日本調理科学会大会研究発表要旨集
平成30年度大会(一社)日本調理科学会
選択された号の論文の251件中151~200を表示しています
ポスター発表
  • 鈴野 弘子, 秋山 聡子, 池田 昌代
    セッションID: 2P-15
    発行日: 2018年
    公開日: 2018/08/30
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    【目的】豆腐や豆乳を製造する際に大量に生成されるおからは、食物繊維やたんぱく質を多く含むが、多くは産業廃棄物となっている。また、おからの乾燥微粉末は、保存性が高く加工に利用しやすい。一方、我が国では高齢社会に伴い、低栄養や便秘の症状をもつ高齢者が増加している。そこで本研究では、高齢者向けの高たんぱく、高食物繊維の食品を開発することを目的に、おから粉末を添加したつみれを調製し、その品質の評価を行った。
    【方法】1.試料:イトヨリすり身、おから粉末(キッコーマンソイフーズ) 2.つみれの調製:4倍量の水を加えたおから粉末をすり味に加え、20gの団子状にして、中心温度75℃、1分間のゆで加熱を行った。おから粉末の配合は、すり身に対して5、8、10%とした。3.測定:色彩は分光測色計(コニカミノルタ CM-700d)、テクスチャーはクリープメーター(山電 RE2-33005S)で測定した。また、分析型、嗜好型官能評価を、パネル10名、両極7点尺度の評点法で行った。
    【結果】つみれの色は、おから粉末の添加量が多いほど黄色が強くなった。硬さは、おから粉末を添加するほど有意に低くなった。凝集性は、8%添加が無添加、5%添加に比べて有意に低く、10%添加に比べて有意に高くなった。付着性は、8%添加が無添加、5%添加と比較して有意に高くなった。8%、10%添加は、ユニバーサルデザインフード区分2に該当した。分析型官能評価では、無添加に比べ、8%添加は「色」「べたつき」「残留感」が有意に高く、「かたさ」「弾力」は有意に低かった。嗜好型では、無添加に比べ、8%添加は食感に関する項目の評価が有意に低く、「やや好ましくない」という評価であった。「うまみ」「香り」「総合評価」には有意差はなかった。
  • 村元 美代, 阿部 真弓, 横山 恵, 冨岡 佳奈絵, 鈴木 惇
    セッションID: 2P-16
    発行日: 2018年
    公開日: 2018/08/30
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    【目的】分岐鎖アミノ酸を多く含む乳清を食事から摂取することによりその生理的機能が期待できるよう調理法について検討を行ってきた。たんぱく性食品(赤魚)に乳清を利用すると食感は硬くなるが“うま味”が増すことや,乳清に調製した塩麹(酒精なし)を混合することにより“もろさ”を与えることが明らかとなっている。そこで,市販されている塩麹(酒精なし・あり)においても同様に味や食感の変化が期待できるか実験を行った。
    【方法】乳清は「乳和食」に記載されている方法に従って調製した。塩麹は,市販の酒精なしのもの(㈲高善商店 塩分3%)と酒精入りのもの(マルコメ㈱ 塩分1.3%)の塩分を3%に統一し,乳清と塩麹の割合を1:1の混合液として使用した。冷凍の赤魚は,冷蔵庫内で緩慢解凍後1切れ20gに切りそろえ,混合液に2時間漬込んだ。試料はオーブンで180℃12分の加熱後,食味試験と検鏡試験を行った。検鏡試験は,試料をドライアイスで冷やしたアセトンで急速凍結後にコールド・ミクロトームで厚さ16μmの切片を作成し,PAS染色(糖質の染色)を行った。
    【結果】食味試験では,これまでと同様に“うま味”や“甘味”を感じ,食感では“もろさ”が加わり噛み切りやすくなった。さらに、塩分統一を行ったにもかかわらず,酒精なしの方が塩味を強く感じた。検鏡(PAS染色)では,酒精なしの方が筋組織内部まで麹菌が侵入していた。
  • 相良 剛史, 原田 香, 橋本 多美子
    セッションID: 2P-17
    発行日: 2018年
    公開日: 2018/08/30
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    【目的】レンコンの節部分は可食部よりも多くのポリフェノールを含有し、アンジオテンシンⅠ変換酵素やデンプン分解酵素の阻害活性が高いことから、生活習慣病の予防に有効である可能性が示唆されている。一方で、パウダー等の加工品に関しては、加工特性等の詳細が検討されていない事から、本研究では生のレンコンからパウダーを調整し、その有用性を検討するとともに、市販パウダーとの比較を行い、加工特性を検討する際の基礎データとすることを目的とした。

    【方法】生産者より入手した赤根れんこんを可食部と節に切り分け、それぞれ約5 mm間隔で細断した後に、60℃の熱風乾燥器にて24時間乾燥させた。次いで、高速粉砕機を用いて粉末状に粉砕し、目開き500μmの篩に通して得られたパウダーにつき、常法により一般成分を測定するとともに、それらのオートクレーブ抽出液および冷水抽出液(20 mg/ml)に含まれるポリフェノール量をフォーリン・チオカルト法により測定した。一方、市販されているパウダーについても同様の測定を行った。

    【結果】調製した節レンコンパウダー(JOP)およびレンコンパウダー(EOP)を比較すると、水分(6.10%および5.95%)、タンパク質(5.90%および5.64%)、脂質(0.82%および0.33%)および灰分(4.93%および4.76%)はいずれも節レンコンパウダーの方が高い数値を示し、特に脂質の含有量に大きな差異を生じた。また、市販の節レンコンパウダー(JPP)およびレンコンパウダー(EPP)に関しても同様の傾向がみられた。一方、JOPおよびEOPのオートクレーブ抽出液には没食子酸換算で2.15および0.67 mM、冷水抽出液には0.91および0.32 mMのポリフェノールが含まれていることが明らかとなり、JPPおよびEPPを用いた際に得られた結果とそれぞれほぼ一致した。
  • 阿部 真弓, 冨岡 佳奈絵, 阿部 友衣子, 横山 恵, 鈴木 惇
    セッションID: 2P-18
    発行日: 2018年
    公開日: 2018/08/30
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    【目的】タケノコは、食物繊維が多いのが特徴である。食品成分表によると、タケノコの利用可能炭水化物は、推定値は1.6%であり、タンパク質も含まれる。タケノコの煮汁が白濁するのは、熱湯にとけ出したデンプンが冷却によって沈殿するためである。このことは、利用可能炭水化物は、デンプンであることを示す。本研究では、タケノコにおけるデンプンおよびタンパク質の分布を組織化学的に調べた。
    【方法】材料は、市販のタケノコを用いた。このタケノコを、米ぬかを加えた水で茹で、アク抜きをした。アク抜きしたタケノコの先端、中部、根元および節から試料(大きさ:約1.5㎝)を切りとって、ドライアイス・アセトンで凍結した。試料をコールド・ミクロトームで薄切して、切片(厚さ:14~16μm)を作製した。切片を、過ヨウ素酸・シッフ(PAS)とヘマトキシリン、アクロレイン・シッフ、およびヨウ素で染色した。
    【結果】根元および節では、維管束の周囲にPAS陽性の顆粒が散在した。中部および先端にPAS陽性の顆粒が、無数に存在した。これらの顆粒は、ヨウ素に染まったので、顆粒はデンプンである。アクロレイン・シッフ染色では、すべての部位の維管束および核が濃く染まったが、細胞質の染色は薄かった。このことは、タンパク質は維管束および核に多く、細胞質のタンパク質は少ないことを示す。タケノコのデンプンは、中部と先端に多く存在した。これらの部位の細胞質のタンパク質は少ないので、茹でによるタンパク質の熱凝固によって、デンプンをタンパク質内に留めることはできない。タケノコの煮汁にデンプンがとけ出すのは、デンプンを細胞質内に留める熱凝固したタンパク質が少ないためである。
  • 須谷 和子, 川端 麻優子, 升井 洋至
    セッションID: 2P-19
    発行日: 2018年
    公開日: 2018/08/30
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    【目的】非破壊分析である近赤外分光分析法の真空調理も含めたダイコン煮物への調理予想への適用を検討した。
    【方法】ダイコンは、北海道産(H29年10月購入)および徳島県産(H30年2月購入)を用い、上・中・下部の3部位に分け、標準セルキャップにセットし、生及び加熱調理後の試料について近赤外分光光度計(NIRECO製、NIRS6500)で透過反射スペクトル(800~2500nm)を測定した。また、測色色差計(日本電色工業(株)、ZE-2000)でL値、a値、b*値を測定した。ダイコン煮物の調味液は、試料重量に対して濃口醤油と塩で2.5%塩分濃度、糖分2.5%に調製した。鍋調理ではダイコン重量1.2倍量、真空調理ではダイコン重量0.4倍量にイオン交換水を用いて調製した。鍋調理は、調味液の中に上・中・下部の各3個を鍋に入れ、10分間加熱した。真空調理は、蒸し器で10分間加熱後、調味液を入れた調理袋に入れ1~2日間保存(4℃)した。データ解析は、VISIONソフトウェア(NIRECO社)にて処理した。
    【結果】鍋調理後の北海道産ダイコンの近赤値と色差a*値、徳島県産生ダイコンの近赤値とa*値で高い相関が得られた。ともにセルロース由来の波長が選択されていた。徳島県産ダイコンで真空調理1日保存の近赤値と色差a*値で相関が高かった。北海道産生ダイコン試料でのa*値の検量線を用いて、徳島県産の鍋調理後試料を評価した結果、相関係数(0.78)となった。生ダイコン試料からダイコン煮物の醤油の浸み込み予測が推察された。調味料の浸み込みについて、現在検討中である。
  • 小泉 采音, 速水 彩瑛, 升井 洋至
    セッションID: 2P-20
    発行日: 2018年
    公開日: 2018/08/30
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    【目的】野菜を美味しく健康的に食べるには,栄養素の損失をできる限り抑え,不味成分を取り出すことが重要である。不味成分の中でもシュウ酸はえぐ味として知られ,美味しく食べるために除去することが望ましい。本研究では,調理操作における水溶性シュウ酸量の変化を求めるための基礎資料を得るために,野菜中の水溶性シュウ酸含量をキャピラリー電気泳動法によって測定した。
    【方法】試料にはホウレンソウ(生・茹で・蒸し),シュンギク(生・ゆで・蒸し),タケノコ(生・ゆで・市販水煮),キャベツ(生・ゆで・蒸し),サトイモ(生・市販冷凍)を用いた。分析試料は加熱・調理後,磨砕し水抽出した。ホウレンソウは葉と茎に,タケノコは先端部,中央部,元に分けて分析した。サトイモは表皮に近い部位を薄くそぎ落とし,振とう抽出した。市販冷凍サトイモも同様の操作を実施した。シュウ酸の分析には,キャピラリー電気泳動装置(BECKMAN COULTER PA800)を使用した。電気泳動液は陰イオン分析キット(BECKMAN COULTER)を用い,印加電圧-30kV,キャピラリー管の長さは60.2cm(内径0.075mm),吸光度232nmにて分析した。
    【結果】ホウレンソウのシュウ酸は葉に多く含まれ,茹で調理により半量近くまで減少した。蒸し調理では,若干の減少が認められた。シュンギクにおいても同様であった。タケノコは茹で操作により,シュウ酸含有量は大幅に減少した。タケノコの部位別の分析では,中央部が最も多かった。市販タケノコ水煮では,部位による差は見られなかった。キャベツは,シュウ酸が検出されなかった。サトイモ(生・ゆで)については,現在検討中である。
  • 村田 玖美, 松村 沙耶, 升井 洋至
    セッションID: 2P-21
    発行日: 2018年
    公開日: 2018/08/30
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    【目的】人が食事をするときの重要な因子としては,嗜好性,栄養性などが挙げられる。現在ではさらに健康志向により,各種の生体調節機能が食品に求められている。食後の急激な高血糖を防ぐ機能性因子を食品中から検索し,活用することは糖尿病の予防,そして治療に役立つと考えられる。本研究では,種々の野菜を用いて食後高血糖の上昇を抑制すると考えられている糖質分解酵素阻害物質と調理操作との関連性を明確にする基礎研究として検討した。
    【方法】試料は,ショウガ,ニンニク,ニラ,ハクサイ,タマネギを対象とした。生鮮試料をみじん切り,ミキサー(Panasonic MJ-M32)等による摩砕抽出(蒸留水)を行った。抽出液を凍結乾燥(EYELA FDU-830)したものを抽出凍結試料とし,活性測定まで-80℃で保存した。糖質分解酵素の阻害活性はラット腸管アセトンパウダー(Sigma-Aldrich Japan)より調製した粗酵素液(α-グルコシダーゼ)を用い,スクロースを基質として分解活性の阻害を指標として測定を行った。さらにSephadexG-25(GEヘルスケア・ジャパン株式会社)により分画したものについても阻害活性測定を行った。
    【結果】ニラ,ハクサイ抽出試料において,濃度依存的にラット腸管スクラーゼへの阻害活性がみられた。また,タマネギ抽出試料では阻害活性の傾向がみられた。ショウガ抽出試料はエタノール処理した画分で濃度依存的に阻害活性が見られた。ヒト腸管スクラーゼと相同性が高いとされているラット腸管スクラーゼに対して阻害活性が認められたニラ,ハクサイ,ショウガについては,ヒトの腸管内で作用する可能性が示唆される。SephadexG-25によるカラム分画では食材ごとに挙動の違いが見られ,阻害画分について現在検討中である。また,加熱操作処理による阻害活性についても検討中である。
  • 人参の煮物の場合
    槇原 咲貴, 高木 陽子, 菊﨑 泰枝
    セッションID: 2P-22
    発行日: 2018年
    公開日: 2018/08/30
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    【目的】
    現在わが国では、食品における抗酸化力の統一指標としてORAC法及びSOAC法が提案されており、栄養疫学調査や日常の食事管理への活用が期待されている。本研究では、その有用性を検討するために、にんじんの煮物においてカロテノイド系成分、ポリフェノール系成分の抗酸化力に対する加熱調理の影響を調べる事を目的とした。
    【方法】
    実験1:加熱前の各食材とそれらの食材を用いて20分間調理した料理を凍結乾燥により粉末状にし、脂溶性画分と水溶性画分に分けて抗酸化活性を測定した。抗酸化活性はSOAC法、ORAC法及びDPPHラジカル捕捉活性法を用いて測定し、ポリフェノール含有量はFolin-Ciocalteu法を用いて定量した。各測定により算出した料理の予測値と実測値を比較検討した。
    実験2:実験1と同様の食材を用いて、加熱調理による抗酸化力の経時的変化、更に調味料が抗酸化力に及ぼす影響を検討するため、にんじんの煮物では20分・30分・40分、調味料のみは5分・10分・15分加熱した試料を調製した。抽出方法は実験1と同様とした。測定方法はSOAC法を除く3種の方法を用い、各測定値により算出した料理の予測値と実測値を比較検討した。
    【結果】
    実験1:20分間の加熱では、4種の測定法すべてにおいて予測値と実測値に有意な差は見られなかった。
    実験2:加熱時間が長くなるほど、3種の測定法すべてにおいて抗酸化力が上昇する傾向が見られたが、予測値と実測値に有意差は見られなかった。40分間調理した煮物と調味料のみを15分間加熱した場合は抗酸化力が大きく上昇したが、可食状態とは言えなかった。以上より、にんじんの煮物においては、通常の調理を想定した美味しく食べられる範囲では非加熱時の抗酸化力から加熱調理後の抗酸化力が推測できることがわかった。
  • 渡邊 幾子
    セッションID: 2P-23
    発行日: 2018年
    公開日: 2018/08/30
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    【目的】レンコンは徳島県の特産物であり収穫量も全国上位である。しかし、規格外品や傷つき青果市場へ出荷できないものは廃棄されている。これら未利用資源は環境への配慮から有効活用する取り組みが進められ、手軽に利用でき保存性の高いレンコンパウダーが開発された。本研究では、レンコンおよびレンコンパウダー(以下、パウダーとする)に関するアンケート調査を実施するとともに、パウダーを配合した食品を調製し、その嗜好性について検討した。

    【方法】徳島県在住者を対象として、2017年6月から7月に自記入方式でアンケート調査を実施した。レンコンの特産品としての認知度、パウダーの認知度、イメージや食べてみたい料理などについて調査結果を集計、分析をした。徳島県鳴門市産のパウダーを配合した蒸しパン(0%、10%、15%)とお好み焼き(0%、10%、20%、30%)を調製し、本学学生および教員をパネルとして5段階評点法による官能評価を実施した。

    【結果】アンケートの有効回答数は132枚であった。レンコンは82.6%の者が特産品として認知していたが、パウダーの認知度は33.3%と低く、パウダーが普及していないことが示唆された。イメージとしては、「様々な料理に使えそう」、「手軽」といった良い意見がある一方、「においが強そう」という悪い意見もみられた。食べてみたい料理は、「天ぷら」、「お好み焼き」、「パン」、「あんかけ」など粉類に混ぜる料理やとろみをつける料理が挙げられた。官能評価の結果、蒸しパンでは0%配合が最も好まれたが、お好み焼きでは全ての項目(外観、香り、味、食感および総合評価)において10%配合の評価が高かった。お好み焼きはパウダーを有効活用できる一品であると考えられた。
  • 原田 香, 相良 剛史, 橋本 多美子
    セッションID: 2P-24
    発行日: 2018年
    公開日: 2018/08/30
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    【目的】我が国では、年間約5万トンのレンコンが生産されているが、レンコンは節の部分など廃棄率の高い作物であり、加工時には生産量の2~3割に相当する約1.5万トンが廃棄物として処理されている。本研究では節レンコンの利用拡大を目指し、節レンコン添加パンの製造を試み、節レンコンの添加が製パンに与える影響について検討した。
    【方法】パンの調製にはホームベーカリー(YAMAZEN)を用いた。食塩4g、砂糖20g、脱脂粉乳10g、無塩マーガリン20g、強力粉240g、インスタントドライイースト3g、水160gの順に型に入れ、食パンメニューの一斤用を選択して焼成した。節レンコン粉末およびレンコン粉末を添加する場合は、強力粉重量の10%を置換した。焼成後、直ちに型から網の上に取り出して室温で2時間冷却し、ラップフイルムに包んで24時間保存した後に、これらのパンについて色調、比容積および物性を測定するとともに、嗜好性に関する官能評価を行った。
    【結果】節レンコン粉末添加パンおよびレンコン粉末添加パンの色調は、内相では無添加パンに比べてL*値は有意に低く、a*値は有意に高かったが、外相では全ての値において、無添加パンよりも有意に低値を示した。一方、節レンコン粉末添加パンおよびレンコン粉末添加パンは、無添加パンと比較し、比容積では低値を示し、硬さ応力は増加して硬くなり、凝集性は低下することが明らかとなった。他方、官能評価では無添加パンの評価が最も高く、次いでレンコン粉末添加パンが高評価であり、節レンコン粉末添加パンはレンコン粉末添加パンと比較しても有意に低い評価となった。以上の結果から、節レンコンを添加した食パンを調製する際には、添加量や添加方法など、更なる検討が必要になるものと思われた。
  • 飯村 裕子, 長尾 慶子, 小林 理恵, 笹原 由雅
    セッションID: 2P-25
    発行日: 2018年
    公開日: 2018/08/30
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    【目的】これまで半乾燥野菜の調製法について研究し、天日乾燥による重量減少率30%試料が茹で加熱調理品として良好な品質となることを報告した。その中で、半乾燥加工は野菜中の呈味成分である糖類やアミノ酸を増加させるため、調理時に用いる調味料の低減化の可能性が示唆された。本研究では、半乾燥野菜を用いた調理品を調製し、野菜の半乾燥加工が調理品の嗜好性に与える影響を検討した。
    【方法】乾燥させない生野菜と、天日(直射日光下)、機械(恒温庫内)、風(筒内送風)にて重量減少率30%まで乾燥させた半乾燥野菜を用いて、ほうれん草のごま和えとにんじんのきんぴらを調製した。使用する調味料は乾燥前重量に対して同濃度となるように設定した。乾燥時の重量変化と加熱後調味前の糖度(糖度計)、アミノ酸含量(HPLC)の測定、さらに調理品の官能評価(嗜好、識別)を行った。
    【結果】ほうれん草では、機械乾燥に比べて天日及び風乾燥の乾燥時間が有意に長くなった。茹で加熱試料においては、天日及び風乾燥試料が生試料に比べ糖度及びアミノ酸が増加し、ほうれん草のごま和えの官能評価において味と香りが好まれた。一方、にんじんの半乾燥試料を炒め加熱した際に、生試料と比べて著しい重量減少が見られた。さらに、これまで良好とされてきた天日乾燥では糖度やアミノ酸の増加が見られず、風乾燥試料において生試料と比較してこれらの増加が見られた。きんぴら調理品の官能評価でも、風乾燥試料は味と香りが好まれる傾向となった。以上の結果から、半乾燥法のうち,ほうれん草では天日乾燥と風乾燥,にんじんでは風乾燥において生試料と同様に好まれる傾向にあり、機械乾燥とは異なる嗜好性を発現させることが示唆された。
  • 植田 和美
    セッションID: 2P-26
    発行日: 2018年
    公開日: 2018/08/30
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    【目的】徳島県美馬市木屋平地区は四国山地の剣山の山麓にあり、標高が高くユズの栽培に適している地域である。この地区のユズ農家は農林水産省が定める有機JAS認証を取得するなど高付加価値農業を実践している。ユズの利用方法は、果汁を使用した商品がほとんどであり、搾汁後の残部(果皮、果肉、種)は廃棄対象となっている。また、ユズ成熟果は、果皮が弱いため貯蔵が難しく、予措を行った後に冷蔵貯蔵が行われるが、貯蔵可能期間は限られる。本研究では、廃棄される果皮を冷凍貯蔵することによって、地域特産品への年間通しての利用の適否を検討した。

    【方法】地域産物を使ったレシピ開発に関わってきたユズパウンドケーキに着目し、木屋平産有機JAS認定ユズ、木屋平産鶏卵「高原たまご」を使用し、ベーキングパウダー不使用で調製を行った。パウンドケーキの調製方法は、膨化率の低下を改善するため、バタースポンジ・ジェノワーズ(共立て)法を用いた。そして、冷凍貯蔵前後の果皮を用い冷凍貯蔵による品質への影響について検討した。さらに、冷凍貯蔵したユズ果皮の利用部(外果皮のみ、外果皮および中果皮を合わせたもの)による品質への影響を検討した。ユズパウンドケーキの品質は、性状測定や2点嗜好試験法による官能評価により評価した。

    【結果】冷凍貯蔵による影響では、色の測定および官能評価において有意差は認められなかった。ユズパウンドケーキ製造において、冷凍貯蔵によるユズ果皮の風味や性状の低下は認められず、嗜好性に影響しないと示唆された。また、ユズ果皮の利用部による比較では、色差は「わずかに感じられる」程度の差であったが、官能評価において外果皮のみを使用した試料の色の評価が有意に高かった。
  • 山﨑 薫, 綿貫 仁美, 奈良 一寛, 岩﨑 里菜, 石神 優紀子
    セッションID: 2P-27
    発行日: 2018年
    公開日: 2018/08/30
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    【目的】食用花はヨーロッパを中心に世界各国で食され、日本も食用菊や桜などが伝統的に活用されて来た。ここ10年で新たな品種の食用花も市場に少しずつ増えてきているが、他のハーブ系食材と比べた場合、未だ流通量は少ない。よって、研究者らが既報告のアイスクリームやグミへの応用に続き、食用花の色や華やかさに着目したジャムへの活用を検討した。

    【方法】自家栽培・採取し、凍結乾燥したサクラ・ヒマワリ・キンギョソウ(黄・白・ピンク)・マロウ(紫)・ベゴニア(赤・ピンク)・マリーゴールド(黄・橙)・ペチュニア(赤・ピンク)・ニチニチソウ(ピンク)・ビオラ(紫)の9種類の食用花を使用し、ジャムの作成を行った。ジャムの原材料として、食用花・グレープフルーツ抽出ペクチンまたはリンゴ抽出ペクチン・水・グラニュー糖・クエン酸またはレモン果汁を使用した。調製した37種類のジャムの色差測定、pH測定を行い、試作品間の比較・検討を行った。更に評点法と順位法を用いて官能評価を行った。

    【結果】食用花無添加の水と市販ペクチンを主として調製したジャムはペクチン由来色のみが認められ、食用花の花弁由来の色を活かせる条件を確立した。同種の食用花でも花弁添加量などを変えることにより、色調の異なるジャムの作成が可能であることも確認した。官能評価結果としてヒマワリジャムの総合評価においてはジャム間に1%危険率で有意差が認められた。その他の品種の食用花における官能評価においても、パネル間においてリンゴペクチンで作成したジャムが好まれる傾向や甘みが強く、色が鮮やかに仕上がっているジャムが1%危険率で有意に好まれる傾向にあることを明らかにした。本研究結果を活用したドレッシング製造なども検討している。
  • 橋本 夕紀恵, 佐川 敦子, 大橋 きょう子
    セッションID: 2P-28
    発行日: 2018年
    公開日: 2018/08/30
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    【目的】近年、オリーブオイルの消費量は世界的に増加しており、日本においても需要は拡大している。オリーブオイル消費量の増加の背景には、食生活の変化やオリーブオイルの有する機能性のほか、特有の色、味、香りなどにより調理への汎用性が高まっていることが挙げられる。本研究はオリーブオイルが有する色、味、香りがヒトの感覚的評価および嗜好性に及ぼす影響を明らかにすることを目的とした。
    【方法】試料油には市販品のエキストラバージンオリーブオイル4種類(A~D)を用いた。1.色:分光色差計を用いて、L*値(明度)、a*値(赤方向)、b*値(黄方向)を測定した。2.香り:ガスクロマトグラフ質量分析計を用いて香気成分の定性分析を行った。3.味:昭和女子大学管理栄養学科に在籍する女子学生48名を対象に官能評価を行った。香りの強さ、香りの好み、苦味、辛味、味の好み、外観の色について線尺度を用いた評価を行い、多重比較法で解析した(p<0.05)。
    【結果】1.色:L*値、a*値、b*値は4種ともほぼ同等の値を示したが、Cは他の3種と比べて黄色味が強く、明度は低かった。官能評価では、Cは他の3種に比べて有意に緑色味が強いと評価された。
    2.香り:B、C、Dはほぼ同種の化合物が分離されたが、Aはより多くの種類の化合物が分離されたことから、Aは他の試料油にはない香気を有していることが推察された。官能評価では香りの強さおよび香りの好みについて4種に差は認められなかった。
    3.味:CはDより有意に辛味が強いと評価された。苦味および味の好みについて4種に差は認められなかった。
  • 石井 和美, 細野 夏未, 山田 恭歌, 小林 三智子
    セッションID: 2P-29
    発行日: 2018年
    公開日: 2018/08/30
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    【目的】食物アレルギーの増加や健康志向が高まる中、雑穀が注目されている。これまで、食料資源の有効利用と、小麦アレルギーに対応できるパンを調製するために、キヌア粉を使用してパンを調製してきた。その結果に基づき、パンの膨らみを増して食感を改善するために、増粘多糖類等を段階的に添加してパンを調製し、物性に与える影響を検討した。

    【方法】キヌア粉、蒸留水、無塩バター、グラニュー糖、食塩、ドライイーストを使用した。配合割合は既報と同様にした。増粘多糖類は、MC(メトローズMCE4000信越化学工業(株))、HPMC(同SFE4000、SE50同)を使用し、キヌア粉の重量に対して0.50%、1.00%、1.50%、2.00%を添加した。家庭用ホームベーカリーを用いて焼成し、体積、テクスチャー特性を測定した。テクスチャー測定にはクリープメーター(RE2-3305B(株)山電)を用いた。

    【結果】SFE4000とSE50を添加してパンを調製したところ、すべての添加量でケービングを起こし、良い効果が得られなかった。MCE4000を添加すると、1.5%添加までは段階的に体積が増加し、比容積の値は大きくなった。2.0%添加すると減少した。テクスチャー特性値を解析したところ、MCE4000を添加しても、硬さには大きな変化は無かった。また、内相の硬さを改善するために、寒天を1~4g添加し検討した。コントロールに添加すると、添加量が増すと比容積は減少し、内相は硬くなった。MCE4000を1.5%添加し、さらに寒天を添加したところ、寒天の添加量が増すと比容積は増加したが、全体的に比容積は低下した。
  • 佐久間 仁美, 城市 怜奈, 石井 和美, 小林 三智子
    セッションID: 2P-30
    発行日: 2018年
    公開日: 2018/08/30
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    【目的】これまでに、ホワイトソルガムパンの食感を改善するために、何種かの増粘多糖類を添加してパンを調製し、膨らみの増加を図ってきた。しかし、膨らみは改善したものの、独特のえぐみ、苦みがあり、食味、嗜好性の面で改良が必要であった。そこで、手に入れやすい素材や食品を添加して、パンの嗜好性を向上させることを目的とした。

    【方法】これまでの報告に基づいて調製した。検討した中で、総合的に判断して最も状態の良かった、MC(メトローズMCE4000信越化学工業(株))を1.25%添加したものをコントロールとした。嗜好性の向上のため、加える蒸留水325gをトマトジュース、普通牛乳、低脂肪牛乳に替えて使用した。さらに、普通牛乳と水を3:2、1:1、2:3、低脂肪牛乳と水を3:2、1:1と比率を変え調製した。普通牛乳と水3:2にドライフルーツ、オレンジピール、ココア粉末を加えて検討した。また、調製したパンのクラムのテクスチャーを測定し、特性値を解析した。

    【結果】コントロールの蒸留水をトマトジュースに替えてパンを調製したところ、クラムは硬く、均一に成らなかった。また、風味・食感ともに好ましくなかった。普通牛乳に替えると、軟らかくなり、若干風味が改善したが、クラムがべたついた。低脂肪乳で置き換えても、硬さに大きな変化はなかった。そこで、蒸留水を部分置換して調製したところ、普通牛乳と水を3:2で調製すると風味、食感ともに、最も好ましかった。さらに嗜好性を高めるために、ココア粉末、オレンジピール、ドライフルーツを加え検討したところ、ココア粉末8%、グラニュー糖25gを添加したパンが最も食味が良かった。
  • 吉村 美紀, 細田 捺希, 大場 裕美子, 澤村 弘美, 鯛 かおる
    セッションID: 2P-31
    発行日: 2018年
    公開日: 2018/08/30
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    【目的】高真空条件下で通常より低い温度の食用油を熱媒体とし、食品を乾燥させる真空フライ法を用いてケールチップスを開発した。本研究では、真空フライケールチップスと焼成ケールチップスの比較と、水分量、外観、ビタミンC量から真空フライ時の加熱温度の影響を検討することを目的とした。
    【方法】試料は、一定の真空圧(‐0.090MPa~‐0.096MPa)で加熱条件を変えて真空フライにした真空フライケールチップス(60℃・25分、70℃・22分、80℃・21分、90℃・13分、100℃・12分)と油をふりかけオーブンで焼成した焼成ケールチップス(140℃・10~15分)とした。赤外線水分計(FD-600、kett)を用いて100℃・60分間加熱による水分量測定、測色計(ND-300A、日本電色工業)を用いてL値、a値、b値の測定、高速液体クロマトグラフィー(SPD-M20A、SIL-20AC、LC-20AT、島津製作所)によるDNHP誘導体化法でビタミンC量測定とした。
    【結果】真空フライケールチップスは、焼成ケールチップスと比較し、水分量が低く5%以下を示し、明度と彩度が高く明るく鮮やかな色を示した。真空フライケールチップスは、生鮮ケールに比べてビタミンC量が減少したが、真空フライ時の加熱温度が低いほど、明度と彩度が高くビタミンC残存量は高くなった。以上より、真空フライケールチップスの加熱温度は60℃の温度の低い方が適当であると推察した。
  • 小堀 龍太郎, 林 瑞穂, 中田 忍
    セッションID: 2P-32
    発行日: 2018年
    公開日: 2018/08/30
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    【目的】小学校家庭科の調理実習で白玉団子が教材としてよく扱われている。その際、水の代わりに豆腐を使用する場合がある。現場の声として、豆腐で調製した白玉生地はまとまりやすく、白玉団子ももちもちとした物性が、時間経過後もあまり変化しない利点があるとされている。そこで豆腐を用いて調製した白玉団子および生地について、力学的物性を測定し、水調製生地との違いについて検討を行った。

    【方法】白玉団子の調製:白玉生地は白玉粉50gに水42gまたは絹ごし豆腐52.5gの基本配合とし、厚さ10mmにのばし、円形型(φ30mm)で抜いた。沸騰水で茹でた後、冷水で粗熱を取った後に測定に供した。物性測定:測定機器はクリープメーター(山電、RE2-3305B)を用い、テクスチャー解析(圧縮速度 1mm/1s、測定歪率75%、円柱状プランジャー(φ16mm))を行った。

    【結果】水および豆腐の添加量の検討を行ったところ、白玉粉50gに対し、生地調製可能な水の量は38~44g、豆腐の量は45~55gであり、豆腐添加量の幅は水よりも広いことが分かった。豆腐調製の団子生地は水調製に比べ、柔らかく伸展性に富み、凝集性および付着性が有意に高値をしめした。しかしながら、団子の比較では豆腐調製団子は黄色みを帯びていた。また、両者の最大荷重以外の各物性値の差は小さく、有意差はなかった。また、団子調製2時間後までの物性変化は両者間に差はなかった。以上の結果から豆腐団子が固くなりにくいことは確認できなかったが、水の代わりに豆腐を用いて白玉団子を調製することで扱いやすい生地となり、団子の物性にも影響しないことが示された。
  • 入江 知紗, 中谷 有希, 戸塚 智子, 上地 利征, 姫野 實, 薄井 友子
    セッションID: 2P-33
    発行日: 2018年
    公開日: 2018/08/30
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    【目的】ごまは擦ることでごま特有の香りがたつが、市販の擦りごまは流通過程でその香りの質が変化してしまうのが課題であった。本研究では、ごま特有の香りを引き出す製法と嗜好との関連性を明らかにすることを目的に、検証を行った。
    【方法】市販の白擦りごまを対照に、市販の白煎りごまをスチームコンベクションオーブン150℃で15分加熱したもの(以下ドライ)、同オーブンで150℃、相対湿度80%で15分加熱したもの(以下ウェット)をそれぞれフードプロセッサーで30秒せん断したものを試料とした。この試料について、ガスクロマトグラフィーにて香気分析を行った。また、同試料を用いてほうれん草のごま和えを製造し、社内の専任パネル30名を対象に官能評価を実施した。
    【結果】香気分析結果より、ドライでは市販の白擦りごまよりも「香ばしく甘い香り」が多くなり、ウェットではドライよりもさらに多くなった。ほうれん草のごま和えの分析型官能評価では、ウェットは市販の白擦りごまより「コクの強さ」の項目で、ウェットはドライより「蓋を開けた時の甘い香りの強さ」の項目で有意に強いという結果となった(P<0.011)。さらに嗜好型官能評価では、対照と比較してウェットを「おいしい」と答えたパネルが有意に多かった(P<0.010)。一方、ドライとウェットでは嗜好性が分かれ、それぞれが特徴とする香気成分に依存することが示唆された。今回検討した製法を用いることで、ごまの本来の香りをさらに活かした商品づくりが期待される。
  • 松森 慎悟, 阿久澤 さゆり
    セッションID: 2P-34
    発行日: 2018年
    公開日: 2018/08/30
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    【目的】ベーグルは、他のパンの製法と異なり、二次発酵後に「茹でる」という操作を行う。この操作により、あらかじめ湯を指定の温度に保持する必要があるため、温度管理が難しく、ベーグルの品質に影響を及ぼす。さらに、ゆでる操作があるため大量に均一の品質をもつベーグルを調整するのは難しいと言われている。そこで本研究では、温度管理が容易で大量調理ができるスチームコンベクションオーブンを使用してベーグルを作製し、それらの品質特性を比較検討した結果を報告する。
    【方法】強力粉、インスタントドライイースト、砂糖、食塩、水を使用して作製したベーグルを試料とした。通常の「茹でる」操作を行ったコントロールベーグル(茹で時間1分)に対して、茹でずにスチーム加熱(1分及び3分)を行ったベーグルを作製し、比較検討した。測定項目は、形状として重量、体積、比容積、外径及び高さを測定し、水分含量、クラストの色調測定を行った。また、クラスト及びクラムの破断測定を行い、さらに順位法にて分析型(つや、硬さ、甘味)及び嗜好型(硬さ、香り、総合評価)の官能評価を行った。
    【結果】形状は、体積及び外径において、スチーム加熱ベーグルの方が有意に低値を示した。高さは、1分スチーム加熱ベーグルが最も高かった。クラストの色調や水分含量には有意な差はなかった。破断測定では、クラスト及びクラムの硬さ共に、3分スチーム加熱ベーグルが最も高値を示した。分析型官能評価は、3分スチーム加熱ベーグルが最も硬いと評価され、嗜好型官能評価は、全ての項目で有意な差が得られなかった。
  • 小川 彩, 竹之内 明子, 岡井 紀代香
    セッションID: 2P-35
    発行日: 2018年
    公開日: 2018/08/30
    会議録・要旨集 フリー
    【目的】加熱調理操作としての「焙煎」の特性は、食品の風味を向上させるとともに消化・吸収を良くすることなどである。さらに、加熱調理操作による食品の機能性の向上が近年の報告で明らかとなっている。本研究では、昆布や、ごぼうなどさまざまな種類の食品を試料とし、オーブンによる「熱風焙煎」処理を行った場合の食品のラジカル消去活性を分析することにより、「熱風焙煎」の調理特性を明らかにする。
    【方法】昆布試料は、乾燥状態の北海道産真昆布をブレンダーで細断し、非加熱の昆布と、オーブンによる加熱処理を行った昆布に、蒸留水を加えて60分間静置し、その抽出液を分析に用いた。ごぼう試料は、宮崎県産ごぼうをスライサーで厚さ1mmにスライスし、非加熱のごぼうと、オーブンで加熱を行ったごぼうに熱水を加え10分間静置し、その抽出液を分析に用いた。抗酸化活性の指標として、DPPHラジカル消去活性を測定した。さらに生化学的手法を用いて、各試料中のポリフェノール類含量とDPPHラジカル消去活性との相関関係を比較した。
    【結果】昆布試料においては、200℃30分の加熱処理を行った試料は、非加熱の昆布試料より、DPPHラジカル消去活性は有意に増加した。またポリフェノール総量とDPPHラジカル消去活性は強い相関があった。ごぼう試料においても、180℃30分加熱処理を行うことにより、DPPHラジカル消去活性が上昇し、昆布試料と同様にごぼうにおいても試料中のポリフェノール総量はDPPHラジカル消去活性と相関関係がみられた。以上の結果から、加熱調理操作「熱風焙煎」を行うことにより、食品の機能性が向上することが推察される。
  • 橋本 多美子, 宗本 侑子, 木太 陽香, 宮本 有香, 小幡 明雄
    セッションID: 2P-36
    発行日: 2018年
    公開日: 2018/08/30
    会議録・要旨集 フリー
    【目的】近年、色が淡く香りが穏やかな生しょうゆが開発され、話題を集めている。我々は通常の火入れしょうゆと生しょうゆの官能評価を行い、「香り」、「旨味」、「塩味」、「甘味」の項目で生しょうゆが好まれることを報告した1)。さらに、「酢豚のたれ」の試験では、生しょうゆの方が「酸味」や「塩味」を弱く感じ、しょうゆの種類により調理品の味に影響する場合のあることがわかった。本研究では、2種のしょうゆに各種基本調味料を加えた時の味の違いを調べ、その特性を活かした調理法について検討した。
    【方法】製造法の異なるしょうゆとして、火入れしょうゆ(丸大豆しょうゆ:キッコーマン)と生しょうゆ(丸大豆生しょうゆ:キッコーマン)を用い、味の識別テストに合格した女子大生15名を対象に、2種のしょうゆに酢、みりん、砂糖を添加した時の味の違いについて分析型官能評価を行った。さらに、火入れしょうゆと生しょうゆを用いた調理品として「肉団子の甘酢あん」を作成し、女子大生126名に対し、分析型および嗜好型官能評価を実施した。
    【結果】酢の添加では生しょうゆで「まろやかさ」を、火入れしょうゆで「酸味」を強める傾向があった。みりんの添加では火入れしょうゆで「塩味」を、砂糖の添加では生しょうゆで「甘味」を強く感じる人が多かった。「肉団子の甘酢あん」では味と総合評価で生しょうゆが有意に好まれ(p <0.05)、火入れしょうゆの方が「塩味」と「酸味」を強く感じる傾向がみられた。以上より、生しょうゆは酢の「酸味」をまろやかにし、火入れしょうゆは料理の「塩味」を強めることから、それぞれの特性に合わせた調理での使い分けが可能であると考えられた。
    1)日本調理科学会平成27年度大会
  • 石井 香代子, 近藤 寛子, 鴻池 優佳, 渕上 倫子, 高橋 知佐子
    セッションID: 2P-37
    発行日: 2018年
    公開日: 2018/08/30
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    【目的】咀嚼困難者が安全に食べることのできる調理法の凍結含浸法を用いて製造した食品の物性等を評価することを目的とした。
    【方法】試料には、塩サケ、生サケ、塩サバ、生サバ、タラ、鶏むね肉、鶏もも肉、豚もも肉を使用した。加熱調理機器はスチームコンベクションオーブン、冷却には冷蔵庫及びブラストチラーを用いた。酵素剤はミーとろん(クリスターコーポレーション社製)を用い、酵素濃度 (3%・1%)、筋切り(有・無)、含浸方法(バット・袋)に分け、酵素反応は真空袋内及び天板上、反応温度5℃前後で行った。16時間の酵素反応後に90℃で10分加熱し、測定試料とした。各試料は20℃・50℃でレオーナーⅡ(山電製)で測定した。
    【結果】20℃での硬さ測定値を示す。塩サケ3%袋は、1.86(×104N/m2)、塩サケ3%天板は、3.88(×104N/m2)、生サケ3%バットは、1.57(×104N/m2)、生サケ3%筋切りありは、60(×104N/m2)、生サケ3%筋切りなしは、2.90(×104N/m2)となった。塩サバ3%袋は、1.97(×104N/m2)、塩サバ3%天板は、1.95(×104N/m2)、3%袋は、1.34(×104N/m2)、生サバ3%天板は、2.18(×104N/m2)、生サバ3%バットは、1.49(×104N/m2)、生サバ1%袋は、2.26(×104N/m2)、生サバ1%天板は、3.71(×104N/m2)、生サバ3%筋切りありは、1.39(×104N/m2)、生サバ3%筋切りなしは、2.20(×104N/m2)となった。タラ2%袋は、0.94(×104N/m2)、2%筋切りありは、0.85(×104N/m2)、2%筋切りなしは、1.76(×104N/m2)となった。鶏むね肉1%袋は、2.8(×104N/m2)、1%天板は、2.47(×104N/m2)、1%バットは、3.66(×104N/m2)、0.2%袋は、1.81(×104N/m2)、0.2%天板は、1.94(×104N/m2)、1%筋切りありは、2.78(×104N/m2)、1%筋切りなしは、111.19(×104N/m2)となった。鶏もも肉1%バットは、2.44(×104N/m2)、1%筋切りありは、3.12(×104N/m2)、1%筋切りなしは、4.96(×104N/m2)となった。豚モモ肉1%袋は、3.41(×104N/m2)、3%バットは、2.60(×104N/m2)、3%筋切りありは、1.89(×104N/m2)、3%筋切りなしは、261.00(×104N/m2)となった。
  • 礒部 喜代子, 柳沢 幸江
    セッションID: 2P-38
    発行日: 2018年
    公開日: 2018/08/30
    会議録・要旨集 フリー
    【目的】これまで、朝食におけるご飯食とパン食の食事構成及び用いられる食材の比較をし、その特徴を分析してきた。本研究では、朝食における主食習慣が朝食や夕食の食事構成に及ぼす影響を分析した。また、食習慣質問票(BDHQ)を利用し、摂取する栄養素、食品について比較した。

    【方法】管理栄養士養成課程の2年生を対象に同意が得られた65名に、7日間の朝食と夕食の写真撮影及び食事記録を依頼した。回収した写真データ及び食事記録より、朝食においてご飯を主食とする者とパンを主食とする者の食事構成を分析した。また、その内BDHQに回答した64名について、栄養素、食品の分析を行った。

    【結果】朝食が1週間のうち6日以上ご飯食の者(ご飯食者)は14名、同パン食の者(パン食者)は11名であった。両群の朝食及び夕食での料理区分を分析した結果、朝食においては主菜と副菜が揃っていたのは、ご飯食者が59.2%、パン食者が15.6%で有意差があった。夕食については、ご飯食者が66.3%、パン食者が75.3%で有意差はなかった。次に、夕食の主食・主菜・副菜・乳乳製品・果物の食べ方について、x2検定をした結果、両群に有意差が認められ、ご飯食者の方が果物を多く摂取していた。朝食のほとんどをご飯食と回答した26名と朝食のほとんどをパン食と回答した14名についてBDHQを用いて栄養素13項目、身長と体重を加えて15項目のt検定を行った。いずれの項目についても有意差はなかった。食品70品目については、めし、パン、柑橘類(季節)の3品目についてのみ両群に有意差が認められた。柑橘類は、ご飯食者の方が多く摂取していた。以上の結果より、朝食においてご飯食の習慣がある者の方が食事構成が充実する傾向にあることが示された。
  • 井奥 加奈, 川越 星来, 山本 真子, 岸田 恵津
    セッションID: 2P-39
    発行日: 2018年
    公開日: 2018/08/30
    会議録・要旨集 フリー
    【目的】野菜摂取量の増加と和食文化の維持継承に家庭での調理は必要不可欠である。しかしながら、中食や外食の普及により、調理経験の少ない若い世代が増加しつつあり、食育などにおける調理教育の再検討が喫緊の課題になっている。そこで、本研究では関西在住の消費者に対して質問紙調査を実施し、調理頻度による野菜の消費意識と調理方法のイメージの相違について比較検討した。

    【方法】大阪府を中心とする関西の公立保育園に子どもを通わせる保護者463名(10代~60代:子育て世代)と大学生男女375名に対して2016年10-11月に質問紙調査を実施した。野菜供給安定法に基づき通年出回る24種類の野菜を3種類ずつ質問紙票に掲載し、野菜の消費意識(野菜に対する意識、野菜の調理、栄養・健康情報、消費)と調理方法のイメージ(煮る、炒める、茹でる、揚げる、蒸す、焼く、漬ける、生食、和える、レンジ加熱)を質問した。
    【結果】子育て世代の日常よく調理する177名と大学生男女のほとんど調理しない241名の回答を解析対象とした。野菜の消費意識は16項目中11項目に有意差が認められ、子育て世代の意識が高いことが分かった。また、ごぼうに対して大学生の43%は生の食感が好ましいと回答し、認識のずれがみられた。野菜とその調理方法のイメージから、近年カット野菜で多く出回るキャベツに対して大学生は主に生食すると回答したが、子育て世代では多様な調理方法が行われていた。24種類の野菜は、主に湿式加熱する野菜と乾式加熱する野菜、生食野菜に分けることができた。
  • 橘 ゆかり, 井奥 加奈
    セッションID: 2P-40
    発行日: 2018年
    公開日: 2018/08/30
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    【目的】本研究グループは1997年に野菜の調理方法に関する調査を行い、母親世代と女子大学生で調理方法に大きな差がみられず、電子レンジ加熱が蒸し調理に置き換わりつつあることを明らかにした(1)。また、2016年実施の調査では子育て世代と大学生の調理経験によって野菜の調理方法に違いがあることを明らかにした。本研究では、両者を比較しながらコレスポンデンス分析を用いて野菜の調理方法の変容について検討した。

    【方法】1997年の調査は関西在住の女子学生133名と母親世代の女性123名を対象として実施した(1997年調査)。2016年に実施した調査は関西在住の大学生241名と子育て世代177名の回答を解析対象とした(2016年調査)。

    【結果】2016年調査と1997年調査における野菜とその調理方法をクラスター分析にて比較すると、生食に対する認識の変化が確認された。さらに、2016年調査の大学生は「炒める」と「焼く」が同じカテゴリになり、調理経験がないことで「焼く」と「炒める」が混同する可能性が示唆された。1997年調査では、子育て世代、女子学生とも「焼く」は「揚げる」と同じカテゴリに配置された。コレスポンデンス分析を行い、第1軸と第2軸のスコアを用いて両調査のグラフを作成すると、2016年調査の大学生は「生食」が第2軸で大きくマイナスの値を示した。子育て世代や1997年調査の母親世代、女子学生において「生食」は第2軸で大きくプラスの値を示したことから、2016年調査の大学生では、調理をするかしないかという意識が第2軸に投影されたと考えられた。

    (1)井奥加奈他、大阪教育大学紀要第Ⅲ部門、49(2)、107-121(2001)
  • 阪野 朋子, 小出 あつみ, 山内 知子
    セッションID: 2P-41
    発行日: 2018年
    公開日: 2018/08/30
    会議録・要旨集 フリー
    【目的】若年期の適切な食習慣は将来の健康状態に影響を及ぼすと考えられている。若い世代では朝食の欠食が多く、栄養バランスの悪い食習慣に関する報告が多い。また、若年層でも肩こりや頭痛などの不定愁訴の訴えもあり、生活との関連性が指摘されている。そこで、本研究では、女子学生の食習慣の現状を把握し、疲労状態との関連を検討した。
    【方法】愛知県N市にある女子大学の2年生158名(平均年齢19.4±0.5歳)を対象とし、自記式質問紙による調査を行った。質問紙の設問は、属性・4問、咀嚼状況・3問、食事摂取状況・5問、食習慣・20問、疲労状態・30問であった。疲労状態は、「自覚症状しらべ」を用いた。統計処理はSPSS (ver.21)を使用し、有意水準を5%以下で示した。
    【結果】対象者の約7割が2世代家族で、実家暮らしであった。1日3食の摂食頻度では、7割を超える者が毎日食べると回答した。食習慣では、野菜類やたんぱく質性食品を約7割が毎日食べており、甘い物の摂取に気を付けていた。その一方で、果物類と海藻類は約7割が摂取しておらず、菓子を食事代わりにするとした回答もあった。食習慣項目を得点化して平均値で食習慣の良い高群と悪い低群の2群で分析した結果、朝食頻度では高群は低群より有意に高く、居住形態では高群が低群より実家暮らしの割合が有意に高かった。また、疲労状態の「ねむけとだるさ」および「注意集中の困難」において、低群は高群より疲労状態であることが示された。以上の結果から、女子学生において実家暮らしの環境が、朝食摂食を含む良い食習慣につながると推察された。さらに、実家暮らしの環境は疲労状態にも良い影響を与える可能性が示された。
  • 過去と現在の共食状況とその継続性について
    谷口 泉, 土田 満
    セッションID: 2P-42
    発行日: 2018年
    公開日: 2018/08/30
    会議録・要旨集 フリー
    【目的】家族との食卓は子供への食育を推進していく大切な場といわれている。今回は、過去、現在の共食状況とその関連要因および継続性との関係について検討した。
    【方法】愛知県内のA大学とB大学に在籍する1年生から3年生までの男性107名、女性390名、計497名を対象とした。無記名の自記式アンケート調査をH26年7月10日~7月31日に実施した。共食頻度と食生活・共食機能を組み合わせ過去、現在の共食状況4群を作成し、Kruskal Wallis検定を行った。解析にはIBM.SPSSを用いた
    【結果】過去および現在の共食状況に共通する関連要因として、男性・女性とも現在における食生活、共食機能、共食頻度、健康習慣、対人コミュニケーションが認められた。一方、現在の共食状況と関連する要因として、男性・女性とも上記の要因に加えGHQ(精神的健康度)が認められた。過去と現在ともに共食状況が良好であった継続群とその他の改善(過去の共食状況が悪く、現在が良好)群、非継続(過去、現在ともに共食状況が悪い)群を比較した結果、健康習慣では、男性で「間食をしない」、女性で「毎日、朝食を食べている」の質問項目で、継続群の点数が有意に高かった。対人コミュニケーションでは、女性では、因子分析で抽出された第4因子の「人付き合いへの消極性」で、継続群がその他の群よりも得点が有意に低かった。
    過去の共食状況の良好さ、現在の共食状況の良好さは、共食についてポジティブなイメージをもたらし、食への関心のみならず、人との関わり合いを好む対人コミュニケーションスキルが助長されることが示唆された。
  • 吉田 沙紀, 吉野  知子, 辻  雅子, 林  一也
    セッションID: 2P-43
    発行日: 2018年
    公開日: 2018/08/30
    会議録・要旨集 フリー
    【目的】
     赤ワインは、魚と食べ合わせたときに生臭みや不愉快味を感じることがあり、おいしく食べられないといったことがある。この赤ワインと魚が美味しく食べられない問題について、科学的に取り組んだ例は少ない。そこで本研究では、赤ワインと魚介類の相性を検討し、相性を悪くする原因物質の特定をおこなうことで、ワインと魚介類を美味しく食べられるワインの選択をおこなえるようにすることを目的とした。

    【方法】
     官能評価は18人の女子大学生をパネラーとし、2010年代の赤ワイン5種類及び1990年代の赤ワイン3種類を品種名をブラインドした状態で、かつおの刺身あるいは干しホタテの貝柱を噛みながらワインを飲んだ時に感じる生臭いにおいと不愉快味の2点を7段階評価した。
     その後、官能評価で用いた8種類のワインを使用して、アントシアニン、総ポリフェノール、タンニン、第一鉄イオン、亜硫酸を測定した。
     また、味覚測定センサー(インテリジェントセンサーテクノロジー SA-402B)を使用し、官能評価で生臭みが感じることが少ないと評価されたピノ・ノワール(2014)と官能評価で生臭く感じると評価されたメルロー(1993)、およびそれらとホタテの抽出液を合わせた試料液の味覚測定をおこなった。

    【結果】
    各物質と官能評価結果の相関関係で生臭みでは、第一鉄イオン、不愉快味では総ポリフェノールが高い相関が示された。また、味覚測定では酸味がある赤ワインのほうが生臭みを感じにくく少なく好ましいと感じる結果が得られた。その他の成分との相関性から、赤ワインと魚を合わせる時は、鉄分や総ポリフェノールが少なく、酸味のある赤ワインが魚との相性が良く、このような特徴を持つマスカット・ベリーAが向いていることが明らかになった。
  • 福田 小百合, 坂本 千科絵, 久米 雅, 岩田 美智子, 望月 美也子
    セッションID: 2P-44
    発行日: 2018年
    公開日: 2018/08/30
    会議録・要旨集 フリー
    【目的】近年、栄養士養成課程に入学する学生であっても、包丁を扱う経験が乏しく、持ち方や姿勢から指導を行う必要がある。そこで、包丁技術に関する効果的な教育方法を検討することを試みた。本研究は第一報として、入学直後の現状把握を行った結果を報告する。

    【方法】短期大学の栄養士養成課程学生に対し、包丁技術に関する実習を行っていない状態で、以下A~Cの調査および測定2017年5月に実施した。A.記述式アンケート調査(調理経験や調理技術、自己評価など)、B.包丁技術の確認(利き手、包丁の持ち方、添え手の状態、切り終えるまでの時間などを研究者が観察・記録)、C.試料[きゅうり・輪切り]の評価(切砕合計枚数、完全枚数、不完全枚数、厚みの平均値、厚みの不均一性など)。統計解析にはSPSS statistics19 for windowsを用い、危険率5%を有意水準とした。

    【結果および考察】Aの結果から、入学前の調理頻度が「週1~2回」もしくは「ほとんどしない」と回答した者は73.7%であった。B、Cの結果から、包丁の持ち方と不完全枚数は有意差を認めた。特に、包丁の柄の上に親指をのせる持ち方は不完全枚数が多いことがわかった。しかし、添え手の有無による切り終えるまでの時間、不完全枚数、厚みの平均値に有意差は認めなかった。また、試料を切り終えるまでの時間と厚みの不均一性に有意な相関を認めなかった。結果より、包丁を扱う経験が乏しく、入学時に包丁技術が未熟な学生は、切砕スピードと厚みの均一性を両立させることが困難であると示唆された。
  • 宇都宮 由佳, 福永 淑子, 田渕 弘子, 瀬尾 弘子, 佐藤 陽子, 松田 素行, 石井 克枝
    セッションID: 2P-45
    発行日: 2018年
    公開日: 2018/08/30
    会議録・要旨集 フリー
    [目的] 学校給食における最近の小学生の特徴として、食に対する興味が薄れてきていることが指摘されているが、この時期における食への関わりは子どもの成長にきわめて重要な意味があると思われる。そこで本研究では、「小学生のひとり調理力」という視点で、「食材の選定→調理→盛りつけ→配膳→片付け」の一連の食管理を自分ひとりで行う力「調理力」を育成する過程での対話や学びから得られる「達成感や自信」が、将来的には「自己肯定感」を持ち「生きる力」を育むことを実証面から分析することとした。今回はこの研究の予備調査として、「調理、盛りつけ、配膳」を親子で実施し分析した。

    [方法] 2018年1月千葉県A市在住の児童(小2~小4)とその親の6組に実習およびアンケート及びヒヤリング調査を実施した。実習の様子については画像・動画記録、各班についた調査者(7名)が親子の会話など参与観察をした。実習後の変化を調べるため、後日親にアンケートを送付してもらった。実習のメニューは、食材を切る・混ぜる、焼く・炒める・煮るという作業があるマーボー豆腐、五目炒め飯、トマトと卵のスープ、レモンクッキーである。

    [結果] 児童の家庭における調理体験は「食器を片付ける」「食器を並べる」が多く、「盛りつけ」「味つけ」「焼く」「茹でる」は少ない。児童が実習中に注意していた項目は「包丁の使い方」「火加減」が高い。普段したことがない包丁使いや火加減を自ら行ったことで「調理に対する自信がついた」との回答を得た。親のアンケート結果では、子どもが大人用の包丁を使えていた、苦手なトマトが食べられるようになった等、実習を通して子どもの成長が確認された。また実習後、子どもが調理に関心を示すようになり、積極的に手伝いや献立について話すようになった等のコメントが得られた。一方、「味をみながら味つけ」「盛りつけ」「配膳」の項目には十分に注意が払われておらず、今後の課題となった。
  • 中村 恵子, 伊藤 ありさ
    セッションID: 2P-46
    発行日: 2018年
    公開日: 2018/08/30
    会議録・要旨集 フリー
    【目的】総菜類やカット野菜等の普及と共に、家庭内での調理時間が減少し、子どもたちの包丁技能の習得機会も減っている。本研究では、小学校中学年を対象に包丁技能の習得のための効果的な指導方法を検討することを目的とした。

    【方法】調理に用いる19種類の切り方を、包丁・添え手の動きから6つに分類し、難易度順に整理した。その中から、動作に特徴がある「皮むき」「せん切り・薄切り」「みじん切り」を抽出した。ペティナイフを包丁に、皮むきは発泡スチロール玉に面ファスナーをつけたもの、せん切りは紙粘土、みじん切りはストローを食材に見立てて教材とした。児童17名に対して、教材での練習後に包丁を使用した指導を行い、児童の様子の観察と簡単な質問紙調査から、効果を把握した。

    【結果】皮むきの要点は、「刃元から刃を入れる」「食材を添え手で回す」「親指を刃より前に出す」であり、教材で練習したことで包丁に対する恐怖心が克服できた。せん切り・薄切りの要点は、「包丁の腹に添え手の指を当てて厚みの調節をする」であり、同一食材(りんご)を大量に切った場合と、固さの異なる複数食材(ハム、しいたけ、キャベツ、大根、にんじん、きゅうり)を切った場合とを比較した結果、同一食材を大量に切った方が効果大と考えられた。みじん切りの要点は、「包丁の腹に指を当てる」に加えて「食材を添え手でしっかり押さえる」であった。いずれの切り方も教材の使用と要点の明確化によって児童の包丁技能は向上すると考えられた。
  • 綾部 園子, 小西 大喜, 平方 千裕
    セッションID: 2P-47
    発行日: 2018年
    公開日: 2018/08/30
    会議録・要旨集 フリー
    【目的】平成17年の食育基本法制定を機に、各方面で様々な食育が実施されている。本学においても附属幼稚園と連携した食育を14年間実施し、幼児の食に関する興味・関心を高めるとともに、将来にわたり健康な食生活を営む基礎づくりを行っている。その一環として実施している「父と子の料理教室」は人気のある活動であり、これまでのアンケート結果を分析して、食育の可能性について検討した。

    【方法】「父と子の料理教室」は、年に2~3回、定員24組で実施している。平成23年6月~平成30年2月の計15回の教室に参加した父親(307名)を調査対象とした。料理教室終了後に、アンケート用紙を配付し、その場で回収した。質問項目は、参加理由・家庭での調理頻度・作った料理に関する評価(難易度、嗜好度、調理意欲)、料理教室に関する意見等(自由記述)である。
    【結果】参加理由で最も多かったのは、「子供と一緒にできるから」であり、「子供がしたがったから」「妻に勧められて」が上位を占めた。家庭における調理頻度は、約半数が「ほとんどしない」であったことから、父親は料理がする・しないにかかわらず、料理教室を子供とのコミュニケーション、または子供との思い出づくりの場として参加していた。作った料理の評価では、キーマカレーやタンドリーチキン、ハンバーグ、ピザなどの肉がメインとなる料理が好まれた。難易度については、餃子・ピザの評価が、調理頻度により異なっていた。重回帰分析、数量化理論第Ⅲ類による分析を行ったところ、調理意欲と嗜好性には強い関連があり、また、「非常においしかった」と回答したメニューでは「ぜひ作ってみたい」と回答する父親が多いこと分かった。
  • 久木野 睦子, 柿山 章江
    セッションID: 2P-48
    発行日: 2018年
    公開日: 2018/08/30
    会議録・要旨集 フリー
    【目的】外食や内食の増加にともない家庭内調理は減少傾向にあるが、経済性や栄養面を考慮すると、家庭内調理の意義は高いと考えられる。家庭内調理の実践を困難にする要因はさまざまであるが、一人暮らしの大学生においては、居住するキッチンの状況も影響をおよぼしていると考えられる。本研究では、一人暮らしをしている学生を対象にアンケート調査を行い、キッチンの状況と調理の実施状況との関連を調べた。
    【方法】本学食生活健康学科学生のうち一人暮らしをしている学生に、2018年2月にコンロの数、調理スペースや流しの広さなどのキッチンの状況、作る料理の数や種類、頻度などの調理の実践状況、一人暮らしの期間などを質問した。
    【結果】調査対象の学生の一人暮らし年数は2年目が30.6%、3年目が25%、4年目が38.9%であった。コンロの口数は、年数が短い学生の場合ほど二口コンロより一口コンロの割合が高く、近年の単身用住居のキッチンスペースは狭くなってきているのではないかと推察された。キッチンに対する不満として、最も多く挙げられたのが、調理スペースが狭いことで、72%の学生が不満として挙げていた。また、流しの狭さに対する不満はコンロが一口の場合に多く、コンロの数、調理スペース、流しの広さといった一連の調理作業スペースが狭く、調理を行うのに不便な状況であることがうかがえた。しかし、89%の学生が、キッチンが使いやすい状態であれば、もっと調理するようになるだろう、と考えていた。夕食に作る料理の品数は、どの学生も一品より二品作る頻度が高かったが、作る料理はサラダが最も多く、次いで炒め物であった。調理に要する時間は、一人暮らし年数が長いほど短かったが、コンロの数の影響は見られなかった。
  • 中澤 弥子
    セッションID: 2P-49
    発行日: 2018年
    公開日: 2018/08/30
    会議録・要旨集 フリー
    【目的】本研究の目的は、イタリアの首都ローマの学校給食の現地調査を行い、日本の食育及び学校給食の参考資料を得ることである。
    【方法】イタリアの教育制度は、0~2歳児対象の保育園、3~5歳児対象の幼稚園があり、義務教育は、初等学校(5年)、前期中等学校(3年)および後期中等学校(4~5年、最初の2年が義務教育)である。よって、2017年9月下旬に、調査対象は学校給食調理設備を有するローマ内の幼稚園および初等学校とした。調査内容は、ローマの学校給食を担当する行政部署の協力および許可を書面で得て、支障がない範囲で学校給食の調理現場や食堂での食事の様子、一部授業の様子について参与観察を行い、調理員や教員、に聞き取り調査を行った。また、ローマの学校給食担当者や学校給食の食材を供給している有機食品の専門業者にも聞き取り調査を行った。言語は通訳を通してイタリア語および直接英語で調査を行った。
    【結果】公立学校の場合、給食費は有料で、自治体や学校によりそのシステムや金額が異なった。給食は学校内の食堂で提供され、低学年から交替で使用されていた。各クラスの児童数は20~25名ほどで、教員も一緒に給食を食べていた。第一の皿(パスタ料理など)、第二の皿(肉料理や卵料理など)、パン、果物が調理員などにより順にテーブルに配膳された。飲み物は水がコップで配膳され、食器は生分解性の使い捨て紙食器が使用され、食後は調理員が分別回収を行っていた。イタリア国内、特にローマでは、オーガニック給食の普及に力を注ぎ、有機食材を使用し、有機農業を発展させ、環境を保全していくことを目指していた。学校給食が、有機農業や有機食品を提供する食品会社の発展に貢献していた。
  • 後藤 月江, 三木 章江, 渡邊 幾子, 植田 和美
    セッションID: 2P-50
    発行日: 2018年
    公開日: 2018/08/30
    会議録・要旨集 フリー
    【目的】近年、魚体のサイズが不揃い、漁獲量が少なくロットがまとまらないなどの理由から、非食用や低価格でしか評価されない未利用魚が注目され、有効活用しようとする動きが広まっている。我々は、徳島県海陽町鞆浦漁業協同組合との共同研究により未利用魚の有効活用について検討をしてきた。本研究では、漁業に携わる家庭における魚食の現状と未利用魚として扱われる魚種の特定や活用の現状を明らかにし、有効活用につなげることを目的としてアンケート調査を実施した。

    【方法】徳島県漁業協同組合、女性部会に所属し、家庭において主に調理を担当されている方を対象として、2018年2月~3月に自記式、郵送調査法によりアンケート調査を行った(配布数186通、有効回収率36%)。なお、本調査は四国大学倫理委員会の承認を得て行った。
    【結果】家庭における魚の入手法は「大部分を家族が漁獲」が55%、「もらう」が21%であった。日常における喫食率の高い魚はアジ(55%)、タチウオ(45%)、サバ(42%)で55種類の魚種名が挙げられた。未利用魚の認知では「知っていた」が18%と低く、漁業従事者における未利用魚の認知は低いことが分かった。家庭における未利用魚の喫食状況は「食べない」および「廃棄する」を合わせると約50%となり、漁業従事者においても未利用魚が活用されていなかった。未利用魚としては63種類の魚種名が挙げられた。食べている未利用魚の魚種は38種類で、喫食率の高い魚はエソ(15%)、シイラ(15%)、タチウオ(12%)で、揚げ物や焼き物など様々な調理法で食べられていた。漁業従事者においても約50%の者が未利用魚を活用していないことから、さらに未利用魚の活用について検討し広く発信する必要があると考える。
  • 月ヶ瀬 雅子, 久保 加織
    セッションID: 2P-51
    発行日: 2018年
    公開日: 2018/08/30
    会議録・要旨集 フリー
    【目的】和食の基本である一汁三菜は、飯と汁と漬物に3品の菜が添えられた献立であり、漬物は和食では不可欠な存在である。本研究は、漬物に対する若い世代の意識を調査するとともに、漬物を身近なものと感じさせる方策について検討し、和食文化の継承と食育につなげることを目的とした。
    【方法】滋賀大学教育学部の学生を対象に2017年8月から11月に無記名自記式質問紙調査を行い、2011年に行った同様の調査結果と比較した。有効回収票(率)は180票(97.2%)であった。また、同学生のうち27名を対象に2017年8月に糠漬けの栄養や機能性、調製方法等を伝える講習会を実施し、市販の熟成糠床を用いた自宅での糠漬けを促した。講習会2か月後に、参加者に対し糠漬け体験に対する感想や漬物に対する意識の変化等について質問紙および聞き取りにより調査した。
    【結果】漬物を好きと回答した学生は74.4%と多かったが、好きな漬物がないという回答が2011年度の5.0%から9.4%に増加していた。実家で漬物が供されることがないという回答は6.7%で、2011年度の1.0%より増加し、実家で漬物を漬けている割合は2011年度の38.3%から23.9%に減少していた。若い世代の漬物離れが進んでいる可能性が示唆された。講習会に参加した学生のうち9名は、2週間以上自宅で糠漬けを継続して行い、試食していた。この9名のうち3名は漬物をより好きになり、全員がこれからも継続して漬けたいと回答した。糠漬けで面倒あるいは困ったこととして、糠床の世話、漬け材料の調達、漬かり具合の判断、におい等があがった。今回の結果を踏まえ、学生が実行しやすい漬物作りについて検討を進める予定である。
  • 宮島 彩, 山田 真衣
    セッションID: 2P-52
    発行日: 2018年
    公開日: 2018/08/30
    会議録・要旨集 フリー
    【目的】近年、若者の味覚は低下しており、食について学ぶ大学生にも同様の傾向みられる。本研究では、食について学ぶ大学生の味覚の現状を把握し、食生活や食嗜好との関連性について検討する事で、味覚低下の原因を明らかにする事を目的とした。
    【方法】平成30年4月に、本学で食について学ぶ大学生49名(男性12名、女性37名)を対象に味覚試験として、5味識別試験(甘味、塩味、酸味、苦味、うま味)及び濃度識別試験(甘味、塩味、酸味、うま味)を実施した。更に、同対象者に、食生活と食嗜好についてのアンケート調査を行った。
    【結果】五味識別試験の正解率は、甘味69.4%、塩味75.5%、酸味42.9%、苦味36.7%、うま味49.0%であった。苦味は55%、その他の4味については80%の正解率を想定して試料を調製したため、いずれも想定より正解率が低い結果となった。濃度識別試験の正解率は、甘味79.6%、塩味65.3%、酸味75.5%、うま味63.3%であった。いずれも70~80%の正解率を想定して試料を調製しており、甘味と酸味は想定通りの結果であったが、塩味とうま味は、想定より正解率が低い結果となった。味覚試験の正解率が高いグループでは、食生活と食嗜好のアンケートにおいて、甘味、塩味の摂取頻度が高く、甘味、塩味、酸味、苦味の4味について好ましい味であると回答している人の割合が高かった。味覚試験の正解率の低いグループでは炭酸飲料の摂取頻度が高い事や辛い食べ物を好む人が多いという共通点がある事が明らかとなった。今後は特に味覚試験の正解率が低いグループにスポットを当て、味覚低下改善に向けて検討していく必要性がある。
  • 藤原 智子, 中田 理恵子
    セッションID: 2P-53
    発行日: 2018年
    公開日: 2018/08/30
    会議録・要旨集 フリー
    【目的】近年、日本の女子学生において朝食欠食により性機能異常が誘発される可能性が示されている。朝食欠食は概日リズムにおける活動期の開始時での食事制限に相当する。そこで概日リズムに反する食事摂取が若年女性に及ぼす影響を検討する目的でラットによる実験を施行した。

    【方法】8週齢のWistar系雌性ラットを暗期と明期に自由給餌 (Certified Diet, AIN93G) する2群に分類し、4週間制限した上で食餌摂取量と体重増加を毎日測定して全日自由給餌のコントロール群のそれと比較した。

    【結果】4週間の食餌制限期間の体重増加は明期自由給餌群(非活動期食餌摂取群)において有意に低下した。食餌摂取量に関して第一週は暗期と明期の両群においてコントロール群に比して有意に低下していたが、暗期自由給餌群(活動期食餌摂取群)においては徐々に食餌摂取量が回復した。一方で、明期自由給餌群では第四週に至るまで、食餌摂取量がコントロール群に比べ20%の低下を継続した。

    【考察】本研究により概日リズムに反する食事摂取が長期的に若年雌性ラットの発育を抑制する可能性が示された。暗期と明期の食餌制限による食餌摂取量と体重増加の群間差は食欲や摂取した食餌の代謝などの観点からさらに検討する必要があると考えられた。
  • 鷲見 裕子
    セッションID: 2P-54
    発行日: 2018年
    公開日: 2018/08/30
    会議録・要旨集 フリー
    【目的】近年の生活環境やライフスタイルの多様化、中食・外食の利用率の高まりにより、日常的に家庭での調理機会は減少している。そのため、調理過程や食材を知らない食事を摂ることが多く、学生が調理実践への関心や意欲を持ちにくい現状がある。しかし、調理行動はバランスのとれた食生活につながり、食育のめざす「健全な食生活を実践することができる」ためには調理能力を高めることは重要といえる。本研究は学生の料理に対する認知と調理の状況の把握を目的とした。

    【方法】2017年9月に短大生162名を対象に、質問紙調査を行った。有効回答は150名(有効回答率92.5%)であった。調査内容は属性、調理実践頻度、家庭料理とされる110品について「知らない(無認知)」、「知っているが作れない(調理否)」、「作ることができる(調理可)」で回答を求めた。

    【結果】対象者全体では、無認知料理数は平均16.3±8.14品(14.8%)であった。調理可料理数は最小1品、最大95品と幅があり、平均は33.6±19.78品(30.5%)であった。調理実践のある者は無認知料理数が少なく(p<0.05)、調理可料理数が多かった(p<0.001)。

    料理で検討すると、認知では料理構成(p<0.01)、主食材(p<0.01)に有意差がみられた。認知率の低い(50%未満)料理は15品で「いり豆腐」「わけぎのぬた」など和食、副菜、野菜料理が多くみられた。

    調理可否と料理構成(p<0.01)、主食材(p<0.001)、調理法(p<0.05)で有意な差があった。調理可率は主食の穀類料理が高く、主菜・副菜料理で豆・野菜料理、和えるや煮る調理が低い傾向であった。調理可率が高い料理は認知率も高いが、調理可率の低い料理では「シューマイ、ビビンバ、酢豚」など認知率は高いが調理可率は低い料理もみられた。
  • 食育プログラムの検討
    森中 房枝, 長谷川 里歩
    セッションID: 2P-55
    発行日: 2018年
    公開日: 2018/08/30
    会議録・要旨集 フリー
    【目的】「紅ふうき」は枕崎で生まれた品種で,紅茶・半発酵茶用品種として平成5年に命名登録された。茶葉にアレルギー抑制成分「メチル化カテキン」が含まれていて緑茶に多いとされている。本学は薩摩川内市の中心よりやや中伏に位置しており,霧が深いことからお茶作りに適しているとの勧めを受けて平成23年に100本の「紅ふうき」の苗木を植樹し、この茶葉を利用して紅茶作りを行った。紅茶作りの過程で新たな発見や気づきがあったため,これを活かして食育へと繋げていきたいと考え,食育プログラム作りの検討を行った。茶樹栽培・紅茶作りに関しては知覧の薩摩英国館の田中京子館長と枕崎の野菜茶業研究所の根角氏の指導と協力をいただいた。
    【方法】 ① 平成23年3月に植樹した「紅ふうき」の茶葉の一心二葉または三葉を用い,田中京子館長の指導のもと,平成26年4月21日・22日に純大紅茶を製作。製造過程は萎凋,揉捻,発酵,乾燥で発酵にスチームコンベクションオーブンのスチームモードを使用し, 乾燥はホットプレートを用いた。② 同年6月15日・16日に枕崎の野菜茶業研究所にて根角氏の指導の下,手摘みで一心二葉,一心三葉を摘採したものとはさみで摘採したものをそれぞれ紅茶にして比較した。③ 純大紅茶と薩摩英国館で購入した「夢ふうき」と「紅ひかり」,野菜茶業研究所で製作した紅茶3種類の計6種類を本学の教職員,学生に対して水色・香り・味等について官能検査を行った。④ ①~③をふまえて食育プログラム作成を検討した。
    【結果】 本学の茶畑の茶葉を用い,平成26年4月21日・22日に本学で第1回目の紅茶作りを行った。手摘みで一心二葉または三葉を摘採し,計930gの採量であった。萎凋,揉捻,発酵,乾燥を経て計212g(23%)であった。2回目の紅茶作りは6月に枕崎の野菜茶業研究所で根角氏のご指導のもと,手摘みで一心二葉,一心三葉,はさみ使用の3種類の摘採方法で各々に紅茶を作りを行い,出来上がりの比較をした。一心二葉を手摘みすると柔らかい新しい葉で上質な茶ができるが時間を要するという欠点がある。一心三葉だと硬い葉が入ってしまうので少し質が落ちる。一方で,はさみで摘採すると古い葉も摘採してしまうが,同時に若い葉も摘採することになるのでブレンドされて質も落ちることなく,時間の短縮に繋がった。紅茶作りの作業工程から,変化していく茶の香りや触感,味などを五感で感じることができた。この体験したことを活かし,子どもたちへの食育プログラムを検討した。手摘みによる作業や,萎凋による香りの変化,揉む作業,発酵過程での色や香りの確認,発酵止,乾燥と仕上げと工程は長いが, 少しづつでも五感を働かせて作る中で,子どもたちの感覚が研ぎ澄まされてくるのは確かであろうと考える。官能検査では「夢ふうき」・「紅ふうき」についてはいずれも上位を占めた。純大紅茶は水色が薄めだが,香り・味を好むものに関しては高評価であった。枕崎の3種類については質のよいものができたものの茶葉が細かく浸出液が濃かったために,思うように評価は上がらなかった。紅茶を淹れる際は紅茶の種類に合わせた工夫が大事である。
  • 現代の食生活への提案
    中根 一恵, 南 基泰, 洲崎 孝雄, 森瀬 一幸, 小川 宣子
    セッションID: 2P-56
    発行日: 2018年
    公開日: 2018/08/30
    会議録・要旨集 フリー
    【目的】
    食文化の研究では、各地域で作られている行事食や伝承食の調査は聞き取り調査や古文書などによる場合が多く、料理の実態を把握するのが困難である。そこで本研究では、古来、口伝えによる伝承をされている本膳料理を対象とした。食事の構成、食材、味付け、調理法、栄養価、機能性、外観について客観的数値から評価を行い、和食の基本とされる本膳料理との繋がりや、現在の食事への影響について考察を行う。また、本研究で得られた本膳料理の評価を活用することが、現代に伝えるべき食事の構成、料理法、食材の使用方法、栄養および機能性、現代の日本人が健康を維持するための食事の提案に繋がると考える。
    【方法】
    研究対象は、1794年創業の岐阜県で最古の料亭である「洲さき」(高山市)とし、平成28年3月から平成29年2月までの1年間調査を行った。食事の構成(品数、食材数など)、食材(特産物、旬食材の使用状況など)、味付け(塩分計、糖度計により一部測定)、調理法(料理ごとに調理方法を分類)、栄養評価、機能性評価(食材の機能性成分について検索)、外観(色の使用頻度や所有割合など)から調査し、各項目について具体化・数値化を図った。
    【結果】
    1年間の栄養素を平均すると、エネルギーは953±113(kcal)、たんぱく質51.5±6.9(g)、脂質32.3±4.9(g)となり、PFC比率はP:F:C=21.7:30.2:48.1となった。年間を通して10月から1月まではエネルギーが高い傾向にあった。また、献立には毎月川魚(天魚、鮎、岩魚など)のいずれかが用いられており、その品目数は川魚を中心に2~6種類で12月が最も使用品目数が多かった。
  • 小林 三智子, 藤間 成美, 大里 野萌, 忽滑谷 明穂
    セッションID: 2P-57
    発行日: 2018年
    公開日: 2018/08/30
    会議録・要旨集 フリー
    【目的】カカオ含有量の異なる3種類のチョコレートを摂取することにより、脳波及び自律神経活動がどのように変化するのか解析することを目的とした。

    【方法】カカオ含有量の異なるチョコレート3種類(33%、56%、70%)を試料とした。実験協力者は20~21歳の女性20名であった。脳波の測定にはミューズブレインシステム(株式会社デジタルメディック)を用い、チョコレート摂取前(安静時)と摂取後において、3種類のチョコレートを用いて各30秒間測定を行った。自律神経活動の測定には、加速度脈波測定システム アルテット(株式会社ユメディカ)を用い、安静時と摂取後において、3種類のチョコレートを用いて各2分間測定を行った。

    【結果および考察】チョコレート摂取前後の脳波を比較し、α波上昇率を求めた結果、カカオ含有量33%摂取後に最も値が上昇した人は9名、56%は10名、70%は11名であった。しかし、個人間さらに試料間で有意差が認められず、脳波とカカオ含有量の明らかな関連性はなかった。

    自律神経活動は、LF/HF-MEM値(交感神経の指標)とCVaa値(心拍変動係数)を測定した。安静時と摂取後を比較し下降率を求めた結果、LF/HF-MEM値はカカオ含有量33%摂取後に最も値が下降した人は10名、56%は3名、70%は4名であった。CVaa値はカカオ含有量33%摂取後に最も値が下降した人は7名、56%は10名、70%は8名であった。しかし、両値とも試料間で有意差が認められず、自律神経活動とカカオ含有量の明らかな関連性はなかった。これらの結果は、個人差が大きいことが理由の一つと考えられる。今後、味覚感受性の測定を行い、脳波及び自律神経活動との関連性を検討したい。
  • 後藤 葉子, 中村 眞理子
    セッションID: 2P-58
    発行日: 2018年
    公開日: 2018/08/30
    会議録・要旨集 フリー
    【目的】

    失語症者は発語のだけでなく,書字や文字・文章の理解にも障害を有することがある.我々が企画する「身体障害者の料理サークル」に参加,レシピの工夫により自宅での料理のメニューが変化,調理の機会も増加したことから,主婦としての役割意識が再獲得された事例を報告する.

    【事例紹介】

    A氏:57歳の主婦,夫と二人暮らし.7年前に脳血管症障害を発症,運動機能障害は軽度であったが失語症の後遺症を有す.言語障害の状態は,言葉が出にくい,名詞の想起が困難な時がある,三語文以上の復唱困難等.現在も失語症のリハビリは継続している.普段はデパートや催し物など外出を好み,家事は最低限実施していた.食事は簡単な調理や既成の惣菜で済ませることが多く,3年前から当サークルに参加した.

    【経過】

    参加当初は調理動作の一つ一つに指示を求め,調理道具の置き場所も覚えられなかったが,サークル参加を楽しみにし,完成した料理を夫に持ち帰るようになった.自宅でも実践できるように,できるだけ材料や工程が簡単な料理メニューを選択,実際に調理に参加する機会を増やしていき,帰りにはレシピを渡すようにした.今回,「簡単な春巻き」レシピを渡し,できるだけ援助なしで作ってもらい調理の過程を評価した.1ヵ月後に評価結果を基にレシピを短文表記にする,工程の写真を載せるなど失語症に対応するようにレシピを工夫して再度挑戦した結果,大きな改善がみられた.またサークルの料理を自宅で再現し,夫に褒められることで,主婦としての自覚みられるようになった.

    【結果】

    失語症の方が料理をする場合,工程が簡単なメニューを選択するとともに,レシピ作りには,短文で表示する,写真や絵を用いるなどの工夫が有効である.
  • 中村 眞理子, 後藤 葉子
    セッションID: 2P-59
    発行日: 2018年
    公開日: 2018/08/30
    会議録・要旨集 フリー
    【目的】

    失語症者は,単に発語が困難なだけでなく,言語能力の様々な側面に問題を抱えている.今回、一般的な料理レシピを見ながらの料理が困難な失語症を有する方に対し、言語障害の種類と程度を考慮したレシピを作成し一般的なレシピと改良レシピの使用感を比較し報告する.

    【事例紹介】

    57歳、女性.7年前にクモ膜下出血にて手術.運動機能障害は軽度,失語症を有す.料理教室の経験はあるが持続せず.言語障害の状態は,自発語量:普通.自覚的には少ない.語健忘:言葉が出にくい.名詞の想起が困難な時がある.字性錯誤がみられる.復唱:二語文で助詞の欠落.三語文以上困難.YES/NO質問:問題なし.口頭の簡単な命令動作(開眼閉眼、開口閉口、右手を挙げてください等):問題なし.MMSEは27/30点,即時記憶での三語の復唱と文の復唱で失点.

    【方法】

     口頭指示は三語文以上の構成で混乱,復唱困難で手順が複数入る指示は動作中に想起困難という点を考慮し,春巻きのレシピを行程文と視覚的記憶保持の為の写真を工夫し改良した.このレシピと一般的なレシピを使用し,SD法を実施.SD法は工程を12にそろえ,学習効果排除のため,各々のレシピ使用は30日あけた.

    【結果・結論】

     すべての工程で改良レシピで使用感が向上.全体評価は,17→47(上手に出来た100%,一般レシピ→改良レシピ)であった.顕著な改善を認めたのは,冷ました具を10等分にする:6→54,野菜や肉を千切りにする:22→59,最も改善を認めなかったのは,水溶き片栗粉を炒めながら回しいれる:5→10であった.障害を考慮したレシピを用い料理遂行が可能になれば,家庭内役割の獲得に繋がる可能性も期待できると考える.
  • 綿貫 仁美, 吉田 沙紀, 山﨑 薫, 林 一也, 田宮 誠司
    セッションID: 2P-60
    発行日: 2018年
    公開日: 2018/08/30
    会議録・要旨集 フリー
    【目的】馬鈴しょANは, 多くの機能性を有するが, 調理で退色や変色をしてしまう。特に水を介した調理で不安定となりやすい。そこで,種々の調味成分を含む溶液で水煮調理し, AN含有馬鈴しょの色調および硬さにどのような変化が生じるか検討を行った。

    【方法】試料はキタムラサキ(KM), ノーザンルビー(NR), シャドークイーン(SQ)を用いた。5%, 10%, 20%スクロース溶液, 0.1%, 0.2%, 1%酢酸溶液, 1%, 2%, 3%塩化ナトリウム溶液, 0.5%, 1%, 2%クエン酸溶液, 0.5%ミョウバン溶液の各溶液で馬鈴しょ塊茎(スライス)を 加熱した。加熱後切片の色調を色差計(L*, a*, b*)で測定した。切片の色素量を測定し,AN残存率を比較した。各添加物溶液の中でAN残存率が高かった溶液については,加熱後の切片をクリープメーターで最大荷重を測定した。

    【結果】色差計による測定では, 酢酸溶液では, KM, NRで生とくらべa*値が負に移動したが, SQでは正に移動した。クエン酸溶液では, 3品種とも濃度が上がるに従い, 色調の変化が大きくなった。ミョウバン溶液では, 3品種ともb*値が負に移動し, SQではa*値が正に移動した。3品種ともにAN残存率が高かった溶液は, 3%塩化ナトリウム溶液, 0.5%ミョウバン溶液であった。濃度の高い溶液ほどAN残存率が高かった。最大荷重では, 蒸留水で水煮調理時の最大荷重と比べKM, SQにおいて1%酢酸溶液で約6.7~7.4倍の高い値を示した。一方, NRでは1.4倍の値を示した。20%スクロース溶液, 3%塩化ナトリウム溶液では, 3品種ともに蒸留水での水煮調理時とほぼ同じか, それ以下の最大荷重となった。添加物溶液の違いにより, 品種間で最大荷重の違いが生じることが明らかとなった。
  • 荒木 葉子, 金木 尚志, 三神  彩子, 赤石  記子, 長尾  慶子
    セッションID: 2P-61
    発行日: 2018年
    公開日: 2018/08/30
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    【目的】近年、限りある資源を大切にして上手に使うことが重要視され、省エネへの関心が高まってきている。そこで、本研究では、省エネ行動の1つである節水に焦点を当て、調理や食事摂取に関わる「食器洗浄」について、洗剤の種類や使用量、すすぎの水の量から、節水に有効な洗浄方法を見出すべく検討を進めることとした。さらに、これまでの研究から、効果的な食器洗浄法を学習することで、学生の節水意識が高まることが示唆されたことから簡易に取り組める実験教材の開発を試み、その効果を実地検証することとした。
    【方法】食器洗浄を想定し、新渡戸文化短期大学2年生65名を対象にした食器洗浄実験を実施した。食器汚れはカレーライスを食べた後を想定し、モデル実験系としてターメリックパウダーを食用油脂に溶解したものをプラスチックカップに一定量塗布し、洗浄対象試料とした。このカップの油汚れを洗浄前に拭き取った場合と拭き取らなかった場合について、それぞれ希釈洗剤を使用してスポンジでこすり洗いをし、すすぎまで行う過程で使用した水量を比較した。また、実験後にアンケートを行い、意識変容の効果を検証した。
    【結果】拭き取ってから洗浄を行うことで水の使用量が少なくなった者は52名(約87%)となった。アンケート結果では,普段の生活で省エネが徹底するように生活を変えたいと考える者が、61名(約94%)となり、この実験の経験が省エネ行動を考えるきっかけとなり、理解や納得を促進する上で効果を数値化し、自分たちで確認することの有効性が示唆された。本件では実験教材として活用できる手法の開発を試みたが、いくつか課題が認められたため、教員がより的確かつ効率的に指導できるよう改善を図る予定である。
  • 栄田 彩花, 奥田 華奈, 蓬田 健太郎, 升井 洋至
    セッションID: 2P-62
    発行日: 2018年
    公開日: 2018/08/30
    会議録・要旨集 フリー
    【目的】細胞や組織の長期保存のために凍結保存法が広く用いられている。しかし,従来の凍結技術は,最大1年が限界であり,解凍後は鮮度が低下する。そこで近年,生物細胞を壊さない凍結技術としてCell Alive System(CAS)が注目されている。CASは,微量エネルギーを与える中で冷却し,細胞中の水分子を振動させることで瞬間的に凍結させる。食品全体を同時に凍結させるため,細胞を傷つけない。本研究では,CASの有効的な活用を行うために,異なる冷凍方法で行った魚の鮮度に与える影響について検討した。また,凍結乾燥処理の前段階としての利用法についても検討した。

    【方法】試料は,サンマ 岩手県産(H29年10~11月)を用いた。サンマは捕獲後,氷冷により産地より1日以内に分析試料として運搬,処理した。三枚おろしにし,ナイロン袋に入れ真空包装し,CAS凍結(アビー製 CAS機能付急速凍結庫),急速凍結,緩慢凍結(家庭用冷凍庫)の3方法で凍結後,-30℃に保管した。保管1日・1週・2週間後に氷水解凍を行い,次の項目について測定した。魚肉のpHを蒸留水でホモジナイズし測定した。クリープメータ(山電 RE2-3305B)で物性測定を行った。凍結乾燥試料については,嗜好性成分について測定した。

    【結果】保管1日後のCAS凍結・急速凍結・緩慢凍結の3群間におけるかたさ応力の変化は見られなかった。しかし,保管1週間後のCAS凍結と急速凍結のかたさ応力,CAS凍結と緩慢凍結のかたさ応力に有意な差が見られた。保管2週間後では,CAS凍結・急速凍結・緩慢凍結の3群間での変化は見られなかった。魚肉のpHでは,3群間で変化は見られなかった。緩慢凍結でのドリップ量は,CAS凍結・急速凍結に比べ多かった。現在,生鮮果実の凍結乾燥処理品についても栄養成分を検討中である。
  • 小川 眞紀子, 山本 いず美, 安東 美紀, 石井 夢乃, 井上 愛朱加, 岡本 彩友子, 早川 茂
    セッションID: 2P-63
    発行日: 2018年
    公開日: 2018/08/30
    会議録・要旨集 フリー
    【目的】近年、希少糖D-プシコース(以下Psi)の優れた生理機能や調理特性が注目されている。Psiは高い保水性を有し、メイラード反応が進みやすく抗酸化やでん粉の老化抑制などベーカリー食品に軟らかさや膨らみを付与する。本研究では、小麦粉と米粉を用いて食パンを調製し、Psiが食パンへの利用に適す糖配合について物性測定、嗜好調査により検討した。
    【方法】食パンの糖配合はショ糖のみをコントロール(以下C)、10%をPsiに置換したものをP10、20%をPsiに置換したものをP20とした。製パンは自動ホームベーカリーを用い、小麦粉と米粉の食パンを作製し物性測定、体積測定、色差測定を行った。嗜好調査(n=17)は小麦粉と米粉のCとP10を試料とし、評点法を用いて評価した。
    【結果】物性測定により、小麦粉と米粉共にP10で最も軟らかくなった。小麦粉と米粉の比較では小麦粉の膨化率が大きく、米粉の方が粘弾性や付着性が顕著に高かった。Psiを加えると特に小麦粉P20で焼き色の赤みが有意に強くなり、P20は焼き色が濃すぎて好ましくなかった。嗜好調査で有意差は認められなかったが、ソフト感はPsiの方で高い評価が得られた。以上より、小麦粉・米粉食パン共にショ糖の10%をPsiに置き換えた糖配合が適していると考えられる。
  • 高橋 啓子, 川端 沙也花, 細川 康輝, 鈴木 直美, 尾崎 圭司
    セッションID: 2P-64
    発行日: 2018年
    公開日: 2018/08/30
    会議録・要旨集 フリー
    【目的】栄養士養成教育の中で取り上げられる献立作成は料理や食品、栄養に関する知識の他、作業手順や設備など総合的な観点から料理を組み合わせる必要があり、経験が大きく影響すると考えられる。そこで、我々は献立作成のシミュレーションを行うことにより献立作成に必要な知識や技術を修得できないかと考え、献立作成を支援するアプリケーションを開発した。本学会(2015、2017)、家政学会中四支部大会(2016)にて発表。今回は本アプリに対する学生の意見および本アプリの活用方法について報告する。
    【方法】<アプリの概要>対象者設定、栄養素・食品群別摂取量、食事バランスガイド表示、料理数:1770種(料理写真)、料理検索、料理お気に入り登録、献立保存・読込機能、料理の摂取量調整(25~200%)、印刷(献立評価等)、料理レシピ)機能を有する。学生の意見は本アプリを使用して献立作成を実施した後、自由記述により収集した。
    【結果】多かった意見は「便利」「操作しやすい」「家庭にもあれば良い」等、良好な意見の他、「キーワード検索が欲しい」「料理の並び変え」、「栄養素や食品の不足の指摘」「献立見本」等の要望が見られた。今後、これらを参考に改善を行うと共に、栄養計算の手間が無く、栄養素や摂取食品、料理の組合せを写真で確認しながら、短時間で目的の献立を作成できること。材料や作り方などの情報を確認できること等の利点を活かし、繰り返して使用することにより、不足または過剰な栄養素や食品に対してどのような料理を加除すれば良いか等、献立作成の要領を身につけることができるツールとして本アプリを効果的に活用したいと考える。*本アプリの料理データは建帛社「栄養食事療法シリーズ10巻」の協力による。
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