芸術科学会論文誌
Online ISSN : 1347-2267
ISSN-L : 1347-2267
22 巻, 3 号
選択された号の論文の5件中1~5を表示しています
一般論文
  • 栗原 渉, 韓 旭, 串山 久美子
    原稿種別: 原著論文
    2023 年 22 巻 3 号 p. 5_1-5_17
    発行日: 2023年
    公開日: 2024/01/12
    ジャーナル フリー

    コンピュータの発達により植物を用いたシステムについての研究が多く行われてきたが,植物の魅力の1つである花に着目したものは多くない.そこで,本研究では花色が変化する特徴を持つソライロアサガオに着目し,二酸化炭素を添加することでソライロアサガオの花色が変化するインタラクティブなフラワードームを制作した.また,一般にソライロアサガオの花色が変化することは知られているものの,変化に必要な条件について調査はされていなかった.そのため,本稿ではソライロアサガオの花色が変化する条件の調査と検討も行った.その結果,容量約900mlの容器に対して100ml/10秒の二酸化炭素を1分間および2分間添加し,前者は3分間,後者は1分間待機することで花色が赤く変化することがわかった.また,変化後約20分間待機することで花色が青色に戻っていくこともわかった.加えて,色差の比較により,変化させた赤色の状態,変化させた青色の状態の区別が可能であることが示された.

  • 柴山 叶, 阿部 雅樹, 渡辺 大地
    原稿種別: 原著論文
    2023 年 22 巻 3 号 p. 6_1-6_13
    発行日: 2023年
    公開日: 2024/01/12
    ジャーナル フリー

    一般的にマルチエージェントでの効率的な移動経路取得に応用される配送計画問題は,全てのノードを必ず巡回するため,エージェントの数が少なくノードが多い場合は1エージェントあたりのコスト(移動距離や時間など) が非常に大きくなる.そのため求めた経路が配送計画問題においては最適解でも実用性を伴わないケースが見られる.例えば時間制限のあるバトルロイヤルゲームにおいて,全ての建物を巡回すると時間が足りないため,配送計画問題の既存手法をバトルロイヤルゲームのAIに実装しても最適な移動経路を求めることは出来ない.そこで本研究では上記のような状況下でも実用的かつ効率的な経路を求めるべく,コスト制約下でノードを取捨選択出来る移動経路取得の定式について提案する.そのうえで一般的な配送計画問題であるVRP,コスト制約を設けることのできるDCVRP の二つの問題の既存解法による探索結果と効率を比較した.その結果,コスト制約下で全てのノードを訪れることが出来ない状況下では,提案手法が他手法より効率の良い経路を求められることが示された.

  • 小林 唯斗, 戀津 魁, 伊藤 智也, 竹島 由里子, 菊池 司
    原稿種別: 原著論文
    2023 年 22 巻 3 号 p. 7_1-7_12
    発行日: 2023年
    公開日: 2024/01/12
    ジャーナル フリー

    本論文では,ドライアイスを水などの液体に入れた際に生じるような,発生量の多い霧のビジュアルシミュレーション法を提案する.本論文で提案する手法は,霧の発生源となるシミュレーションソースと霧のコリジョンとなる器をポリゴンモデルで作成し,シミュレーションソースに対して上下方向にアニメーションさせたノイズを加えることで,ドライアイスを水の中へ投じた際に生じるような気泡の上昇運動を再現する.作成したソースに対して,格子法を用いた流体シミュレーションを行うことで,ドライアイスの霧を生成する.この際,速度場の生成には本論文で提案する独自の浮力方程式を用いる.霧の消失表現は飽和水蒸気量を基に相転移の式を利用して密度を制御することで再現する.本手法により,ドライアイスから発生した霧が器から溢れ出る表現などを効率よく再現することが可能となった.

  • 森越 彩楓, 大西 正輝, 伊藤 貴之
    原稿種別: 原著論文
    2023 年 22 巻 3 号 p. 8_1-8_10
    発行日: 2023年
    公開日: 2024/01/12
    ジャーナル フリー

    新型コロナウイルスの世界的な感染拡大に伴い,人々には3つの密(密閉・密集・密接) を避けた行動が強く求められている.このような背景から,人の歩行情報を分析し,歩行状態や歩行パターンを発見する研究が活発化した.その分析手法として可視化を用いた研究が近年多数発表されている.感染防止の観点から,イベント開催時の混雑緩和は特に重要な課題である.中でも「人の近接を減らす」ことの効果は大きい.一方で人流の可視化において,人の近接にもとづいた手法は少ない.そこで本論文では,近接状況を近接が発生した歩行者間を連結してできるネットワークとして可視化するとともに,ネットワークから検出される近接者グループの歩行経路から感染リスクの高い歩行パターンを可視化する手法を提案する.具体例として提案手法をスタジアムで計測された実際の人流データに適用し,歩行者の近接を可視化した事例を報告する.

  • 大字 諒, 藤代 一成
    原稿種別: 原著論文
    2023 年 22 巻 3 号 p. 9_1-9_19
    発行日: 2023年
    公開日: 2024/01/12
    ジャーナル フリー

    昨今,多数の3DCG制作ソフトウェアの登場により,制作プロセスやそれを支援するユーザインタフェースが洗練され,3Dモーション制作の難度は大きく低下してきた.しかし,モーション制作の基本がキーフレーム操作であることに変わりはなく,依然として,複雑なダンスモーションはおろか,自然なモーションの制作にもかなりの技術が要求される.一方で,実際のダンスモーション制作プロセスはより単純である.特に,過去から現在までのダンス文化の集合体であるハウスダンスでは,ダンサーは各部位のモーションを要素として捉え,それらを連動させる組上げ型の制作プロセスを経ることで,様々な振付を制作してきた.そこで本研究では,様々なモーションと実際の振付制作で用いられる操作の関係性を明らかにし,多種多様なハウスダンスモーションの直観的制作を可能にするビジュアルプログラミング環境を提案する.提案システムでは,要素モーションに対する操作を表すノードをインタラクティブに接続することで振付制作プロセスを,さらにその制作した振付を順に接続することでシーケンス制作プロセスを再現する.実際に制作されたダンスモーションおよびシステムに対するユーザ評価から,モーションの自然さと提案環境の有用性が実証された.

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