地下水学会誌
Online ISSN : 2185-5943
Print ISSN : 0913-4182
ISSN-L : 0913-4182
56 巻, 1 号
選択された号の論文の7件中1~7を表示しています
巻頭言
論説
  • 田中 正
    2014 年 56 巻 1 号 p. 3-14
    発行日: 2014/02/28
    公開日: 2014/04/15
    ジャーナル フリー
    本稿は,2013年度の日本地下水学会「地下水学術賞」の受賞に際し,2013年春季講演会での「特別講演」の内容に基づいて,筆者がこれまでに取り組んできた地下水研究を中心として,これまでに係わった社会的動向を含めて取りまとめたものである。その内容を振り返って見ると,地下水を水循環の視点から捉えることによって,多方面にわたる幅広い係わりにおいて地下水研究の意義が見出されるように思われる。新たな学問領域への挑戦,国際連携,環境政策との係わり等の記述において,これからの地下水研究への参考になれば幸甚である。
  • ―持続的利用に向けて―
    斎藤 健志, 小松 登志子
    2014 年 56 巻 1 号 p. 15-25
    発行日: 2014/02/28
    公開日: 2014/04/15
    ジャーナル フリー
    再生可能エネルギー技術として,世界的に注目されている地中熱ヒートポンプ(GSHP)について,特にその利用に伴う地温変化が地下環境に与える影響を中心に,その規制やガイドラインに関しても現状を整理した。その結果,GSHP の利用に伴い,地温変化が生じることはいくつか報告されているが,それが誘発する潜在的な環境リスクについては,ほとんど研究例がないことが明らかになった。GSHP の利用における温度規制値やシステム間の最小距離などは,現状で経験的な観点から設定されているが,今後の持続的な利用に向けては,包括的で科学的な研究に取り組み,その結果を基に地下環境への影響を防止するための規制やガイドラインを定めることが極めて重要である。
短報
  • 榊 利博, 小松 満
    2014 年 56 巻 1 号 p. 27-34
    発行日: 2014/02/28
    公開日: 2014/04/15
    ジャーナル フリー
    地下水面下に冠水した不飽和領域における地下水面の変動に伴う残留空気の挙動が飽和度にどう影響するかについては未解明な点が多い。本研究では,砂を充填した室内カラム試験を用いて主排水-湿潤・冠水-二次排水過程を再現し,冠水履歴のある試料内における飽和度の挙動を計測し残留空気がどのような影響を受けているかについて調査した。間隙空気圧は大気圧と仮定して水分特性曲線を計測し,冠水過程では気泡内圧の影響は考慮せず水圧と飽和度の関係より水分特性曲線の便宜上の延長線を推定した。冠水時の正の水圧下における不飽和領域の飽和度は,地下水面の上昇とともに地下水面位置における飽和度を超えて上昇し,その後の二次排水過程では水圧の減少に伴う飽和度の変化は小さく非可逆的な挙動がみられた。今回の実験条件下では,冠水過程の水圧上昇時には下方からの水の上昇や浮力の影響により残留した気泡が上方へ移動したことが飽和度の増加に支配的に貢献したことが確認できた。また,二次排水過程の水分特性曲線は冠水履歴の程度によって異なり,一般的に用いられる一義的な定義では不十分であることが確認された。
技術報告
  • 尾形 正岐, 小林 浩, 輿水 達司
    2014 年 56 巻 1 号 p. 35-51
    発行日: 2014/02/28
    公開日: 2014/04/15
    ジャーナル フリー
    富士山北麓地域の地下水に含まれるフッ素について検討した。富士山北麓地域の特に河口湖周辺地域の地下水中のフッ素濃度の分布や地質,地下水面標高を解析したところ,河口湖周辺地域の地下水に含まれるフッ素は富士火山堆積物由来のフッ素であると考えられる。また,河口湖南側の地下水面標高が800mから900mの地点において富士山に涵養される地下水の地下水面について検討した。本研究で得られた地下水面勾配は過去に示された地下水面勾配と比べて2分の1から3分の1程度であり,緩やかであると考えられた。
訪問記
名著を読む
feedback
Top