一般に透水性が高いとされている砂層等の粗粒堆積物中においても.その堆積物中の相対的な細粒部分は.浸入した原液状の揮発性有機塩素化合物等(DNAPL(DenseNon-Aqueous Phase Liquidの略:重非水液))に対して難透水層のように振る舞う場合がある(Schwille,1988).揮発性の有機塩素化合物等今回.第四系完新統の礫質粗粒砂からなる一連の飽和帯中に.DNAPL Pool(原液状の揮発性有機塩素化合物等が滞留している部分)からなる高濃度汚染ゾーンが確認された.
本論では.この高濃度汚染ゾーンが.相対的に細粒分が多く.粒子間隔が小さくなっている箇所の直上にスポット的に存在していることを確認するとともに.粒度分析の結果を用いて.本サイトにおける粗粒堆積物中の揮発性有機塩素化合物の存在様式及び挙動について明らかにした.また.本サイトにおいて.空気注入・揚水両用管を用いたエアースパージング・揚水システム(特許登録番号第2663235)と土壌ガス吸引法を組み合わせた手法を用いた浄化実験を実施し.従来法(エアースパージング法と土壌ガス吸引法のみを組み合わせた方法)よりも浄化効率を高く維持できる方法を確立した.
ボーリングにより採取した試料の内.高濃度汚染ゾーンとその上下層を含む7深度における粒度分析(弘前大学方式粒度分析装置使用)を実施した.その結果.本サイトにおける砂は.相対的に淘汰度が良く.細粒分の少ない粒子間隙の大きいタイプ(タイプA)と相対的に淘汰度が悪く.細粒分の多い粒子間隙の小さいタイプ(タイプB)に分類できた.高濃度汚染ゾーン及びそれより上位の層はタイプAに属し.その直下の低濃度ゾーンはタイプBに属することから.タイプBの砂層が原液状の揮発性有機塩素化合物に対して難透水層として作用していると判断できる.
浄化実験では.エアースパージングのみの運転(Aパターン).揚水のみの運転(Bパターン).エアースパージング+揚水の運転(Cパターン)の3パターンの運転を行なった(土壌ガス吸引は常時運転).その結果.Cパターンにおける運転時に単位時間あたりの回収量がもっとも大きくなった.
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