世代は「価格の安さ」「気楽」「代用品」という因子が見出された。考察:中古品に対しての受け入れ条件としては価格の安さは全世代ともに共通であった。しかし、女子大学生の世代は中古品に格好良さを見出しており、これが彼女たちの古着ブームにつながると考えられる。母親世代の憧れや自慢という因子は、ブランドそのもののイメージが強く影響していると考えられる。祖母世代の気楽という因子は最初から汚れているのだからという気持ちの表れと考えられる。また、プレミア性が高いほど、中古品で代用して、新品は押入れに置いておきたいという気持ちもこの世代の特徴であると考える。
  • 佐々木 由美子, 伊藤 紀之
    セッションID: 1Ya-3
    発行日: 2005年
    公開日: 2005/12/08
    会議録・要旨集 フリー
    〈目的〉人は自分の外見から多くの情報を発するが、その意味するものはその人が属する国や地域、また経済的、教育的レベルによって身につけた価値観に影響される。特に被服や化粧、頭髪、装身具など、人工的に装飾できる部分については、それぞれの文化により捉え方に違いが生じる。また、同じ国や地域であっても、時代とともにその外見が表わす意味が変化することもある。ある時代の流行等、最初は奇抜・場違い等と評価されたものがいつか世間に容認され、やがて一般化する場合などだ。そのような事象のひとつとして、Tシャツに注目した。諸説はあるが、もとは男性の下着だったというTシャツも、現在の日本で男女を問わず広く着用されている。その現状を調べることを目的とした。〈方法〉千葉県の女子短期大学生と母親に対しアンケート調査を行い、世代による違いを比較した。調査時期は2005年1月。質問内容は、着用頻度、所持数、着用目的(場面)、場面ごとの着用に対する考え方、Tシャツから連想する事等の10項目。〈結果〉着用目的(複数回答)を比較すると、「部屋着として」は両世代ともほぼ8割の着用が見られた。最も差が見られたのは「パジャマとして」で若い世代では7割余、母親世代では5割余であった。また、着用場面についての問いに対しては、冠婚葬祭等は両世代ともふさわしくないと考えているが、ビジネスウエアとしての考え方には差がでた。「かまわない」との回答が、男性の着用(通勤時にジャケットの中に着る)に対してはどちらも3割ほどだが、女性の同条件では若い世代がやはり3割程度なのに対し母親世代では7割の賛同が得られた。
  • 三木 幹子, 小林 茂雄
    セッションID: 1Ya-4
    発行日: 2005年
    公開日: 2005/12/08
    会議録・要旨集 フリー
    <目的>若い女性が洋服を購入する際に、服のデザインやサイズ、ブランド名、価格、等の条件によって購買意欲や購買行動が左右されると考えられる。本研究では、女子大生が日常よく着用する洋服のアイテムについて、服のデザインのみを情報として提供したときと、その他の情報(ブランド名・価格)を提供したときで、彼女たちの商品に対する購買意欲がどのように変化するのかを比較し、考察を行った。<方法>まず、洋服の購買を決定する際に関係すると思われる25の意識項目について、5段階で回答してもらった。次にシャツ、Tシャツ、スカート、ジーンズの4つの基本服アイテムについて、定番のデザインと流行のデザインの服画像を各4種類ずつ選定し、11の形容語対について5段階で官能評価を行った。また、各画像にブランド名と価格の2つの条件を設定し、それらを画像に記載した試料についても同様に評価を行った。<結果>因子分析を行った結果、洋服購買意識については、「ファッションへのこだわり」「着こなしの計画性」「他人からの影響の受けやすさ」「着心地と新製品志向」「同一アイテムへの執着」の5因子が抽出された。服アイテム画像の評価については、「嗜好と購買意欲」に関する因子がかなり強く表れた。全体的にジーンズへの購買意欲が高く、スカートへの購買意欲は低かった。有名ブランド品であっても価格が許容範囲を超えると購買意欲は低下し、適正価格と判断すると購買意欲は上昇した。逆に基本アイテムの場合、量産型ブランドでも低価格であれば購買意欲は高くなる傾向が見られた。女子大生は、デザイン、ブランド、価格とのバランスを考慮して購入していることがわかった。
  • 北島 美和子, 董 瀾, 小林 茂雄
    セッションID: 1Ya-5
    発行日: 2005年
    公開日: 2005/12/08
    会議録・要旨集 フリー
    目的衣服の着用の仕方には、その時代、その社会、その国にあって妥当と考えられる基準、すなわち着装規範がある。ただし、その規範は普遍のものではなく、文化や時代により変容しており、また年齢によっても異なると推察される。本研究では、日本(首都圏)と中国(上海・蘇州)において、女子大学生を対象に着装規範意識について比較検討した。
    方法日本では2004年6月、中国では2004年9月にアンケート調査を実施し、有効回答数は日本77、中国90である。調査内容は1)着装規範に対する態度(33質問項目、非常に重要_から_まったく重要でないの6段階尺度)、2)着装に対する主観的規範(質問項目・尺度は1)と同じ)であり、中国では中国語に翻訳した質問紙を用いた。なお、着装規範に対する態度とは、「あなたにとって、次のようなことをどれくらい重要だと思いますか」の質問に対する評定で、規範に対する回答者自身の考えである。着装に対する主観的規範とは、「一般に世間の人々は、次のようなことをどれくらい重要だと考えていると思いますか」の質問に対する評定で、世間からの期待であり、主観的な社会評価である。
    結果態度(個人評価)と主観的規範(社会評価)の平均評定尺度間でt検定をした結果、日本では26質問項目に、中国では14質問項目に有意差が認められた。態度と主観的評価の差の平均値についてt検定をした結果、日本と中国間に有意差が認められ、日本の女子大学生の方が着装規範について社会評価と個人評価との差が大きいといえる。また、態度および主観的規範の評定に因子分析を適用し、基本的因子の平均因子得点について日本と中国間でt検定をし、それぞれの特徴を明らかにした。
  • -正倉院文様の場合-
    竹中 裕惠, 諸岡 英雄, 諸岡 晴美
    セッションID: 1Ya-6
    発行日: 2005年
    公開日: 2005/12/08
    会議録・要旨集 フリー
    目的  古代文様の現代衣服への応用に関する基礎的知見を得るために,「シルクロードの終着点」と称され世界の宝庫の一つともいえる正倉院の文化財に記されている文様に着目し,女子大生が正倉院花文,唐草文,花弁文に対して好感がもてるかどうかを調査した.そこから好まれる文様の傾向を探り,その要因を検討した.
    方法 試料には,「後藤四郎編 正倉院の文様」から,花文47種,唐草文16種,花弁文50種を供用試料として用い,女子大生30名に対して,好感度に関する5段階SD法評価と,正倉院文様の構成要素とSD法評価との関連を得るために,文様画像の部分と理由を記入させるアンケート調査を実施した.また,調査によって得た評価理由から,文様形状に関するワードに着目し,市販画像処理ソフト(Adobe Photoshop 5.5)を用いて文様図形の分解を行い,構成要素を調べた.
    結果 調査から,女子大生は,繊細で統一感があり,可愛いイメージの正倉院文様を好み,雑で単調,重たいイメージの文様を好まない傾向にあることがわかった.更に,アンケート調査と文様の基本図形の構造解析から,線幅が細いこと,線対称であること,曲線などが関係することが,好まれる文様の要因として挙げられた.また,文様の基本図形の構造においては,ひとつひとつの構成要素が一定の割合で繰り返しながら集まることで基本図形が構成されていくことが明確にでき,構成要素の数や構成段階が多いこと,構成図形が緻密であることも,好まれる要因であることがわかった.
  • 内藤 章江, 冨田 明美, 福田 康明
    セッションID: 2Ba-1
    発行日: 2005年
    公開日: 2005/12/08
    会議録・要旨集 フリー
    【目的】現在、男性用のカッターシャツのサイズ選択は、頸囲と裄丈寸法で行われている。しかし、これらの寸法で選択されたシャツを着用した場合、頸部の拘束感や不快感を訴える人々が多い。これまで筆者らは、カッターシャツを着用者の頸部形状で選択する必要性を指摘してきた。本研究では、容易な方法で頸部を計測し、着用者の頸部形状を反映した着心地の良いカッターシャツの選択方法を提案することにした。
    【実験及び解析方法】被験者は22_から_24歳の男子大学生23名とし、シェル法、デジカメ計測法、非接触三次元計測法を用いて頸部形状を採取した。頸部体表面は平面展開し、FNPとBNPを結んで形成される直角三角形の傾斜角度により被験者を分類した。さらに、既製カッターシャツカラーの形状及びFNPとBNPの傾斜角を取り入れたカラーを設計し、実験衣を作製した。これらの動作機能性を評価するために、頸部周辺の衣服圧測定及び筋電図を導出するとともに拘束感などの主観評価を行った。
    【結果及び考察】23名の男性被験者をFNPとBNPの傾斜角により分類したところ、大・中・小に3分類された。各グループから代表者を選出し、着用実験を行った結果、既製カッターシャツのカラーパターン形状は、頸部動作時に頸部を圧迫し、動作が困難になる傾向が見られた。一方、FNPとBNPの傾斜角度から導き出したカラーパターンでは、頸部への圧迫は抑制され、動作を妨げないことがわかった。これより、FNPとBNPの傾斜角は頸部形状の特徴をよく反映していることがわかった。従って、着心地の良いカッターシャツを選択するためには、従来の頸囲と裄丈にFNPとBNPの傾斜角を計測項目として追加する必要があると考えられる。
  • 森島 美佳, 荻須 麻希, 宮本 教雄
    セッションID: 2Ba-2
    発行日: 2005年
    公開日: 2005/12/08
    会議録・要旨集 フリー
    本研究では、マスクの性能と装着感との改善策を提案することを長期的な目的とする。市販されているマスクは、実験的には多量の粉塵、花粉、ウィルスを吸着することができる。しかしながら、実際の装着時におけるその効果は明確ではない。その理由として、マスクと顔との隙間から粉塵、花粉、ウィルスを吸い込んでしまうという点が挙げられる。また、本研究の一環として行ったマスクに関するWeb上でのアンケートでは、現在市販されているマスクに対して、70%の回答者が満足しておらず、その理由として、息苦しい(20%)、蒸れる(16%)、サイズ不一致(10%)、フィット感(6%)、ずれ感(6%)等の装着感の悪さが、防護効果に影響を及ぼすことが予測される。本報告では、装着感に関する問題点とその要因を把握するために、市販マスクに対する息苦しさに着目し、市販マスクのデザインの観点から検討していく。実験では、様々なデザインを有する市販マスクを採用し、官能検査と一般性能を計測した。試験試料は、ガーゼマスク、ガーゼ立体型マスク、不織布マスク、不織布立体型マスク、不織布紐マスクの計5種類である。官能検査では、(1)息苦しさとそれに関連すると予測される(2)吸い難さ、(3)吐き難さおよびアンケート結果から抽出した(4)蒸れ感、(5)ずれ感、(6)フィット感、(7)重量感、(8)圧迫感の計8項目について5段階評価で行った。被験者は18_から_20歳の女性20名である。また、一般性能については、通気性計測、厚さ計測、質量計測、形態観測を行った。本発表では、官能検査で得られた息苦しさとそれに関連する装着感およびマスクの一般性能について、そのデザインの観点から報告する。
  • 阿部 加奈
    セッションID: 2Ba-3
    発行日: 2005年
    公開日: 2005/12/08
    会議録・要旨集 フリー
    [目的] 近年、オゾン層の破壊による紫外線の影響が問題となり、衣服は紫外線を有効に遮蔽する身体保護性能の一つとして把握されている。しかし、紫外線が一年で最も強いとされる日本の夏は高温多湿であり、また、最近の疫学調査では幼児期における大量照射、間欠的な大量照射が危険因子と考えられている。よって、本研究では紫外線透過量を軽減し、日本の夏を前提とした子供服を提案するため、いくつかの基礎データを取得した。〈BR〉[方法] 1)繊維の種類・色・カバー率等各布地の特性及び布の重ねによる紫外線A・B各波長の紫外線透過率を分光光度計を用いて測定を行った。2)赤外線照射による、布地の温度変化をサーモグラフィーを用いて実測した。3) 児童型モデルマネキンを製作し、8月から9月の期間中、快晴または晴の4日間を選択し、動作頻度の高い4姿勢の紫外線A及びB波長領域の被爆量を実測した。4) これらの結果を基に、開発型スモック及び、繊維の異なる通常型スモック2種、計3種を製作し、放射、対流を考慮した条件下において、発汗型児童サーマルマネキンを用いて衣服の全熱抵抗の比較を行った。〈BR〉[結果] 全熱抵抗は、負荷無し、放射状況下では通常型(綿)が最も低く、次いで通常型(UV遮蔽繊維)、開発型の順であった。また、対流状況下では、近値であったが、開発型、通常型(綿)、通常型(UV遮蔽繊維)の順であった。よって、運動や走ったりなどの対流の影響を考慮すれば、開発型が優位であると考えられる。〈BR〉
  • -適性なおむつ交換時間間隔について-
    青木 佳絵
    セッションID: 2Ba-4
    発行日: 2005年
    公開日: 2005/12/08
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    【目的】適切なおむつ交換時間間隔を提案することを目的として、市販パッドを排尿後6時間着用した際の細菌増殖と、おむつ内臭気の経時変化測定を行った。〈BR〉【方法】使用パッドは抗菌・消臭加工タイプ2種と非抗菌・消臭加工タイプ2種の計4種である。被験者は女子学生1名で2回ないし3回の繰り返し実験を行った。〈BR〉パッド表面における細菌観察・・・パッド表面に予め縫い付けておいた試験片を排尿後から1時間ごとに取り出し、シェークフラスコ法によって菌数の推定を行った。〈BR〉おむつ内臭気の経時変化測定・・・におい識別装置により排尿後のおむつ内臭気を1時間ごとに測定した。臭気の採取はパッド内にシリコンチューブを挿入し、吸引した臭気を直接におい識別装置と繋げて分析した。比較対象として尿そのものの実測も行った。〈BR〉【結果】パッド表面における細菌観察・・・4種すべての試料において排尿後から徐々に菌数の増加が見られたが、特に6時間後に急激な増加が観察された。〈BR〉おむつ内臭気の経時変化測定・・・おむつ内臭気は経時的に臭気強度が変動し排尿4時間後にピークを示した。消臭加工されている試料は尿と同等程度の臭気強度を示した一方で、非抗菌・消臭加工の試料は尿よりも強い臭気強度を示し、加工の効果が示唆された。また、おむつ内臭気と尿臭気では質的に異なる結果となった。これらの結果をもとに、適切なおむつ交換時間間隔は最大でも4時間であるとの結論を得た。
  • - ナプキン内微気候を中心として -
    佐藤 真理子, 小島 みさお, 坂本 紀子, 田村 照子
    セッションID: 2Ba-5
    発行日: 2005年
    公開日: 2005/12/08
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    【目的】月経が女性の生活に及ぼす影響は大きく,生理期間を快適に過ごせるか否かは生活の質をも左右する重要な要素である.本研究では,女性の生理時におけるQOL向上を目的とし,生理用ナプキン装着による不快感の実態調査及びナプキン内微気候の測定を行った.
    【方法】生理用ナプキンの実態と意識に関するアンケート調査を女子大学生186名に対して行った.次に,月経周期の一定な20代の女性15名を被験者とし,経血量の多い日(月経開始後1_から_3日目)と少ない日(月経開始後4日目以降),非生理日に,ナプキン着用実験を設定した.ナプキンは表面材の異なる2種(不織布とフィルム)で,同形のものを使用した.被験者の服装は日常着とし,ナプキンを装着した状態で衣服圧4点(股部,鼠径部内側,恥骨中央,殿部後突点)を測定後,ナプキン内外の温湿度測定(10秒毎)及び感覚値の申告(10分毎)を開始した.60分間の椅座位安静後,3分間軽い運動を行わせ,再び椅座位安静とし120分で実験を終了した.
    【結果】アンケート調査の結果,生理時の不快感ではムレに関する訴えが最も多かった.着用実験の結果,ナプキン装着時の不快感への寄与は, 安静期,運動期共に湿潤感が大であることが明らかとなった.運動期には,出血感の寄与も示された.不快感とナプキン内外の絶対湿度差とに有意な相関が得られ,ナプキン装着時における不快感低減の方向性が示された.
  • 小野寺 美和, 諸岡 英雄, 諸岡 晴美
    セッションID: 2Ba-6
    発行日: 2005年
    公開日: 2005/12/08
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    目的 指先温度が極端に低下する手袋着用者の場合,市販使い捨てカイロを手袋中に挿入し保温している人がいる.そこで,熱源体を挿入する防寒手袋(以下熱源体挿入型防寒手袋とする)の設計指針を得るための基礎的研究として,熱源体皮膚温度コントロールシステムを用い,熱源体の挿入位置や市販防寒手袋の保温性能などについて,人体着用実験等から検討を行い,熱源体挿入型防寒手袋の設計に関する基礎的知見を得た.方法 恒温恒湿の室内において,低温に設定した恒温水槽を簡易寒冷環境として用いた.熱源体には,皮膚温度コントロールシステムのヒータ熱源体を用い,手掌・手背・手首のいずれかに装着し,ポリ袋で被覆した防寒手袋装着の右手部を,水温15℃に浸漬させ,手部及び人体各部の皮膚温を熱電対型温度測定器で測定した.次に,素材・形態の異なる市販防寒手袋22種類を用いて,人体各部の皮膚温の測定と右手部と指先等の部位についての着用感評価を行った.結果 本実験の範囲内において,指先まであたたまり易い熱源体の挿入位置は手首であった.市販防寒手袋22種の実験では,保温性が優れた素材と劣る素材との違いをみいだし,さらに5指分散型手袋よりもミトン型手袋の方が防寒性能に優れていることを見出した.以上の知見から,熱源体挿入型防寒手袋の設計指針として30℃から35℃に設定した熱源体を手首に装着させた羊毛素材のミトン型手袋が望ましいことを得た.
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