本研究では,海洋深層水を複合利用した海洋温度差発電(OTEC)システムを対象に,国内の地域の自然・社会条件を考慮したライフサイクルCO2(LCCO2)削減コストを地域別に評価している。考慮した地域条件は,海洋気候,気候,地域の規模,使用電力,立地である。LCCO2削減コストは860 ~323,000[円/t-CO2]の幅を持ち,地域によって大きく異なる。LCCO2削減コストが30,000[円/t-CO2]以下になる地域は,沖縄県の中規模以上の離島,沖縄本島,九州の大規模離島,四国の大規模離島の一部であり,これらの地域でのOTEC導入が有望である。これらの地域のLCCO2削減コストが小さい理由は,第一に,低緯度であり発電量が大きいためである。第二に,低緯度または地域の規模が大きく,多くの冷熱需要を確保することが可能となり,複合利用の効果が大きいためである。
詳細化学反応機構を考慮可能な乱流燃焼モデルであるFlamelet/Progress-Variable approach(FPV)とFlamelet-Generated Manifolds method(FGM)の特徴を把握することを目的に,対向流拡散火炎を対象とした燃焼シミュレーションを実施した。FPVの数値解は測定値を再現し,詳細化学反応機構の数値解とほぼほぼ完全に一致した。一方,FGMの数値解は測定結果と比較して燃料過濃領域においてCOのモル分率を過大に,CO2のモル分率を過小に評価し,詳細化学反応機構の数値解と差異を生じた。これは,FGMのflamelet tableが燃焼反応の十分に進行した状態では化学平衡に近い状態を示し,CO2の解離を過大に評価するためである。