日本補完代替医療学会誌
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4 巻, 3 号
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総説
  • ―採取及び測定手順と各唾液中物質の特徴―
    井澤 修平, 城月 健太郎, 菅谷 渚, 小川 奈美子, 鈴木 克彦, 野村 忍
    原稿種別: 【総説】
    2007 年 4 巻 3 号 p. 91-101
    発行日: 2007年
    公開日: 2007/10/19
    ジャーナル フリー
    近年,疾病予防などの観点からストレスの評価法に注目が集まっている.本稿では唾液を用いたストレス評価について概説した.人の唾液には様々なストレス関連物質が存在することがわかっており,非侵襲的なストレス評価法として利用できる可能性が考えられる.唾液採取,検体の取り扱い,測定などの基本的事項を紹介し,唾液より測定可能な 7 つの物質(コルチゾール,デヒドロエピアンドロステロン,テストステロン,クロモグラニン A,3-メトキシ-4-ハイドロキシフェニルグリコール,α アミラーゼ,分泌型免疫グロブリン A)の各種ストレスとの関連や使用の際の留意点を概観した.最後に目的や状況に応じた唾液によるストレス評価の方法や今後の課題について述べた.
  • 林 浩孝, 大野 智, 太田 康之, 新井 隆成, 鈴木 信孝
    原稿種別: 【総説】
    2007 年 4 巻 3 号 p. 103-112
    発行日: 2007年
    公開日: 2007/10/19
    ジャーナル フリー
    「保健機能食品」には「栄養機能食品」と「特定保健用食品」とがある.「栄養機能食品」とは,ビタミン,ミネラルなどの栄養成分の補給のために利用される食品とされており,販売のための要件は,定められた規格基準を満たすことである.具体的には,1 日あたりの摂取量に含まれる当該栄養成分が上・下限値の範囲内にあるほか,栄養成分の機能表示,注意喚起表示などが必要とされている.
    一方,「特定保健用食品」は,身体の生理学的機能などに影響を与える保健機能成分を含んでおり,特定の保健用の用途のために利用されることを趣旨としている.従って,「特定保健用食品」は食品ごとに厚生労働大臣の許可又は承認を受けなければならない.本総説では,特に特定保健用食品の許認可を受けるために必要な様々な試験を中心に解説する.
原著
  • ―唾液中・血漿中コルチゾールの相関ならびに測定法間の比較―
    井澤 修平, 鈴木 克彦
    原稿種別: 【原著】
    2007 年 4 巻 3 号 p. 113-118
    発行日: 2007年
    公開日: 2007/10/19
    ジャーナル フリー
    ストレスの非侵襲的かつ客観的な評価方法として唾液中コルチゾールが注目されている.本研究では 3 つのメーカー (DRG, Salimetrics, IBL) の唾液中コルチゾールの測定キットをとりあげ,血漿中コルチゾールとの相関性や免疫測定法間の関連を検討した.7 名の成人男性から運動負荷前後に唾液・血漿サンプルを採取した.各メーカーのキットで測定した唾液中コルチゾールは血漿中コルチゾールと高い相関を示した (r ≥ .863).また散布図より唾液中・血漿中コルチゾールの関連は非線型である可能性も示された.酵素免疫測定法による測定 (DRG, Salimetrics) と化学発光免疫測定法 (IBL) の間でも高い相関が認められた.各キットで測定した唾液中コルチゾールは血漿中コルチゾールの変動を反映し,また免疫測定法の違いは唾液中コルチゾール濃度に大きな影響を与えず,採血まで行わなくても唾液でストレス評価が十分に可能であることが示された.
  • ―睡眠の質に関するパイロットスタディ―
    上馬塲 和夫, 仲井 培雄, 許 鳳浩, 王 紅平, 大野 智, 林 浩孝, 新井 隆成, 鈴木 信孝
    原稿種別: 【原著】
    2007 年 4 巻 3 号 p. 119-126
    発行日: 2007年
    公開日: 2007/10/19
    ジャーナル フリー
    西洋ではすでに広く家庭で活用され安全性と有効性がわかっている,特に不眠に用いられるバレリアンやレモンバームなどを含むハーブティーの睡眠への効果と安全性の検証を試みた.不眠で悩む病院職員志願者女性 14 名(年齢 21–62 歳:35±11 歳,BMI 21±3 kg/m2)を対象として,文書による同意を取得し,オープン試験によって 1 週間の対照観察期間の後 1 週間,ハーブティーを夕方 2 回摂取させた.睡眠の質の変化を,OSA 睡眠調査表とVAS (Visual Analogue Scale) で評価した結果,摂取開始の翌日の夜において,対照期間より入眠と睡眠維持について睡眠の質が向上する傾向を認めた.また睡眠の質の悪い群で効果が高く,眠気や胃腸症状を認める例も 19%程度は認めたが継続しても全例自然消失したことから,安全性には問題がないと思われた.
  • 岸川 禮子, 宗 信夫, 井上 定三, 上村 正行, 家守 千鶴子, 河田 賢治, 栗田 建一, 城崎 拓郎, 竹田 和夫, 野上 兼一郎, ...
    原稿種別: 【原著】
    2007 年 4 巻 3 号 p. 127-136
    発行日: 2007年
    公開日: 2007/10/19
    ジャーナル フリー
    通常の薬物治療を行っているスギ花粉症患者を対象に,カテキンより強力な抗アレルギー性を有すると報告されているメチル化カテキン含有品種べにふうき茶の飲用効果を,やぶきた茶飲用群と花粉飛散時期に比較検討した.
    福岡県内 12 施設の耳鼻咽喉科医院を受診したスギ花粉症患者 486 例に,単盲検法に準じてべにふうき茶飲用群(A 群)とやぶきた茶飲用群(B 群)に分けて 2005 年 2 月 1 日から毎日,スギ,ヒノキ科花粉飛散終了まで飲用させた.症状の重症度,薬剤使用量および QOL 障害度をスコア化して 2 群間内で比較した.
    A 群と B 群との間で眼・鼻症状の日毎推移・QOL 障害度に差はなかった.しかし,スギ花粉飛散時期において合計薬剤スコアが A 群において低く,とくに飛散ピーク時期以降 A 群が B 群より低く推移する傾向が得られた (p < 0.1).
    花粉飛散時期に通常量のべにふうき茶を飲用することで,スギ花粉症増悪時に薬剤使用量が対照茶より少なく経過する傾向が得られたことから,補完的治療対策の 1 つの選択肢となる可能性が示唆された.
Current View
  • 谷川 啓司
    原稿種別: 【Currrent View】
    2007 年 4 巻 3 号 p. 137-145
    発行日: 2007年
    公開日: 2007/10/19
    ジャーナル フリー
    最近治療補助だけでなく,疾病予防・健康保持を目的にサプリメントの利用者は急増している.しかし,食品に分類されていても様々な薬理効果を持ち,健康管理をする側から無視できない状況となってきた.しかし,医療従事者にはサプリメントに対する意識が薄く,また知識も持ち合わせていない.今回紹介する MSA 認定講座は,EBM に基づいたサプリメント情報を疾病からアプローチしながら学ぶ,医療従事者を対象とした上級講座である.臨床で働く医師や薬剤師等が信頼しながら学びやすく考慮された内容で,臨床的な応用を念頭に配慮された構成になっている.また利用者の利便性を考慮し,受講は e ラーニングシステム,資格認定試験は CBT システムを導入している.今後,氾濫するサプリメントの情報の中で正確なものを見極める力を養い,総合的な医療として,サプリメントも利用した健康管理を臨床の医療従事者がリードして行っていくことが望まれる.
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