Twitterにおける多くのユーザ推薦システムは予測精度を重視し,ユーザのプロファイルに基づいて推薦を行う.しかしながら,このような推薦は,ユーザ自身の興味関心の範囲内から推薦される.そのため,新しい発見や驚きをもたらすようなツイートに触れることは難しく,ユーザに高い満足度を与えることができない.この問題を解決するために,本研究では,ユーザが持つ興味の意外性と有用性を考慮して,セレンディピティなユーザを推薦する手法を提案する.既存手法との比較を行うことで,推薦システムの有効性を評価した.その結果,提案手法は既存手法と比較して,多くの有用性のあるユーザを推薦できることと,一部の実験参加者により多くのセレンディピティなユーザを推薦できることにおいて優位であることが示された.
本稿は,日本文化資料と関係の深い国際的な情報技術標準について,現状と課題を検討するものである.文化資料に関わる国際技術標準には様々なものがあるが,幅広い分野に対応できるものには多くの人々が関わり得る一方で,文化資料に特化されればされるほど,専門性が高まり関係者も限定的になっていく.そのような状況において,日本文化資料を扱うための国際的な情報技術標準化に対して日本から関わっていくことについて,文字を記述するUnicode,テキストの構造化を行うTEI Guidelines,Web画像の相互運用に関するIIIFを手がかりとして検討を行っている.
近年SNS上で学術情報に対する言及が多く見られ,注目を集めている.言及を学術情報の評価に用いる動きも存在するが,言及そのものに対する分析は少ない.本研究は,COVID-19という非研究者が言及ユーザとして多く含まれうる論文に対するTwitter上における言及の波及の程度を分析することで,SNS上での非研究者を含んだ学術コミュニケーションの様相を明らかにすることを目的とする.結果,対象文献に対する言及は広範囲に波及していた.要因としては,対象としたトピックの社会的興味の強さが関連している可能性が考えられる.ただ,文献ごとに波及の程度に差があり,どのような文献が広く波及するかについては,一概には判断できない.すなわち,SNS上での言及数を数えたとしても文献の社会的な注目度をそのまま示しているかについては判断がつかず,SNS上での言及数を用いて学術情報の評価を行う行為には注意が必要と言える.
国際教養大学図書館長としての2016年度から2021年度までの活動を振り返る.図書館長としての活動を2016年から2019年度までを前半,2020年及び2021年度までを後半に分け,前半については図書館マネジメントプランの策定とハイブリッド図書館システムの構築を中心に,後半については,新型コロナウイルス感染(Covid-19)が,図書館サービスに与えた影響を中心に述べる.