長崎県島原半島は,深刻な地下水汚染が発生している地域の一つである。長崎県は,2006年10月に,島原半島窒素低減計画を策定した。本研究では,文書分析とインタビューにより,島原半島窒素負荷低減計画の運用実態の変遷を明らかにした。主要な成果は,次の通りである。(1)第1期計画の策定の着手時には,遅れがみられた。(2)目標としては,達成期間に応じて,4つの目標(短期目標,中期目標,長期目標,最終目標)が設定されていた。(3)対策には,独自の特徴(地下水の安全性を危惧する地域住民への配慮から,水道水と飲用井戸水の安全確保に係る対策がはじめに配置)がみられた。(4)対策を実現させる手法としては,種々の支援により行動変容を促す支援的手法が多かった。得られた知見からは,効果的な計画策定や計画の改善に資すると考えられる留意点を導出した。