日本補完代替医療学会誌
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2 巻, 2 号
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総説
  • 清水 俊雄
    2005 年 2 巻 2 号 p. 81-89
    発行日: 2005年
    公開日: 2005/09/13
    ジャーナル フリー
    特定保健用食品は個別評価型の表示制度として世界最初の制度である.栄養機能食品は規格基準型の表示制度であり,2 つのシステムを制度化し,実用的に運用しているのは日本だけである.
    コーデックス委員会では栄養素機能表示,その他の機能表示,疾病のリスク低減表示の 3 つの表示に関する「栄養及び健康表示の使用に関するガイドライン」を 2004 年に総会で採択し,今後の食品の世界基準となる.アメリカでは栄養表示・教育法により食品成分の疾病のリスク低減表示ができるようになり,ダイエタリーサプリメント・健康・教育法により人体の構造と機能に関する効果を表示できることになった.2003 年より疾病のリスク低減に関する根拠の強さを格付けする条件付きヘルスクレームをスタートしている.EU は成長,分化,身体の機能に影響を及ぼす表示と疾病のリスク低減表示を含む栄養・健康表示制度を EU 規則案として発表した.更に,機能性食品の科学的評価と健康表示に関する調査・研究を行うことを目的に PASSCLAIM プロジェクトを進めている.食品の健康表示に関するハーモナイゼーションは今後益々重要となり,研究開発と制度作りで世界に先駆けた日本の主導的な役割が期待される.
  • 田中 卓二, 鈴木 里加子
    2005 年 2 巻 2 号 p. 91-100
    発行日: 2005年
    公開日: 2005/09/13
    ジャーナル フリー
    食品成分によるがん予防は,その容易な利用法からがん抑制の対策の 1 つとして期待されている.私たちは,共役リノレン酸 (CLN) を豊富に含むニガウリやザクロの種子油に着目し,その大腸発がん抑制効果について検討してきた.まず,ニガウリ種子油 (BMO) の azoxymethane (AOM) 誘発ラット大腸前がん病変抑制作用を明らかにし,次いで BMO ならびにザクロ種子油 (PGO) による AOM 誘発ラット大腸発がん抑制効果について検討した.その結果,BMO, PGO の混餌投与により大腸腺がんの発生率や発生個数が AOM 投与群に比べ低下した.その抑制機構として,BMO, PGO 投与により変化した大腸・肝の脂質組成や発現が増大した大腸の PPAR γ が関与していると考えられた.これらの結果から,ニガウリやザクロの種子油中に豊富に含有される CLN の発がん抑制作用,特に大腸における発がん抑制が期待される.
  • 渡辺 昌, 卓 興鋼
    2005 年 2 巻 2 号 p. 101-111
    発行日: 2005年
    公開日: 2005/09/13
    ジャーナル フリー
    機能性食品因子の各種疾患への予防作用を総説し,ヒトでの有効性,安全性評価のためにあたらしい疫学的方法の必要性を論じた.多種類のファイトケミカルの効能や安全性を評価するためには生体内での相互作用の検討も必要で,そのためには摂取量を包括的に把握できるようなファイトケミカルの食品含量データベースが必要である.私達の開発してきたデータベースを紹介し,フィールド調査に応用してファイトケミカル摂取量が妥当性をもって計算できることを示せた.また,ファイトケミカルの摂取量は必ずしも健康指標と相関する訳ではなく,肝機能,脂質代謝に悪影響をおよぼす可能性のあるものがあることが示唆された.これら結果はフィトケミカルの安全性評価に示唆をあたえるものであり,最近のイソフラボンの安全性に関する食品安全委員会の報告を例に,問題点を論じた.
  • 中山 健夫
    2005 年 2 巻 2 号 p. 113-125
    発行日: 2005年
    公開日: 2005/09/13
    ジャーナル フリー
    根拠に基づく医療 (EBM) の手法を用いた診療ガイドラインに対する関心が医療者のみならず,一般の人々の間でも高まっている.診療ガイドラインの定義は「特定の臨床状況のもとで,医療者と患者の意思決定を支援する目的で,系統的に作成された文書」であるが,その意義は国内では必ずしも適切に理解されていない.本レビューは,国内における診療ガイドラインに関する取り組み,課題と展望の紹介を行うものである.
原著
  • 竹田 和由, 大城 貴史, 大城 俊夫, 奥村 康
    2005 年 2 巻 2 号 p. 127-133
    発行日: 2005年
    公開日: 2005/09/13
    ジャーナル フリー
    有用微生物およびその代謝産物はプロバイオティクスとして,健康増進作用があると考えられている.今回,納豆菌から選択し得られた Bacillus subtilis AK 株の代謝産物である Extract of Metabolic Products of Bacillus subtilis AK (EMBSAK) の経口摂取が,NK 細胞活性に及ぼす影響を解析した.その結果ラットでは飲用群のうち 50%に NK 細胞活性の増強が認められた.ヒトボランティアを用いたEMBSAKの合成商品である SARABAGAN の 7 日間の飲用試験では,濃度依存的に末梢血中の NK 細胞活性が増強する被験者の数の増加が認められた.今回の研究により,反応性には個人差があるものの,SARABAGAN の経口摂取により NK 細胞活性を増強しうることが明らかとなり,SARABAGAN が補完代替医療として有用である可能性が示唆された.
Current Views
  • 長村 洋一
    2005 年 2 巻 2 号 p. 135-140
    発行日: 2005年
    公開日: 2005/09/13
    ジャーナル フリー
    疾患の予防と治療において食の果たす役割は非常に重要である.しかし,一般の人々は現在非常に多く出回っている健康食品をどのように用いたら良いか理解するのが中々大変である.こんな状況下において厳しい生化学的教育を受ける人たちを対象に教育機関において「健康食品管理士」を養成する方法が考えられ具体化した.高度な生化学的教育を受けたこの健康食品管理士は今後の代替医療を発展させる重要な一因となってゆくことが期待される.
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